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第90話 後輩へのレクチャー!

「ヘビの身体は、筋肉の塊です。食べたら、鶏ささみ肉のような味がする事が多いらしいですね。その圧倒的な筋力から余程の実力差がないと――手を出すことも出来ず、骨を折られます。――よっと」


 パワーで腕を引き抜く。

 俺は迫っていたジャイアントブラックパイソンが大口を開いたまま、上下の顎を押さえる。

 凄い咬力だけど……貴重な勉強の時間なんだ!

 負けないぞ!


「特に人体の肋骨は、正面からの攻撃には強いですが、横からの打撃や締め付けに滅法弱いのでね。折れた骨が臓器に突き刺さるか、窒息させられたら終了。だから決して無防備に胴体を巻き付かれるような攻撃をしないでください。ほら、見て下さいよ、この口。ヘビ系のモンスターは、顎の骨を外して自分より大きなモンスターでも丸呑みにしますからね~。噛まれても終了、飲み込まれても窒息で終了。今、俺がなっている状況は絶対的禁忌の例です」


〈そう言う説明は戦闘後にやるんだよ!〉

〈良いから早く逃げてぇええええええ〉

〈やられながら警告する奴がいるかぁあああ!〉

〈いや、俺たちは怖いけど『あたおか』なら余裕だろ。だって拘束からスンナリ腕を出して会話してんだぞ?www〉


 成る程。

 折角リアルなVRカメラもあるし、身を以て失敗体験をしてもらうのも大切かと思ったけど……。

 これを真似する人が出ても困るというのも、また真理だな。


「じゃあ、最後に1つだけ。この鋭い牙から猛毒が出るので……くれぐれも噛まれないでください。――それでは、ここからは正しい対処法です」


 フンッと、身体中の筋肉に魔力や神通力を込め――ヘビの拘束から逃れる。

 そうしてヘビの尻尾を掴み――すかさず、ぐるんぐるんと振り回す。


〈おええええええええええええええ〉

〈目が、目がぁあああああああああああ〉

〈壁と蛇が回るぅうううううううううううう〉

〈あたおか視点酔う。ドローンカメラに切り替えたw〉

〈何メートルもあるヘビが、縄跳びみたいに振り回されてるwww〉

〈バチンバチンと壁にぶつかってるこの光景、ショック映像だろwww〉

〈そいつ何百キログラムあると思ってんだwww〉


「尻尾を掴み、素早く回した遠心力で頭を壁にぶつけ続けるんです! 魔力で筋力が十全に強化されている開拓者なら、これがお勧めですね! 壁に当たって跳ね返るヘビの頭に噛まれないよう、常に振り回すのは止めずに! 気分はハンマー投げで回っている時ですよぉおおお!」


〈開拓者ってやっぱり怖い。というか、あたおかが怖い〉

〈あたおかに姉御の手綱が付いてて良かった。理不尽な境遇でも人類の味方で居てくれる温厚な人で良かった。こんな事を思って悪いとは思うが……〉

〈ワイも人外と呼ばれる開拓者だけど、ここまで人外な動きは真似出来ないwww〉

〈すみませんお兄様、無理です。他のやり方はありませんか?〉


 他のやり方かぁ~。

 そりゃもう、正攻法でしょう。


「咬傷を負わずとも、中には素手で触るだけで破傷風みたいな毒状態に陥る場合もありますからね。正攻法は――」


 ポイッと放り投げ――すかさず、ヘビの首元へ駆け寄る!

 そしてがっちり、両腕でホールドして締め上げる!

 気分は柔道家。

 これなら、ガチガチの装備を固めている人なら肌に触れずとも済む。


「物理攻撃オンリーで自分の腕と筋力に自信がある人は、このようにヘビの首元を抑えます! そうすると、口での攻撃は抑えられますからね。尻尾と胴体がバッタンバッタンしているので、弾き飛ばされないように素早く止めをさしてください! ポイントは、怖がって中途半端な所を掴まないことです。宮本武蔵や柳生石舟斉の有名な言葉に『切り結ぶ太刀の下こそ地獄なれ踏み込みゆけばあとは極楽』という歌がありますけど……。この動きも、その言葉に通ずる所があると個人的には思いますね!」


〈いやいやいや怖い怖い怖い!〉

〈百獣の王芸能人が倒し方をレクチャーしてるみたいになってるぞw〉

〈普通の腕の長さと筋力じゃ死ぬだけだってばよ!〉

〈すみません、お兄様。小柄な者には難しいです〉


 小柄な人……。

 それは、このやり方に向いてないな。


「う~ん。それなら面白味と撮れ高は期待出来ませんが、距離を取って魔法ですかね」


 俺はヘビのホールドロックを外し、すかさず距離を取る。

 ヘビの体長の……およそ2倍ぐらい離れただろうか?

 すると、ヘビはバネのように身を折り曲げた。


「少し気を付けていただきたいのは――ヘビは跳ぶことです」


 もの凄い勢いで跳んでくるヘビの頭を受け流す。

 跳んでくる数百キログラムの身体に当たれば――漏れなく大怪我だ。

 そうして避けた所で――。


「――種類にもよりますが、ヘビモンスターの多くは急激な温度変化に弱いです。だから水や火系統魔法の応用で――このように、急激に温度を下げてやれば動きが鈍ります」


〈ふぁああああああ! 洞窟が一面の銀世界! パッと凍ったwww〉

〈こんなのもう開拓者じゃないよ。魔法でも溜め無しで瞬時にこれは無理。ゲーム世界の生物だろ。もうヤダ。もうヤダぁあああ!〉

〈成る程、参考になります〉

〈↑これが参考になるあなたも、人外枠の御方?w〉


「魔法が苦手な方なら、槍などの長柄武器で頭を壁に突き刺してから、遠距離でダメージをチクチク与えるのが良いと思いますね。1番はやはり、相手の動きを止める事です。ヘビは筋肉の塊な上、猛毒と素早さがズバ抜けてますからね~。真っ向勝負は避けるのが鉄則ですよ?」


〈どの口がそれを言うwww〉

〈さっき真っ向からパワー勝負してただろwww〉

〈驚く超えて、無駄に金のかかったハリウッド映画のワンシーンに見えてきたw〉


 さて、これぐらいで説明は良いだろう。

 まだまだ7階層のボスまで距離もあるし、サッと終わらせるか。


「――ほいっと!」


 手刀で首元を切り落とすと――少し身体をバタつかせ、ジャイアントブラックパイソンは霧散して魔石へと姿を変えた。


〈えぇ……〉

〈そんなアッサリw〉

〈今までのレッスン、全部関係ねぇじゃんwww〉


 定石は定石。

 発展は定石の上に成り立つものだからね。

 胴体を真っ二つじゃなく、出来るなら首元を切り落とした方が安全なのよ。

 モンスターの中には首を落とされても生きてる厄介な奴もいるけどね。


「――さて、ここからはサクサクと進んで行きましょうか。今日のメインは――祭りですから」


 かなり盛り上がってるみたいだけど――まだまだよなぁ。


 ここから、エンタメを更に盛り上げて行こう!


本作をお読みいただきありがとうございます┏○ペコッ


この物語に少しでもご興味を持って頂けたら……どうか!


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また、ブックマークなどもしていただけますと読んで下さる方がいるんだと創作意欲にも繋がります。


どうか、応援とご協力お願いします┏○ペコッ

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