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第六羽 魔将と再び

JURAです!

さぁここからが正念場ですね……魔将とはどんな存在なのか、ご期待くだサイドチェスト!

最後まで読んでくれると嬉しいです!

 『魔将』


 ほとんどの場合、彼らは人間に無関心だ。

それは何故か……


ーーー人が弱すぎるから


 どれだけ力を得ようと殆どの人間は、人間界の魔物にすら苦戦する。

だがその魔物ですら魔界から生存権を剥奪された弱者にすぎない。


 ひとたび魔界の魔物が人間界に入れば、数万単位で犠牲者がでるだろう。そんな化け物達を屈服させ、その頂点に君臨しているのが『魔将』達である。


 彼らの強さは簡単に表現するなら『次元が違う』


ーーーーーーーーーーーーーーー


 魔界と人間界の境が無かった時代。


人類は魔物達の強さに絶望した。

自ら剣を捨て、彼らの矛先が自分たちに向かわない様、祈りながら日々を過ごしていた。


 ある時、転機が訪れる。


『使徒』が現れたのだ。


 使徒は人間を無視して、魔物達を蹂躙し始める。

その強さは圧倒的だった、現れた一体だけで魔物の生存権を大きく狭めるほどに。


 それに激怒した魔将は使徒と終わることのない争いを始める、その激闘は4000年経った今でも続いていた。人類は両者が争う内に、大陸を横断する程の壁を築き、人間界と魔界とを隔てた。

その強固な守りは魔物の侵入をゆるさず、

これにより人類が魔に脅かされない平和な時代が幕を開けるのだった。


 ……だが人は欲望に支配された。

平和に慣れてしまった人々は互いに、

血で血を洗う戦いを始める。そして時代を重ねるごとに増長し、あろうことか領土を求め魔界に攻めこんでしまった。


ーーー結果は惨敗。


 使徒との争いで疲弊していたのにも関わらず、

人の侵攻を知った魔将はたった四人で数百万の兵を屠った。彼らはその争いで人間を程のいい玩具のように弄び、そして何事もなく壁を超え、報復に一つの大国を一晩で滅ぼした。


生き残った強兵は語る。


「奴らには魔法も……兵器も……何も効かなかった、まるで何かに守られているかのように」


 それから時代は流れ、魔将は度々、人間界に現れる様になった。

使徒との攻防の合間に、気晴らしで国を一つ消す者、人間界に傷を癒しにくる者もいる。


 魔将ヴェスパーもそのうちの一人だった。


ーーーーーーーーーーーー


 兵士長ダルメンは壁の一部であるベッツェン要塞で、幾多の魔物を退け、公をあげた勇士である。


 ある日、彼はとある魔将と出会う。

それは突如として要塞内に現れ、首のない女の様な姿で、自分を深淵の魔将だと語った。


「こんにちは、私はメィリィ……深淵の魔将」


 彼女は言った。


「もうすぐ、加速の魔将が空を飛んでこの要塞を越えるよ……巻き込まれたく無かったら……逃げてね」


 剣を構えていたダルメンは、その言葉を聞き警戒をとく。


「……忠告、痛み入る!しかし、私はここを守らねばならない、

相手が何であれ、逃げるわけにはいかぬのだ!」


「そっか、私も命令だから……伝えただけ、

あなた達なんて本当はどうでもいい……それに、ヴェスパーは止められない……きたよ?こっちきて……」


「何っ!ぐおぉぉぉ!!」


 メィリィに腕を引かれた次の瞬間、何かが破裂する様な音と共に、視界を保てなくなる程の風がダルメンを襲った。


 暫くして彼は自分の正気を疑った。


 目の前にあった要塞の一部が、さっきまで自分の居た場所と共に、抉り取られるように消えさっていたからだ。


 「ね?言ったでしょ…………じゃあ帰るね」


 「まっ!?待ってくれ!……何故私を助ける!私の部下達はどうなったのだ!」


 

