キリバに王手。おいおい、流石にこいつは冗談だろ!?
なんか長くなりました。
流石にもうごちゃごちゃしすぎて、自分でも何がどうなってるか分からなくなりそうなので、早くこの特別ミッションは終わらせたいと思います。
頑張ります。
聖夜とは、フレンド登録してある為別にはぐれても居場所が分かる事に気付いた。
いやー、馬鹿だね、俺。
聖夜の居場所を確認しつつ、進む。
今の俺の手持ちゾンビは、プレイヤーゾンビが七体。
他のゾンビは全部街に顕現させ、引き続き巫女『キリバ』を捜させている。
ああ、あと主様のゾンビもいたっけ。
うん、コレだけいればいざと言う時も安心安心。
リラと、シャルロッテ(黄髪ver)、カミーユと共に、聖夜の元へ向かう。
聖夜は、『フリネジア』最大の建物(十階建て。レンガ作りなのにすげえ…!)の最上階にいるらしかった。
しかし、今思えば、何で俺はこのとき気付かなかったのだろう、とか思ったものの、何に気付かなかったのか特に思いつかなかったので、口に出さなかった。
周りから変人だと思われる。
☆☆☆
最上階に辿り着いたのだが、聖夜はとっくにいなくなっていた。
どうやら、俺達が近づいているのに気付いて逃げ出したみたいだ。
なにか俺達にやましい事でもあるのだろうか。
聖夜は、飛行して移動しているようで、飛ぶ手段のない俺達には追うことができない。
なので、どこかで合流しよう、というメールを送った。
三十分くらい経った今も、返事が来ない。
「まるで、誰かから追われているみたいな逃げ方ですね? キリバでしょうか?」
なにか違和感を感じたような気がしたが、気の精だろうと、スルー。
「そうだな。最初は、俺達から逃げているのかと思ったが、そうでもなさそうだ。となると、やはり誰かから逃げているのだろう」
聖夜が逃げなければならない何かとは、一体何なのだろうか。というか、さっきからカミーユが一言も話さない。
動きもどこか緩慢で、注意力も散漫な気がする。
チートプレイヤーとはいえ、やはり幼馴染の事は気になるのだろうか…?
今はそっとしておこう。
閑話休題。
聖夜は一体誰から逃げているのだろうか。
聖夜は、このゲームの1stシナリオを全クリアしている。
そのため、倒せないモンスターがいるとは思えない。また、一部例外(俺のゾンビとか)を除き、モンスターは街に出現しない。
これで、モンスターから逃げていると言う説は消えた。
次に、プレイヤーから逃げていると言う可能性。前述の通り聖夜は、このゲームトッププレイヤーであり、さっき俺がゾンビにした三人(騎士、魔法使い、僧侶)曰く次点プレイヤーとは大きく力の差がある。
だから、聖夜が逃げなければならないようなプレイヤーはこのゲーム内にいない。
これで、正規プレイヤーから逃げていると言う可能性もなくなった。
そして残る可能性は大分絞られる。
チートプレイヤー――例えばキリバのような――に追われているか、もしくは足手まといになる何かを連れているという可能性。
巫女シャルロッテがキリバなら前者、違うなら後者の可能性が高いだろう。
☆☆☆
その後またプレイヤーに捕まり、バトルに突入、さくっと倒してゾンビが二体増える。
そして、そいつらが落とした相手の落としたアイテムのなかに、面白いものがあった。
友好のしるし《自分と同じフィールドにいる、自分とフレンド登録していないプレイヤー誰か一人とランダムにプレイヤーカードを交換し、フレンド登録する。》
コレを使えば、この街のどこかにいるキリバとフレンド登録でき、どこにいても居場所が分かる。
しかし、コレをつかっても、この『フリネジア』には俺とフレンド登録していないプレイヤーなんて山といる。あ、コレは言いすぎか。山ほどもいないわ。この街に辿り着いているのは結構な兵どもだ。つまり、全体のうちの少量に過ぎない。なので、言い直そう。俺とフレンド登録していないプレイヤーなんて、――幼稚園児が砂場で作った――山といる。
うん、なんかテンション高いな。うんうんいいことだ。
閑話休題。
つまり、キリバと確実にフレンド登録するには、この街にいるプレイヤー全員とフレンド登録してしまえばいいのである。
もう一つこの街から俺とフレンド登録していないプレイヤーを減らす方法もあるが、これはまあ、強攻策ってことで。
と、いうわけで。
俺達は、街中で旧世代のナンパよろしく、広場を通るプレイヤーに声をかけ続けていた。
そして。
ものの5分で俺は諦めたね。
ああ、無理だよ、無理無理!
