公園の木陰にて
青々とした木々が取り囲む広場には清涼さが満ちていた。
木かげのベンチに腰を下ろす。
木々の間を抜けて、やわらかな風が吹いて来る。風が火照った体の熱を流し去ってゆく。水を一口飲んだ。
蜻蛉が飛んでいる。二、三匹の蜻蛉。風を受けては僅かに風下に流れる。その度、居眠りをする人が舟を漕ぐように、彼らは慌てて元の場所に戻った。蜻蛉は煽られても流されない。透明な流れの中を、高く低く、遅く早く、自在に泳ぎ回る。広場を往き来しているかと思えば、時折急降下して、また登る。
木の葉が日の光を受けて緑に淡く照らし出されている。それは朝日の差し込む障子に似た、やはり、やわらかく静かな光だ。
木々がそよ風に吹かれて深呼吸でもするようにゆっくりと鳴動し、その度に葉と葉が幾重にも重なり合って複雑な模様を作り出す。その模様の間には、太陽がチラチラと輝いている。どんな宝石も、木漏れ日のそれには及ばないだろう。
もう一口水を飲む。
空は青かった。抜けるような青、混じり気のない澄んだ青だった。空はどこまでもどこまでも高い。
真っ白で掴めそうな程くっきりとした雲が浮かんでいる。鋭い夏の日差しがそこに降り注ぐ。汚れを落として真っ白になった洗濯物をよく晴れた日に、カンカンの日照りの下へ干し並べたなら、あのように純白に輝いてさぞ気持ちがいいだろう。
埃も泥も、薄汚れた全部を真っ白に洗い落とそう。そうして天日干しにすれば、最後に残ったものさえも、太陽の熱線が焼き尽くしてくれるだろう。