 ダルメンはメィリィに問い掛ける、すると吹き抜けになった要塞の中から、外の山岳を指差し答えた。


 「あそこ……にみんないるよ……あなた達を助けるのは……仲間の気まぐれ……奇跡だと思ったほうがいい」


「意味がわからん!……これをやったのはお前の仲間なのだろう!」


「……ちがうよ……見て……」


 そう言うとメィリィは指で円を描き、

鏡の様な物を生み出すと、そこにヴェスパーの姿を映し出す。


「これがヴェスパー、そして……わたし。

似てない……仲間じゃない……。

じゃあ今度こそ、帰る……あ、またくるね……」


 メィリィは首の断面から黒い球体を創り出し、その中に自分の体を納め消えた。


 「……は、ははは、化け物め……」


 彼はその日を境に魔将を災害の様な物だと認識し、度々現れるメィリィの忠告を守るようになった。


そうしてダルメルは砦番の任をとかれ、ルイン帝国軍兵隊長として今も生き残っている。


『私が生きているのは彼らの気まぐれだ。

あれから私は願うようになった……

私が生きているうちは……人間たちよ』


……魔将の怒りを買わないでくれ、と




ーーーーーそして現在……




 その願いは叶わず彼の目の前には、

人に殺意を向けた『魔将』がいた。


 「な……!なんなんだぁ?

あの魔物はぁぁ!兵隊長殿ぉ!何をしておいでかぁ、はやくっ!?はやく殺してしまいなさい!