皆、さっきの俺と同じように、誰一人としてプレイヤーカードを出しやしねぇ。
そんなにスキルやジョブが割れるのが嫌か? 嫌だよな、やっぱり。分かる分かる。俺もそうだから。
よし、強攻策に出――る前に、カミーユとプレイヤーカードを交換。忘れる所だった。
一時的にパーティを組む。
そして、主様を俺に憑依。
更に、スキル地震を発動。
「…………カッ!」
マップを確認。
……うん、プレイヤーが半分くらいに減ってる。よしよし。
残りプレイヤー、俺達(俺、リラ、馬鹿、カミーユ、シャルロッテ、そして、『キリバ』)を除き十二人。
全部狩りますか!
俺が急にPKをやり始めたのにはもちろん理由がある。
フレンド登録していないプレイヤーを減らすには?
プレイヤーカードを交換するか、この街から追い出してしまえばいい。
そして、この街には出入り禁止の結界が未だ発動されている状態なので、これ以上プレイヤーが入って来る事はないが、ゲームオーバーしない限り、出る事もできない。
それならば。
ぜーんぶ狩ーれば良ーいじゃなーい!
これが、さっき言ってた強攻策。
地震の波をたどってきたのか、早速ソロプレイヤーと遭遇。
見た感じパラディン。
……万能型か?
とりあえず。
盾を構えて動かないパラディンを『魂の鎖』で拘束。
そして、『霊剣』(亡霊×2使用)を首に突き立てる。
クリティカル判定で一撃で倒すことが出来た。
「クロウさんは、全く不思議な戦いをする。本当に死霊使いなのか?」
「ああ、よく言われるよ…」
シャルロッテ(黄髪ver)が言う。うん、俺も思ってるから。
「おい、お前、何をしている!」
げ。
なんか強そうなのに見つかった。
見た感じがリラと同じバーサーカーぽい。
装備は黒い完全装甲に、片方は身長と同じくらいのバスタードソードに、左手にはソードブレイカー。
バーサーカーの腕力あってこその、力押し、超パワーアタッカーだろう。
たぶん、俺が苦手な部類。
「混乱に乗じてプレイヤーを狩るとは言語道断! そこに直れ! 成敗してくれる!」
とりあえず無視。いやー、本当にこんな喋り方する人がいるんで御座るな!
霊剣を構える。
と。
「ちょっと待たれい。侍同士が試合う時は名乗りあうのが普通であろう!」
いや、お前バーサーカーじゃん、どう見ても。
しかし無視される。うんまあ、話を聞かないのはお互い様だからいいや。
「やー! やー! 我こそは、『氷炎の鬼』、ゴンドーなるぞ! 職は狂戦士!」
「なに、『氷炎の鬼』だと!? まさか、あの!?」
「なんだ、知ってるのか、シャルロッテ(黄髪ver)?」
知ってるも何も、そう前置きし、シャルロッテ(黄髪ver)は喋りだした。いい加減黄髪ver脳内変換するの面倒くさい。
シャルロッテによると、どうやら『氷炎の鬼』とやらは、バーサーカーである最大の利点、攻撃力がひたすらに高いことと、表面上は分からないパラメータ腕力値が圧倒的に高い、この二つを最大限に利用し、高破壊力の攻撃を繰り出してくる姿からまず『鬼』の二つ名が付き、そして、彼が手に入れた二つの稀宝、凍てつく大河《刀身まで全てが凍てついた大剣。斬撃と同時に氷が発生する》と、炎獄の猛獣《刀身は地獄の炎が魔力化しできたもの。斬ったものは地獄の業火に包まれる》から、二つ名『鬼』に変わって『氷炎の鬼』と呼ばれるようになった。
らしい。
……なんで聖夜しかりゴンドーしかり、こいつ等こんなに二つ名つくの早いの!?
