第四羽 罪と罰と嘘
こんばんは!JURAです。昨日、勢いで始めた物語ですがどんどん面白い展開になっていってマッスル!
良かったら最後まで読んでくだサイドバック
どうなっちゃうんだ!リィズちゃん!
(三話)修正しました、読んでみてね?
ここは光の届かない地下牢の中。
そこに一人の少女がいた。
目に光はなく、肌には無数の鞭の後が刻み込まれている。
手足は縄に繋がれて、冷たい床に体を預けていた。
ーーヒヨコさん……大丈夫かな……ごめんなさい……ヴェスパーさん……わたし、行けなくなっちゃった……
「なかなか口を割りませんね?」
一人の兵が檻の外で欠伸をしながら言う。
すると恰幅のいい男が、拳をその兵の頭に落とした。
「貴様の手腕が悪いから無駄に痛めつけてしまったのだぞ!!」
「へいいぃっ!すんません!!」
「できれば無傷のまま、魔軍の情報を聞きたかったが」
「ちぇっ……どうせこの後、死ぬじゃねぇかよ……」
小声を聞かなかった事にして、男は不服そうな顔で牢をみる。
「本当に、こんな子供が……魔の力を生み出すと言うのか」
ーーーーーーーー
「ピヨ!ピヨ!ピヨ!(訳)まずいまずいまずい!」
いま俺様は必死に街道を走っていた。
1日だけ肉屋に戻るはずがとんでもない事になった、何なんだよあの兵士共!リィズが何したってんだ!
リィズが捕まった時に服から転げ落ちた俺様は、兵士に果敢に挑む。
「ピヨォ!!(訳)なにしやがんだ!!」
自慢の口ばしは兵のブーツを貫く……ことはなく、
「あん?なんだコイツ、あっち行ってろっ」
俺様に気づいた兵士に首を摘れて路地裏に投げられてしまった。
「ピッ」
その衝撃で気絶しちまって、気づいた時にはリィズも兵士達もいなかった。
クソッ!クソッ!早くヴェスパーの所に行きたいのに、歩幅が小さすぎる。
思ったよりも街が広く、必死に走っても森にすら辿り着く気配がない。
「ピヨゥ(訳)あの隊長みたいな奴たしか、魔の力をどうたらって言ってたよな……」
四日間、リィズと一緒にいたが心当たりがない。
強いて言えば魔法だが、あれはジバエも紫魔法を使ってたし、関係ないだろう。
そんな事を考えながら走っていると、辺りが少し明るくなり始めた。
「ピィッ!(訳)日が登ってきた!」
そんなに時間が経ったのか!?リィズが連れてかれて何時間になる?
チクショウ!急げっ!急げっ!
しばらく進むと見覚えのある井戸が見えてきた。
やったぞ!あと少しで森だ!
でもその前に休憩……
「ピッ?ピヨピヨ(訳)ん?またあの二人か」
眠そうな顔をした女とニヤつく女が井戸端会議をしている。
「あんた、これ見たかい?昨日、魔女が捕まったってチラシ」
「見たわよ……夜中にドアに投げつけられて目が覚めちゃったわよ、殺すんでしょ?早くしてほしいわねぇ」
何かチラシのような物を手に持っている。
俺様は字が読めないから何が書かれているかわからない。
「明朝からって!もう直ぐ始まるじゃないか」
「商会前よね?火刑なんて滅多に見れないから、行きましょ、行きましょ!」
「ん?何だか足元が痒いわね」
「なにやってんだい!早くしなさいな!」
「はいはい!……気のせいかしら?」
もう時間がない、そう思った俺様は女の靴の上にへばりついた、幸いスカートが邪魔してよく見えないのだろう。
「ピィッ!(訳)うげぇっ!オバハンの生足もろにみちまった……」
このまま森に行っても、また蛇に襲われるかもしれないし……ヴェスパーの体力も回復してないかも……
それに今からだと洞窟についてる頃にはもう手遅れだ
「ピヨッピヨピピピ!
