↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
82/182

第80話 白星の正体、お前かぁあああ!?

「――ふふんっ。妾《わらわ》を貶《けな》していた愚か者共よ。これで思い知ったか?」


「……白星《はくせい》? 自分が有利に立てると思ったからって、急に喋り始めるなよ。今までの配信では、ず~っといじけて黙ってたのに」


〈ロリ銀狐様ぁあああ! ロリは宝!〉

〈結局ドッペルゲンガーは裏ボスって事で良いんだよな? Sランクダンジョンで生き抜いた『あたおか』が苦戦するドッペルゲンガーを瞬殺する最強の童貞剣とか〉

〈ドッペルゲンガーが致命的に『あたおか』と相性悪かったのもあるけどなw 自分と同じ強さとか、強くても苦戦必至だわ〉

〈刀を引くと金色《こんじき》になれるって事でおけ?w〉

〈↑パチンカスにしか伝わらんネタはやめろwww〉

〈ロリ銀狐様が御神刀《ごしんとう》の正体って事?〉


 お、良い質問だ。


 美尊の配信を乗っ取る形になっちゃったけど……。

 美尊も気になるような目を浮かべているし、良いだろう。

 実は俺も白星《はくせい》の正体について詳しく知らないから、教えて欲しい。


「ふふんっ。妾《わらわ》の正体について気になるか? 良かろう、教えてしんぜよう。先ほども申した通り、妾《わらわ》はかつて――人の世に災厄《やくさい》を呼ぶ大妖《たいよう》そう呼ばれし天狐《てんこ》である。今では幾十《いくじゅう》、幾百《いくひゃく》もの呪術者《じゅじゅつしゃ》や修験者《しゅげんしゃ》が打ったこの太刀にて――天心無影流《てんしんむえいりゅう》の太祖《たいそ》が調伏《ちょうふく》して封《ふう》じ込《こ》め、祀《まつ》る事で荒神《こうじん》となった存在である」


 うんうん、そこまでは俺も聞いた。

 問題はその先よ。


「つまり、白星《はくせい》の正体は……ロリ狐だったの? 天狐なのに?」


「あ、あれは本来の姿ではない! 刀身《とうしん》だって全て解放されてなかったじゃろ!? それ故《ゆえ》に……あの幼き姿を作り出すのみしか、妖力《ようりき》が練《ね》れなかったのじゃ!」


 成る程ね。

 不十分な力の解放によって出来たのが、あのロリ銀狐姿と言うことか。

 あの姿でも、十分にとんでもない妖力を感じたんだけど……。

 本来の姿になったら、どんだけヤバいんだ?


〈ハイ! 一体どんな厄災を巻き起こして封印されるに至ったんですか!?〉


 おお、続けて良い質問!


「ふっ……。人は天災がある度に、神として祀《まつ》る事でその荒振《あらぶ》りを沈《しず》めようとしてきたのじゃ。妾《わらわ》の場合は――主に、不運《ふうん》じゃよ」


「……不運《ふうん》?」


「そうじゃ。妾《わらわ》を解放する条件とも合致《がっち》するのじゃがな……。妾《わらわ》は存在するだけで多大な妖気《ようき》を発し、あらゆる運気《うんき》、神通力《じんつうりき》や魔素と呼ばれるものを――喰《く》らう。妾《わらわ》を解放するには、妾《わらわ》の妖力《ようりき》を押さえ込める程に大量で高い純度の神通力が必須。故《ゆえ》に生半可《なまはんか》な神通力しか持たぬ者は、妾《わらわ》に触れることさえ出来ぬ。無理に触れようとすれば――吹き飛ばされ、災厄《さいやく》に見舞《みま》われるじゃろう」


 ほうほう。

 つまり俺が地上へ上がった初日、ギルドで多くの人を病院送りにしたのは、白星《はくせい》による厄災……祟《たた》りのようなものか?


 存在するだけで人の運気や自然に存在する神通力や魔素を喰らうなら、退治されて当然だよ。

 それって神通力の根本、自然の調和をぶっ壊しているんでしょ?


 要《よう》は――人に仇《あだ》を名《な》す自然災害の根本的原因じゃん。


 天地《てんち》から栄養を吸い取り、必然以上《ひつぜんいじょう》の台風や地震、津波や水害に飢饉《ききん》を呼び込む存在って……。

 思った以上に、はた迷惑な存在だった。


〈鏡が一気に割れたのは、どうやったの?〉


「ふははっ! そ~んなに、妾《わらわ》に聞きたいか!? 良かろう良かろう、答えてやろうではないか!」


 調子に乗ってるな~……。

 狐姿で高笑《たかわら》いしてる姿が目に浮かぶようだ。


「あれはな――単に妖気を思いっ切り出しただけじゃ!」


〈ええwww〉

〈それだけであんなぶっ壊れるの!?w〉

〈なにこの妖刀《ようとう》怖い〉


「あの鏡も所詮《しょせん》は、ドッペルゲンガーとやらが魔素を加工したものであろう? 弱い魔素を加工した物なぞ、妾《わらわ》の妖気《ようき》がドバァアアアンッと喰らい尽くしてしまうわ!」


 実に愉快《ゆかい》そうに、白星《はくせい》は俺の左腰の剣帯《けんたい》で揺れている。


 ん?