いいなー、俺も二つ名欲しいなー。
と、それはさて置き。
ここまでの装備を揃えているんだ、奴が間違いなく聖夜の次点プレイヤーだ。(このとき既に騎士、魔法使い、僧侶の自称次点プレイヤー組のことは頭から消えていた。謝る気はないね、変なハッタリかましやがって、全く)
「む? なんだ、早く貴様も名乗らんか」
「あ、俺? クロウ。職は―――
「声が小さい! もっと大きい声で名乗らんか!」
そして。なんか意気投合して、ゴンドーとはプレイヤーカードを交換した。
うん、端折りすぎたのは自分でも分かる。なんだよ、なんか意気投合して、って。
でも、これ以外に説明の仕様がないから仕方がない。
というわけで。
プレイヤーゾンビは15体増えて、最初の聖夜×3、騎士達×3のあわせて六体との合計で、二十一体になっているハズだ。
プレイヤーゾンビは霊魂だと白いし、明滅するから見ていると目がチカチカする。だから数えていないので、これは計算上の数値だ。
そして。
「ふう、やっと全部倒せたか」
「流石の我も、少し疲れたぞ! ……しっかし、クロウ、お主、なかなかやりおるの! 見てて惚れ惚れするわい!」
「そうか? お前こそ、無茶苦茶強かったじゃないか。出会う敵全部一撃で撃沈させてたしな!」
わっはっはっはっは、と、笑いあい、一息つく。あの後、ゴンドーと二人でフレンド登録に応じないプレイヤーを全部狩った。
俺が五人、ゴンドーが七人狩った。
計算上、これでゾンビは二十六体に。
そして、今この街には、俺、聖夜、カミーユ、シャルロッテ(黄髪ver)、シャルロッテ(巫女ver)、ゴンドー、リラの、七人がいる。
シャルロッテ(巫女ver)とはプレイヤー狩りをしている時に、聖夜と一緒にいる所を発見し、合流した時にフレンド登録した。(その時に、今黄髪を動かしているシャルロッテの本来のアバターは巫女である事が正式に判明した。だが、巫女シャルロッテの本来のアバターは依然分からないままだ)
これで『友好のしるし』を使って、プレイヤーカードが出ればキリバの居場所が分かるし、出なければこの中の誰かがキリバか、あるいはキリバがアバターを乗っ取って動かしているプレイヤーだ。
(シャルロッテを見るに、どうやらキリバは他人のアバターを自由に乗っ取れるらしい。ちなみに、巫女シャルロッテがノリノリで結界とか張ろうとしてたのは、曰く、巫女に憧れてて、で、今日ログインしたら急に巫女になってるし、よし、これで遊ぼう、ってことになったんだとか。適当だな、オイ!)
よし、早速使おう。
アイテムボックスから『友好のしるし』を出して、手のひらの上に出す。
そして、使用するイメージを頭の中に思い浮かべる。
すると、水晶みたいな形をした『友好のしるし』は発光し、眼前にプレイヤーカードが出現した。
キリバ ♂ 21 全職業
フレンド登録しますか? Y/N
すかさずフレンド登録。
そして、俺の視界に、キリバの居場所が移る。
そしてその居場所は――――
その居場所にいるプレイヤーは――――
俺、だった。
…………………………………は?
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