(訳)俺様の力だけでリィズを助ける!」
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シルバ商会、この街ドーネットを管理しているギルドである。
そんな商会の前で一本の柱と大量の油が準備されていた。
「お〜!これはこれは!ダルメン兵隊長殿!この度は大罪人を確保して頂き、このシルバ・ブヒル!誠に感謝しておりますぞ!」
煌びやかな服を着飾った男が、胡散臭い髭を撫でながら、ハムのような右手を差し出す。
それに対し恰幅のいい男は握手もせずに、淡々と話す。
「……いえ、わたしは師団長の命を遂行しただけにすぎません」
シルバは一瞬笑顔を崩したが、すぐさま顔を作り笑顔のまま問う。
「ふむ、所で尋問はどうですかな?魔軍の情報は?」
その問に対しダルメンは訝しむ表情をみせる。
「いえ、何も……シルバ殿、本当にあの娘がそうなのですか?私にはとても……」
それを聞きシルバは悲しむ顔を作り、わざとらしく振る舞う。
「つまりダルメン兵隊長殿は、私とアルハイム様を信用できないと?……なんと言うことか!これこそが魔の力!魔の魅了!ダルメン殿は魔に魅せられてしまったのか」
シルバの様子に周りの兵が驚くが、
すかさずダルメンは声張り上げ命令した。
「お前たちは気にするな!商会前の警護を続けろ!」
だがシルバは畳み掛けるように言う。
「アルハイム様の予言が外れた事はない!それはダルメン兵隊長、あなたが一番よく知っておいででしょう?」
「……それは、そうなのですが、しかし公開処刑などと……」
「何を言うのです!この街の田畑が不作だったのは、あの者が魔の力を使ったからなのですぞ!あの小娘のせいでどれほどの餓死者がでたのか!そして我が商会も大損害を出した!」
先ほどの作り笑顔を崩し、怒りを露わにするシルバ。
「しかし、アルハイム殿は魔の力を生み出すとしか言っておられないが……」
「いいや!あやつは奴隷ですぞ、日頃の報復に田畑に呪いを振り撒いたのだ!そうだっ!そうに違いない!魔軍との繋がりも必ずあるはずだ!」
そう言うとシルバが広場に指を刺した。
「見てみなさい、不安を抱いた住民が集まってきましたぞ?被害を受けた彼らを安心させるには、この方法が一番良いのですよっ!」
「………」
ダルメンは黙るしかなかった、確かに少女と田畑の不作は関係ないとは言えない。それができるほど、
魔の力は恐ろしい物だと理解していたからだ。
それに加えて、シルバ商会は国に次ぐ財産を持っていると聞く。師団長からの命令はシルバ・ブヒルの機嫌を損ねないこと、その為に如何に非人道的であっても命令を聞かねばならなかった。
「兵隊長!連れて参りました!」
鈍い音をたてて、リィズが地面に転がる
「現れおったな!このっ!魔女めっ!疫病神めっ!」
シルバは尖った靴でリィズを痛めつける。
「……うっ!……ぐぅ!」
ダルメンは止める事はせず、その光景から目を逸らした。
「ふぅ!ふぅ!清々したわ!ひっ……返り血がついてしまったではないか!誰かメイドを呼べっ!」
シルバはメイドに足元についた血を拭かせると、手を叩く。
「処刑人!この汚らわしい屑を早く磔にせんか!」
そう言うと後ろに控えていた大男が、リィズの手についている縄を引っ張る。
そして柱に縄をくくりつけリィズの身体を磔にした。
その様子を少し離れた位置で住民達が見ていた。
「みろよ、あれが魔女だってよ」
「あんな子供が?」
「バッカ、見た目に騙されんなよ?魔軍と結託して街中に呪いを振り撒いたんだぜ!」
「私は病気を蔓延させたって聞いたわよ!」
その声を聞き、シルバはほくそ笑んでいた。
『これで暫くは暴動を抑えられるな』
シルバ・ブヒル、田畑の不作は彼が私腹を肥やすために流したデマであった。
本来は街に流れるであろう食料品を、あろう事か兵站として別の国に高値で売りつけていたのだ。
しかしドーネットの住民はその事に気付き始めていた。
そんな時、先日王都から通達があった。
貴殿の管理する街の肉屋ジルバブエ、そこにいるリィズという少女が、魔の力を生み出す危険があると。
そこでシルバは思いつく、これを利用して住民の反感をこの少女に向ければ良いのだと。
さっそく新聞屋に手を回して、有る事無い事を記載したチラシを夜、街全体に配った。
『王国師団も私には逆らえない、万事順調であるな!ふははははっ!後は……』
シルバは住民が集まる場所に向けて声を張った。
「ドーネットの民よ、この者はリィズ!魔の力を生み出す大罪人である!
……この者を今日、火刑にかけ全ての罪を償って貰うつもりであったが……」
何だ何だと皆の注目が集まる。
「私はこの者を許したい!」
「……え?」
住民もリィズでさえも困惑の声を上げる。
「処刑前にとある男が懇願に来てな、名をジバエと言う」
すると虚な顔をしたジバエがシルバの横に並んだ。
「この男が言うにはリィズは奴隷の身であり、ことの善悪の区別もつかぬ低脳だというのだ、今まで飯を与え生かすだけだったのが理由だとも」
演説をするようにシルバが言う。
「親も知らぬ愛も知らぬこの者が、魔軍に唆されるのは当然のこと。ジバエの話を聞き私は哀れみを覚えた!それ故に命を奪うのではなく、知恵を与え罪を償う機会を与えたいと私は思う!」
人々はシルバの話に耳を傾ける、最初は反感していたものの、一人感銘を受ける者が現れるとそれは瞬時に回りに広がった。
『我ながら名演説だな……バカな住民どもだ、全て私の掌の上だと知らずに……それでは仕上げと行こう』
「リィズよ!そういう事だ……幾らお前でも飯を与えてくれたジバエは殺せまい!ジバエ、リィズの縄を解いてやりなさい……罪を償うのだぞ!」
「…………私は、……罪なんて」
「ーーーゴフゥ……」
シルバに答えようとした矢先、ジバエが口から血を吐きながら木積みから転げ落ちた。
少しの沈黙の後、周りから悲鳴が響いた。
「……なんという事だ!自分を救おうとしたジバエに呪いを掛けるとは!良心は完全になくなったようだ……もう貴様は人ではない!魔物だ!」
さっきまで静まり返っていた住民が火を吹くように怒号をかける。
「なんて奴だ!シルバさんが許すって言ったのに!」
「アンタのせいでジバエさんも死んじまった……この悪魔がっ!!」
「もう容赦するな!殺せっ!」
「そうよ!私たちの苦しみを知りなさい!死ねー!」
石を投げる者、泣き叫ぶ者、怒りを露わにする者、負の感情が渦巻いていく。
『ころせっ!ころせっ!ころせっ!ころせっ!』
大人達の叱責はリィズの心を残酷に蝕んでいく。
ーーわたし……わたしは……いきてちゃ……だめなの?
最後まで見てくれてありがとうございます!
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そしてヒヨコよ早く助けに来てくだサイドリラックス!