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第五羽 立ち向かうヒヨコ

こんばんは!JURAです、バイトから帰ってきたらあらビックリ、遅い時間!急ピッチで完成させました!

できれば最後まで読んでくだサイドチェスト

 俺様はオバハンのスカートから抜け出し、広場に集まる人だかりの中をどう抜けるかで、四苦八苦していた。


 「ピッ!(訳)痛いッ!」


 突然、横腹を蹴られて人混みの外まで転がり出る。


 「……ん?なんか当たったか?」


 俺様の今の身体は凄く小さい、人間が何百と集まるこの場所は巨大な壁の様なものだった。

すこし気を抜くと踏み潰され、蹴り飛ばされてしまう。


 「ピョッ!ピヨピヨピピヨピヨッ!

(訳)クソッ!なんでこんなに人がいるんだよ!」


 怒りを覚えながら再び、人混みに突撃する。


 「ピヨッ…ピヨ!(訳)待ってろ……リィズ!」


 たとえ数日の付き合いだとしても、リィズは俺様にとって沢山の恩をくれた優しい子だ。

そんな子を死なせるわけにはいかない。


 「見ろよ!あれが魔女リィズだってよ!」


 俺様の目の前にいる人間が、口を開いた。


 「あれが元凶か、あいつが死ねば解決だな」


 そんな訳あるか!何の情報に踊らされているのか、ここに集まってる人々は口を揃えてリィズを罵倒する。


 「私の子供が死んだのも、あの子のせいなの?」


 「そうだ!火系の前に四肢を切り落とそう!私たちの苦しみを味合わせてやる!」


 疑問に思う者も中にはいる様だが、過激な言動をする奴も多い。

俺様は焦りを覚え、がむしゃらに人混みを進む。


ーー踏まれ……



ーー蹴られながら……




 身体にできる怪我を気にせずに前に進んだ。


 そしてやっとの思いで、火刑場全体を視野に入れれる場所に辿り着く。


「ピッ!ピピョ!?(訳)見えた!リィズ!?」


 最初に目に映ったのは、柱に括られ血を身体から滴らせるリィズの姿だった。


 「ピ……!ピヨッ!!ピピヨピヨ!!

(訳)血が……!誰がやったんだっ!!ゆるさないぞ!!」


 俺様が前に出ようとすると、人混みがより密集し始める。


 「なんだ?どうしたんだシルバさん!」


 「あいつ!急に刑をやめるとか言い出したぞ」


 「ピッ!(訳)なっ!」


 よく見ると、柱の直ぐ前で如何にも権力者のような男が演説をしていた。


 「ピヨ!ピ?(訳)オッサン!なんでいるんだ?」


 その男の横にはジバエもいる、だが少し様子が変だった。


 周囲のざわめきのせいで、男が何を言っているかはわからないが、奴のおかげで住民の動きが止まり、さっきよりも進みやすくなった。


 俺様が近づいている間、男は命令を出し、ジバエが柱の下にある木積みを登り始める。


 「ピヨ?(訳)本当にやめるのか?」


 そう希望を持ったのも束の間、ジバエがリィズの手についた縄に触れた途端、血を吐きながら地面に転がる。


 『……なんという事だっ!自分を救おうとしたジバエに呪いを掛けるとはっ!』


 男は声を上げ、そしてジバエの元に駆け寄る。

しかし俺様の視界には確かに映っていた、下を向き笑みをこぼす男の姿が。


「ピッ!(訳)あいつだっ!あいつがやったんだ!」


 その様子を見ていた人々は、魔の力を確かなものだと感じたのか罵倒が怒号に変わっていく。

それは嵐のように周りに広がり、瞬く間にそこを地獄絵図へと変えてしまった。


『コロセ……コロセ!……コロセ!!』


 物を投げつけ、泣き叫び、怒りをぶつけ、声を荒げる。


「ピッ……ピヨォ……」


 俺様は悪鬼とかした人々の様子を見て、この姿になって初めての恐怖を覚えた。

『殺せ』という声が響くたびに、前世の暴力の音を思い出す。


 怖い、一刻も早くこの場所から逃げ出したい。

そうだ、最初からヒヨコにできる事なんて何も無かったんだ。

気がつくと俺様は手羽先で耳を塞ぎ、失禁しながらその場を離れようとしていた。


 「油を撒けっ!」


 その声を聞き、逃げ出した俺様は怯えながらリィズの方向を見る。


 「ピッ……」


 リィズの絶望しきった顔が、前世で助けを求めていた女性と重なった。

そして俺様の耳はか細い声を聞き逃さなかった。


わたしは……生きてちゃ……だめなの?


