助演
今日も仮面を被る
この人には この顔
あの人には この顔
君の前では 笑って
あの人の前では 頷いて
まるで俳優みたいに
今日も違う僕を演じる
台本なんてないのに
それらしく立ち回るんだ
助演男優賞がほしいぐらい
上手くやれてるだろ?
誰かのヒーローになりたくて
世界なんて救えなくても
たった一人の
夜を明るくできるなら
君のために
あなたのために
これは偽りなのか
それとも優しさなのか
鏡の向こうの僕は
何も言わずに笑ってる
正しい言葉なんて
ひとつも持っていないけど
それでも
誰かを救うことがある
強がりだって
誰かの希望になる
だから今日も
この役を演じるんだ
増えていく仮面
遠ざかる素顔
「ねえ、君は誰?」
鏡の中の僕は
今日も笑ってる
笑うことだけ
上手くなったみたいだ
「ありがとう」が嬉しくて
また次の役を探した
誰かを救いたかった
……たぶん
僕も救われたかった
嫌われるのが怖かった
傷つくのが怖かった
必要とされたくて
誰かのためを演じてた
気づけば僕は
僕のことを
置き去りにしてた
それでも明日
また誰かの前に立つ
この人には この顔
あの人には あの顔
それが優しさなのか
弱さなのか
まだ分からない
ただ
君が少し笑うなら
今日も僕は
仮面を被る
いつかこの仮面を
外せる日が来るまで
いや
外さなくても
僕を僕だと
思える日まで
今日も舞台へ向かう
僕は僕のままで
誰かのために
今日も
仮面を被る




