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第86話 新しい日常

 ドッペルゲンガーとの激戦を終え、数日が経過した。


 美尊みことと時間を合わせ、兄妹での交流が出来るようになったのは嬉しい変化だ。

 朝食だけでも一緒に食べられたり……。


 あれから幸せな日々を謳歌おうかしている――だけではない。


 この頃の俺はと言えば、美尊が学校に行っている間には様々なレッスンを受け、夜は配信。

 開拓者ランクは未だEランクだから、Cランク迄のダンジョンにしか潜れない。


 姉御が出した1日300体のモンスターを倒すノルマでチョコチョコと黒字化しつつ――深夜は、ここに来ていた。


「――Dランクダンジョンですけど、ここは落ち着きますね……」


 そう――ミノタウロスがボスである、俺には馴染みの深いダンジョンだ。

 ここには俺が見つけた鉱脈――を他の開拓者が掘り尽くして出来た雪室かまくらのような一画がある。

 ダンジョン飯を1度やった時、昔からお世話になっている苔栽培こけさいばいを含め、調理をする場を整えた。

 今となっては、行きつけのソロキャンプ場みたいになっている。


 ここは食肉が簡単に手に入るから、ダンジョン飯に向いてて便利だなぁ~。

 以前より幾分か立派に設えた竈でパチパチと魔石を燃やし、調理を進めていく。


「――さて、調味料っと……」


 俺は土属性の魔法で作った保管庫から、調味料や食材を取り出す。

 ここ数日、しこしこと地上から持ち込んだものだ。

 腐り足の早い食材は置いていないが、シャインプロの寮に置いてある調味料と遜色そんしょくない品揃えと言える。


〈もうこのダンジョン別荘みたいになってるじゃんw〉

竈門かまどの近くに、岩を加工して調味料保管庫まで作りやがったぞw〉

〈DIYなんてレベルしゃねぇwww〉

〈初心者の開拓者なら、普通に命を落とすランクなんだけどなw〉

〈もうここ、モンスターじゃなくて『あたおか』の食糧庫だろwww〉

〈良いなぁ。私も夫婦喧嘩した時、逃げて1人になれる場所が欲しい〉


「よし、完成! こちらが今日のダンジョン飯! ダンジョン産ポークカレーに、持ち込みサラダ、豚骨スープ苔入りです!」


〈8888888〉

〈スゲぇ見違えたwww〉

〈ちゃんと色合いと栄養を考えてるw〉

〈それポークじゃなくてオークw〉

〈やっぱ地上で採れる食材持ち込むと段違いだなwww〉

〈何がなんでも苔は入れるのかw 普通に人参とかタマネギで十分だったのにwww〉


 この苔には、ダンジョンに住んでた時からお世話になっていたからね。

 入れられそうなら入れないと、ダンジョン飯にならない。


「さて、それではダンジョン飯を美味しくいただきながら、深夜の相談&雑談枠を始めます!」


〈また、あの深夜テンションだなw〉

〈前回は辛すぎる半生を聞いたから、明るい話を聞きたいかも?〉

〈もうすぐ登録者50万人に迫ってるけど、最近の生活はどうなんだろ?〉


 お、俺の近況についての話か。

 そうだよね。

 皆からの相談より、先ずは俺自身の事を話さないとか。

 何処から話したものだろう。

 結構、この数日で色々と変わったからなぁ~……。


「俺の最近はですね~。朝は美尊とご飯を食べて、それから配信までは習い事やアルバイト漬けの日々です。ドッペルゲンガーと戦った日から、随分と様変わりしましたね~」


〈妹ちゃんとまた仲良く出来るようになってよかったな。あたおかが少しでも報われて安心〉

〈習い事かぁ。まぁ10年振りに地上へ上がったんだから、当然だよな〉

〈アルバイト!? 開拓配信者の上前うわまえねられてるせいか……〉

〈どんな習い事をしてるの? あたおかに合えるなら、俺も一緒に通いたいw〉


「フレンチやイタリア式の食事マナー講座、ボイトレに語学。動画編集を始めとしたパソコン関係と様々ですよ。バイトはシャインプロで自分の動画配信の編集とか、所属の娘たちの動画編集や切り抜き作成ですね!……マンツーマンで教えてもらっても、パソコン関係はポカ~ンですけど」


〈とんでもない量だなw〉

〈教育ママも真っ青な勉強量www〉

〈バイト代だけでそんな通えるのか?w 配信収入は1日で千円とかだろ?w〉


 お、良い所に気が付いてくれたな。


「ボイトレやパソコン関係の資格取得はですね~。資格取得支援とかで、シャインプロが出してくれてます! 他の習い事に関しては、マネージャー社長もお金の出所を知らないんですよ。……でもまぁ、間違いなく姉御でしょうね! 他にお金を出してくれる人なんて、いないですから!」


〈はぁ? 金をむしり取っておいて何がしたいんだ?〉

〈姉御の名前出すと、また炎上するよ?〉

〈大宮愛の名前は聞きたくないなぁ〉


 相変わらず――姉御は憎まれている。

 俺の為にと姉御が自らどろかぶってくれた結果とは言え……やっぱり悲しい。


 ちょくちょく姉御の良い所を語りつつも、深くかばって姉御の好意を無駄にしないように気を付けねばならない。

 難しい塩梅あんばいだ……。


「どうにも姉御は、俺にグローバルな人間になって欲しいみたいなんですよねぇ……。まずは英語ですが、中国語やフランス語、スペイン語にロシア語などなど……。パソコン含めて、色々と学ばせたいみたいでして……。開拓者だけでなく一般企業でも働けるようにと、実務経験を積ませるようにしてくれてるみたいです」


〈まさかその為に開拓者としての収入をキツキツに制限した? いや、考えすぎかw〉

〈実際、開拓者として大怪我して次の職が無くて食うに困る人が多いからな。学んで実務経験積むのは良い事〉

〈日本にあるダンジョンは世界から見たら一握りだし、語学は必要よな〉


「まぁ……俺が人見知りするから、語学もマナーもまだボロボロなんですけどね。マンツーマンで一流の講師に指導してもらっているのに、申し訳ない限りです」


〈それもあたおからしくて良いw ゆっくり人間に慣れていこな?w〉

〈他の所属ライバーの動画編集してたら、開拓に関する勉強にもなりそうw〉

〈実力の底が知れない『あたおか』から見て、気になる実力しゃとかいた?〉


 気になる他の開拓者か……。

 未だ低ランクの娘で、光る素質をまだ活かせてない人も居たけど……。

 1番気になるのは、やっぱり――。


「――シャインプロの看板、トワイライト。特に、旭深紅あさひみくさんは……1人の武人として、非常に思う所がありますかねぇ……」


 真っ赤な髪に真紅の瞳をした小柄な少女の事が、俺はどうしても気に掛かる。


本作をお読みいただきありがとうございます┏○ペコッ


この物語に少しでもご興味を持って頂けたら……どうか!


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また、ブックマークなどもしていただけますと読んで下さる方がいるんだと創作意欲にも繋がります。


どうか、応援とご協力お願いします┏○ペコッ

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