……執行人!何をやっている!!」


 魔将だと知らぬシルバでもプレッシャーに当てられ足を震わせている。

執行人の大男は、先程の衝撃で吹き飛んでからピクリとも動かない。


「……おいっ!?執行人!……ひっ!!」


 シルバが大男に近づくと、首から上がなかった。

ダルメルは広場に集まる住民達に向けて声を上げた。


 「あれは魔将ヴェスパー!!この場にいる者、全員に命令する!即、この街から退避せよぉ!!」


 その瞬間、突然のことでパニックを起こした住民達は、悲鳴を上げながら我先にと逃げだし始める。

しかし人と人とがぶつかり合い、

広場の先の道は詰まった水道の様になっていた。


 「ーーー?ーー!!ーーカチカチカチカチ!!」


 ヴェスパーは節足部から音を鳴らすと、

触手を丸め、腰を落とし、背中から細い管を生やす。


「……!!まずいっ、一人でも多く!住民を!!」


 盾を構え防御魔法を展開したダルメルの判断は迅速だったが、

ヴェスパーの前ではその行為に意味は無かった。


「ーーー!!」


 音速に達する音と共に、全てを灰燼に化す暴風が、


人も、家も、何もかもを飲み込んで行く。


それはやがてドーネットの街全体を包み込んだ。


ーーーーーーーー


 そのころリィズは心身ともに疲弊していたが、

ヴェスパーの能力で眠らされていた。


 「……ひよこさん」


 「ーーーー?ーーーー?」


 ヴェスパーは優しくリィズを揺すり起こす。


 「あ……ヴェスパーさん?……」


 目を覚ますリィズの傷ついた頬にヴェスパーは手を当てた。


 「大丈夫だよ?……もうあんまり痛くないよ……」


 ヴェスパーの言葉はわからないが、リィズは心配されている気がしてそう答えた。


 「……あ!ヒヨコさんは?!……あの後どうなったの?」


 気が付いたように飛び起き、辺りを見渡すリィズ。


 「え?……ここどこ?ん……赤い?……雨?」


 二人の周り一面には何かの残骸しかなく、そして赤い雨は程なくして降り止んだ。


 「あ、ここ……ドーネットだ……」


 リィズは見慣れた肉屋の看板を瓦礫の中に見つけた。


 「ヴェスパーさんが……やったの?」


 ヴェスパーは答えない。


 「……そっか……あ!ヒヨコさん!?」


 ヴェスパーの手の上に雛鳥が眠るようにして目を瞑っている。


 「……ヴェスパーさん?」


 不安気に名前を呼ぶリィズに、ヴェスパーは首を横に振った。


 「そ、んな……!わっ、わた……わたしのっせいだ……ごめんなさい……ご、めん、なさい……!!」


 リィズは大粒の涙をヴェスパーの掌の上に落とした。


 「ーーーーーーー」


 その様子を見て加速の魔将は何かを思う。

そして泣き続ける少女に雛鳥を託くすと、

自分の腕に力を込め始めた。


 「……ヴェ、スパー……さん?」


 右手を鋭い爪に変え、振り下ろす。


 「キャッ!!」


 リィズは一瞬だけ目を瞑り、恐る恐る開く。


 「ー……ーーーー…………」


 そこに映った光景にリィズは唖然とする。

ヴェスパーは自分自身の胸に風穴をあけ、口から大量の血を吹き出していた。


 「…!?なんでっ!だめっ!!」


 慌てて小さな手で穴を塞ごうとするが、

ヴェスパーはそれを片腕で止める。


 「……ど、うしてっ!こ、こんなことするのぉ!?なんでっ!?」


 枯れそうな声で追い詰めるが、喋ることができない彼女は何かを六つの眼で訴えるだけだった。


 そして突き刺した右腕を抜き取ると、もう片方の手でリィズの手を掴む。


 「……ヴェスパーさん!?それ……」


 ヴェスパーの右の手には心臓のように脈打つ、

赤く小さな結晶があった。

それをリィズが持つ雛鳥の口に、優しく入れる。


 「え?」


 リィズは感じた。

さっきまで止まっていたはずの雛鳥の呼吸が再開するのを、そしてその黄色い身体から光が溢れだす。

それは徐々に膨れ上がるように大きくなり、

黄色い羽毛は白い羽毛に生え変わっていく。


 「……ヒヨコさん?……」


 「ーーーーー……ーー」


ーーーーーーーーーー


 俺様は暗闇を彷徨っていた。

今は何もない空間で必死にもがいている。


「俺様には羽があるんだ!飛べるぞ!飛ぶんだ、アイキャンフライ〜」


 なんて遊んでると、どこからともなく声が聞こえた。


 「……もし……もし……死んでしまうとはなさけない」



 聞き覚えのあるセリフをいう優しい声は、つい最近できた友達の声にそっくりだった。


 「ヴェスパー?……何やってんだよ」


 「……あら?元気そうね〜良かったわ〜」


 いつものように軽い調子で話すヴェスパー、姿は見えないが、なんだか安心する。


 「どこにいるんだよ?てかここどこだ?どうなんってんだ!」


 「はいはい、全部答えるから待っててくだしゃいねぇ〜バブバブ〜」


 うん、ぶん殴ろうかな


 「あはっ!冗談だよ〜、怖い感情ダメ絶対!!」


 変な会話をする謎生物を無視して俺様は聞いた。


 「なぁ……もしかして……俺様……死んだのか?」


 「え?!……あ〜、うんそうだよ。大正解」


 ここを漂ってよる間、薄々は気付いていたが、ヴェスパーの言葉で確信がいった。


 「そっか〜、俺様、死んじゃったか……」


 「あら?悲しんでる?2回目なんじゃなかったけ」


 「2回目でも死ぬのは悲しいだろ!それに……」


 俺様にはでっかい心残りがあった。


 「リィズを……助けれなかった……自分が情けないんだ……」


 「あ、そうそう、そのことも伝えに来たのよね〜」


 あっけらかんと言うヴェスパーに俺様はハッとする。


 「そういえば!お前、なんで死んだ俺様と喋れるんだ!……まさかお前も死んだなんて言わないだろうな!」


 国を一つ二つ滅ぼせるって言ってるほど、強い奴が死ぬ訳ないのはわかってる、俺様は冗談混じりに聞いてみた。


 「…………それがね……多分、死んじゃう」


 「……は?」


 「元々ね、使徒にやられてだいぶ弱ってたんだ、だから神血晶も小さくなってて……あ、でも貴方の身体に入れれたから結果オーライかな」


 

 どういう事だ、俺様の身体に何かしたのか?そのせいで死んじまうって事なのか?


 「……今、貴方が考えてる内容で大体合ってるよ、と言う訳でパンパカパーン!私の命の源、貴方に託します!」


 「な?!どういう事だよ……ヴェスパー!なんでそんなことに!」


 「私ね、人の怪我は治せるけど、死は治せないんだ〜……だから昔、私が死んだ時にやってもらった神血継承で治してあげよっかなぁ〜って思ってさ」


 「方法なんて、俺様は聞いてない!なんでお前が死んでまで、俺様を生き残らせるんだってきいてるんだ!」


 俺様はただのヒヨコだ。

俺様が生き返るより、ヴェスパーが生きてたほうがリィズを助けれるだろ。


 「そのリィズがね……生きる意味をなくしそうなの」


 「え?」


 「いくら私でも、自分から死を望む生命体を助けることなんて出来ないよ。」


 ヴェスパーから聞くリィズ様子に俺様は言葉を失う。


 「あの子はね?貴方が思ってる以上に、貴方を大切にしてる……苦しい奴隷生活で、初めて感じた命の芽吹きって感動的だったのね……


 だから……あの子を救う貴方の願いを叶えるには、貴方を生き返らせる必要があったって訳!」



 「でも!

