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第91話 煌めけ★真の開拓者アイドル!

 それから俺は、黒い大型の豹のようなシャドウパンサー。平家物語にも出て来る、猿の頭に狸の身体、蛇の尾に、虎の足を持つ鵺というモンスター。小さな銀色のゴリラ、トゥループコンガを倒しつつ、先へと進んで行く。

 魔石は重さで値段が変わるランクだし、まだまだ黒字化には量が足りない。


 それでもトゥループコンガを見つけた時は、少しテンションが上がった。

 というのも――筋肉が凄かったからだ。


「――さぁ、ボス部屋です! 入りますよ~」


〈いよいよか〉

〈7階層のダンジョンとは思えない速度w〉

〈このダンジョンのボスなんだろ? やっぱ獣?〉

〈なんだろう、安定感というか安心感が違うwww〉


 金属製の重い扉を開けた先に――そのボスは君臨していた。

 広い空間の天井が低く見える程の巨体だ。

 体高5メートルはある大きな白銀のゴリラ――シルバーバックを見つけ、思わずゴクリと喉を鳴らしてしまう。


「――皆さんは、フィジークという競技を知ってますか?」


〈フィジーク? ボディビル的なあれ?〉

〈ただマッチョなだけじゃなくて、バランスの取れた良い筋肉を競うアレでしょ?〉

〈ワイ、観に行ったあるよ。会場ヤバかったし、掛け声が面白かったw〉


「そうです! バランスの取れた美しい筋肉を競う場。美しい筋肉――それを持つ者とは……ズバリ、男性アイドル開拓者!」


 俺はテンションが上がり――着ていたTシャツをバッと脱ぎ捨てる。

 あれ?

 いやいや、やっばぁい!

 このTシャツは粗雑に脱ぎ捨てちゃダメな服だった!


〈脱ぎ捨てたTシャツを正座して畳んでるw 可愛いなぁ、もうwww〉

〈あれか、応援してくれるスポンサーの人たちの名前が書いてあるからかw〉

〈あああああ、そういうとこだよ! 締まらないのに応援したくなっちゃうのよな~w〉

〈サラッと流したけど、美しい筋肉=男性アイドル開拓者ではないw〉

〈お兄様の正座! 背筋が伸びてて美しいぃいいいいいい!〉

〈ボスさん、中央でポカンとしてるよw〉


 畳んだTシャツは戦闘に巻き込まれないよう端に置いてっと。


「俺はまだ、アイドル開拓者としてはダンスしか披露出来てません! 歌も苦手、楽器も弾けない! ならば――筋肉で皆さんを盛り上げ、夢と笑顔を与えられるようになれば良い!」


 ドローンカメラに背を向け、肩甲骨けんこうこつ周りに力を入れる。

 少し、筋肉がピクピクと動いたはずだ。


〈全身の古傷、相変わらず格好良いなぁ……。歴戦の苦労を感じさせるというか、人生の詫寂わびさびを感じる〉

〈↑盆栽ぼんさいみたいに言うなwww〉

〈これは美しい筋肉w〉

〈ジャイアントブラックパイソンの胴体みたいwww〉

〈お兄様、鼻血。コメントうてない〉

〈あたおかガチ恋勢が息絶え絶えだから、需要はあるんかな?w〉


「先日のドッペルゲンガー戦で、皆さんが俺の筋肉を褒めてくれていたのを見返して……俺はビビッと来ました! そしてステージでキラキラ輝きながら声援を送られるフィジーク競技を見て、確信したんです。――これなら、アイドルと開拓者両方にフィットする。これこそが、真の開拓者アイドルの在るべき姿だと!」


〈おん?w〉

〈ヤバい方向性に行ってるなw〉

〈お兄様の常識に囚われずに真面目と柔軟を併せ持った思考、私も見習いたいです〉


 人の枠を超える開拓者を恐怖の対象ではなく、人に愛されるアイドルにする事。

 それは大恩ある姉御の願いでもある。

 俺も――出来る限りのアイドル活動をするんだ!


「フィジークではポーズを決めると、観客が掛け声を掛けて盛り上げてくれるらしいんですけどね?――俺が戦っている時は是非、皆さんに掛け声をお願いしたいです! 俺もアイドル開拓配信者らしく、美しいポーズを決めながら皆さんの掛け声をパワーにして戦います!」


〈真面目に戦えよw 後輩の教育に最悪だwww〉

〈ダンジョン怖いと思ってた自分がバカみたい〉

〈ポーズを決めながら戦うって何?w〉

〈掛け声の例を調べてきたけど、面白そうw〉

〈良いぜぇえええ! 愛すべきアホ、あたおかに乗ってやんよぉおおお!w〉


 そうこうしているうちに――シルバーバックが走り寄って来た!

 やはり、お前……中々にキレた筋肉をしてるじゃないか!?

 期待通りだぞぉおおお!


「それでは――俺の公式イメージソング『陽の当たる道を征く』をBGMに、ポージングの数々をご覧下さい!」


 俺はLウォークで肉体美を見せながら歩くフィジーク選手のように、筋肉を美しく魅せながらシルバーバックに歩み寄る。

 同時に、左腕の配信リンク式腕時計を操作してドローンに取り込んでいたイメージソングを流す。

 リピート設定もしたし、唯でさえパチスロが当たったようにテンションが上がる楽曲なんだ。

 これでエンタメとしても――最高に盛り上がるはず!


「さぁエントリーナンバー1番、シルバーバック! そしてエントリーナンバー2番、大神向琉の勝負だ! 来たぞ来たぞ、筋肉祭り……。どちらが美しい筋肉か――貴様に教えてやる!」


 走り寄って来たシルバーバックの掌を掴み、両手で押し合う。

 力と力の純粋な勝負で――俺の筋肉も、バキバキと唸りを上げているはずだ!


〈もうこれ、何をしてる人なの?www〉

〈2番、ナイスバルク!w〉

〈え、もう始まったのかwww〉

〈アホがいるwww〉

〈2番、仕上がってるよw〉

〈あたおか、ノーベル筋肉賞!w〉


 来た来たぁあああ!

 そう、それそれ!

 そんなクスりと面白くも――熱くなっちゃう掛け声を求めてたよ!

 コメント欄との謎の連帯感!

 これこそ、俺流のアイドル活動だと思うのよ!

 コメント欄も掛け声で盛り上がったら――目の離せない、最高にテンションが上がるエンタメじゃない!?


本作をお読みいただきありがとうございます┏○ペコッ


この物語に少しでもご興味を持って頂けたら……どうか!


広告の下にある☆☆☆☆☆でご評価や感想を頂けると、著者が元気になります。


また、ブックマークなどもしていただけますと読んで下さる方がいるんだと創作意欲にも繋がります。


どうか、応援とご協力お願いします┏○ペコッ

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