 その言葉を聞いた瞬間、

小さな身体の中で湧き立つものを感じた。



ーーーー次は絶対に逃げたりしないから



 そして俺様は思い出す。


何のために此処にいるのかを……


そして神に誓った言葉を……




 「それでは……執行人!前へ!」


 松明を持った奴隷の大男が、リィズの元へ歩みを進める。


 ーーそうだよな、俺様が感じた恐怖にリィズは今、正面から晒されてるんだ。

できる、できないじゃない、ぼ……俺様が助けるんだ。



 『そうだ!俺様は……立ち向かうんだ!!』



 「ピヨォォォォォォーーー!!!」


 「……ぇ……ヒヨコさん……」


 「あん?コッコス?」


 俺様は大男の足に口ばしをたて、皮膚を力の限りかじった。


 「いってぇぇぇっ!何しやがんだ!」


 大男の悲鳴に住民やシルバが驚く。


 「何事だっ!」


 「こ、こいつが!おでのあしを!」


 俺様は軽く背中をつかまれ、宙に浮く足をバタつかせながら威嚇をする。


 「ピヨッ!ピヨッ!ピヨピヨピー!

(訳)離せこのっ!おまえらっ!ゆるさないぞっ!」


 「……ひよこさん!!だめ!!ひよこさん!!」


 俺様を捕まえた大男に、リィズは声を荒げる。

シルバはそれを見て邪悪な笑みを浮かべた。


 「ころせ……そのコッコスの雛を!皆の物!この雛鳥こそがリィズが魔軍と繋がるために使役した使い魔なのだ!」


 そこへダルメン兵隊長が駆け寄ってきた。


 「シルバ殿……もういいでしょう、その娘はこれから死ぬのですよ、見ればその雛鳥に並々ならぬ感情がある様子、これ以上苦痛を与えるのはおやめください!」


 「ならん!ダルメン殿は甘いのだっ!魔の物は最大限に苦しませるべきだ!やれぃ、その雛鳥を殺せぇぇ!!」


 「ピッ……?」


 俺様は大男に空へ投げられる、そして……


 「だめぇぇぇぇ!!」


 目の前に松明が迫る光景を最後に、俺様の意識は途絶えた。


ーーーーーーー


俺様……死んだのか?……なんだ?泣き声が聞こえる


俺様は何をしてたんだっけ?


……そうだ、リィズ……リィズをたすけなきゃ……


あれ?……なんだか……眠たいなぁ……


これじゃリィズを助ける前に……ねむっちまうよ……


あ……この感じ……前にも……なんだっけ?


……リィズ……たすけ……る……


『わたしにまかせて』


ーーーーーーー


 「……ヒヨコさん!?いやぁぁぁ!……なんで!……なんでなのぉ!!やだよぉ!……死なないでぇ! 


ヒヨコさぁぁぁぁん!!」


 その悲痛な叫びにダルメンは拳を強く握るが、シルバは楽しそうに答えた。


 「安心しろ、お前も直ぐに側に送ってやる、やれぇ!!」


 執行人が柱に火をつけようとした瞬間、


 風を切る様な音と共に、何かが空から降ってきた。


 柱と木津みが吹き飛び、辺りに土煙が舞う。


 「な!….…なんだ!……何が起きた!」


 そして徐々に煙が消えていくとそこに一つの影が現れた。


 「ーーーーー!!ーーーーー?!ーー!」


 それは明らかに人では無かった。

黒く禍々しい硬質な体皮、頭からは無数の触手が生え赤く染まる六つの眼で、腕に抱えるリィズを見つめる。


 「……な!?……」


 ダルメンはソレがなんであるかを瞬時に理解した、南に位置するベッツェン要塞を幾度となく突破され、相見えることすら叶わなかった存在。


 「加速の魔将……ヴェスパー」


 「……ヴェスパー……さん……」


 ヴェスパーはリィズをそっと地面に座らせて、血まみれの雛鳥が横たわる場所まで静かに歩く。


 「ーーーーー」


 そしてその身体を優しく掬い上げると、身体中を震わせる。次の瞬間、その場にいる全ての人間が死を予感する程のプレッシャーをばら撒いた。


『……こんなに人を殺したいなんて思うのは

……私、初めてよ?


……ねぇ、最初に死にたいのはだぁれ?』



最後まで読んで頂きありがとうございます!

やっと書きたい部分に入れた気がしマッスル!

これからもっと面白くしていくので、感想やブックマーク、リアクションをしてくれると嬉しいです!

作者の励みになりすぎるみたいです……

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