その代わりにお前が死んだら意味ないだろ!」


 「いいのいいの!私は!

だって5000年も生きたんだよ?大往生だよ?

……それに、仲間の所に早く行きたかったんだ」


 言葉の通じる俺様と出会った時の喜び方、こいつはずっと寂しかったのだろう。


 「そうだね、寂しかった……だから貴方と出会えて良かったよ……」


 「バカだぞ……たったの数時間……喋っただけだぞ」


 「それでも?親友?でしょ」


 「……あたりまえだぞ」


 俺様は生涯、ヴェスパーを忘れないだろう


 「ふふっ、嬉しいわね……あ、そうだ、ここはね継承の間っていうんだけど……私も久しぶりだから記憶が曖昧なのよ」


 「契約って……何するんだ?てかいまだに継承ってのが何かわかってないんだが?」


 「え〜っとね、私たち魔将は神血晶っていうのを身体に宿してるのね?」


 「神血晶?」


 「うん、魔将の始祖、魔神の血を固めたものなんだけど……私はそれを暗黒空間から墜落して死んだ時に、魔神様に貰ったんだぁ」


 「……なぁ、もしかして、継承って」


 「ピンポーン!貴方には魔将になってもらいまーす!」


 俺様は手足をバタつかせながら思案する。


 「え?なんで?……なりたくない?」


 「だって人の敵なんだろ!それ!」


 「大丈夫!殺戮衝動とかは湧かないよ!大変なのは……使徒に襲われる事と〜人間に味方すると一部の魔将に襲われるくらいかなぁ」


 それ、拒否する理由として妥当じゃね?


 「ごめ〜ん!!もう殆ど継承すませてるんだよね……

でもでも、魔将になったら強くなるよ?鑑定スキルで自分だけでレベル上げれるし、才能とは違う魔将特性も貰えるんだよ?」


 ヴェスパーは必死になって俺様を説得する。


 「だぁ〜、わかった!俺様も男だ、なる!なります!魔将になるぞ!」


 「本当、良かった〜……じゃあ最後の手続きしないとね」


 「最後の手続き?」


 「そう!貴方の名前を魔の力で縛るって感じなんだけど」


 「あ、俺様、名前ないぞ……」


 「大丈夫、名前はあるわよ?私が考えたんだけど」


 「へ?」


 ヴェスパーは自信満々の声色でいう。


 「貴方の名前は『ベルク』私の故郷の言葉で、

最強って意味があるの」


 ベルク……ベルクか……うん、良いな!


 「気に入ってくれてよかった!……じゃあ、時間もない事だし早速始めようか」


 俺様は身体の中に確かに力が入ってくるのを感じた


ーーーーー私、異邦のヴェスパーは始祖アトラの神血をベルクへ継承する。


 俺様は頭に湧いてくる言葉を紡ぐ。


ーーーーー俺様はベルク、始祖アトラの神血を異邦のヴェスパーより譲り受ける。


 「バイバイ……ベルク……名前……大事にしてね」


 力の奔流は少しずつ俺様の身体に馴染んでいった。

そして、不思議な声が響く。


ーーーーーーーーーーーー


ーー対象ベルクを鑑定します。


 種族 コッコスベビィ 年齢5日 上限レベル3


 力1 速4 守1 魔0 精6 体4


 才能 威嚇C 精神感応B 【error】


この結果を元に対象ベルクを魔将に昇華します。


 上限レベルを上昇、203に変更。


 才能 レベル鑑定Bを習得


 魔将特性を付与します。


ーーーerrorーーーerrorーー


 致命的なバグを発見……特性に変換します


 魔将特性 進化を習得


 特性の干渉により、上限レベル…error

          才能制限……error


 ルールの判定外です……全ての制限を解除します。


 特性 進化を実行


 コッコスベビィ→コッコスに進化します。


 対象を魔将→errorに変換しました。


 errorのベルク様


 お疲れ様でした、以上で継承を終了します。


 次の進化をお待ちください。


 覚醒を促します。


 引き続き『UT』を楽しませてください。


ーーーーーーーーーーーーー


 俺様は継承の間から目を覚ました。


いやぁやっと主人公の名前を出せました。

ここまで持ってくるの大変だった……

ステータスも公開できたし、どんどん楽しくなりマッスル!

良ければ評価とブックマークよろしくね!

作者の励みになりたくなるのだ……

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