 待てよ……。

 自分の周囲に居る人の運気を下げて、弱い魔素を加工したものなんて喰らい尽くす?


「ねぇ……。もしかして、だけどさ? モンスターのドロップアイテムが異常に落ちなかったり、美尊が今日イレギュラーに遭遇した不運とかってさ……。――白星《はくせい》、関与《かんよ》してる?」


「――えっ」


〈動き止まったwww〉

〈そう言えば! 『あたおか』の戦闘で異常にドロップアイテム落ちないのって運気吸われて喰われてた!?〉

〈食いしん坊ロリ銀狐とかご褒美過ぎるw〉


「ちっ、違うのじゃ! 今回、美尊がイレギュラーに見舞われたのは……。その、妾がコメント欄の悪意に触発《しょくはつ》され、怒気《どき》と妖気《ようき》をまき散らしていたから関係あるかもしれんが! じゃが、ドロップアイテムに関しては――……ぁ」


 はい、これは何か心当たりがある奴~。

 言葉尻《ことばじり》で、『あ』とか詰まったら、もう逃げられんぞ!?


「おい、白星《はくせい》? 嘘を吐かず、正直に言えよ? そうしないと帰り道、適当な鉱脈《こうみゃく》でピッケル代わりに使うぞ?」


 俺が自慢の鞘を傷付ける事を仄《ほの》めかして脅《おど》すと――左腰が濡れてきた。

 汗が出てやがんな!?


「あの……。ドロップアイテムって、要《よう》は……魔石のように魔素《まそ》を強固《きょうこ》に凝縮《ぎょうしゅく》した塊《かたまり》とも成れず、そのまま転がったモンスターの身体……。魔素《まそ》の残骸《ざんがい》な訳でのう? 低ランクで米カスのような魔素のアイテムならば……。封印されてても、持ち主ぐらい近距離なれば――無意識に喰らっても、おかしくないかな~なんて?」


「なんて、じゃないよぉおおおッ!? 本当に!? うわぁあああ~……。だからかぁ……」


〈ワロタwww〉

〈あたおか、不憫過《ふびんす》ぎるwww〉

〈救世主からの急転直下展開《きゅうてんちょっかてんかい》でロリ狐様涙目w〉


 思わずショックでしゃがみ込んでしまう。


 通りでSランクダンジョンでも、視聴者が教えてくれた情報よりドロップ率が低いと思った!

 Dランクダンジョンなんて、ゼロだよ!?


「あの……お兄ちゃん? 私も質問して良い?」


「美尊? 勿論《もちろん》、良いよ」


 美尊は俺の大きなシャツを着て、身体を隠しながら片手を上げ――。


「もしかして、だけどね? モンスターのドロップアイテムを加工して作った私《わたし》の装備《そうび》も――食べた?」


「……ぁ」


 そうだよぉおおおッ!

 モンスターの魔素そのままに限りなく近い物質、ドロップアイテムを食べるんだろ!? 

 だったらそれを加工した装備も……。

 だから美尊がこんな、あられもない姿に!?


「……黙秘権《もくひけん》はあるんじゃろうか?」


「それはもう、答えてるのと同義《どうぎ》なんだよぉおおおッ! うわぁあああッ! 美尊ゴメン、防具も槍もウチの白星《はくせい》が壊して……本当にゴメン! か、必ず弁償《べんしょう》させていただきますから!」


 俺はペコペコと、何度も美尊に向かって頭を下げる。


「良いよ。命には変えられないから。私はお兄ちゃんと白星《はくせい》さんに命を助けられた。装備は命を護る物、役目を果たしただけ」


「そうじゃぞ! 命を守れたのじゃから、多くを望むでないわ!」


「なんで白星《はくせい》はそんなに開き直ってるの!?」


〈マジかよwww〉

〈大草原www〉

〈とんだ溶刀でしたねw〉

〈いや、御神刀だろう。お陰様で俺たちは美尊ちゃんのお宝シーンを目に焼き付けられたんだからw〉

〈大神配信ありがとうございますwww〉

〈これは酷いwww〉

〈Cランク開拓者の中でも、美尊ちゃんの防具は抜群に性能が良かったよな? あれ全部オーダーメイドしたら千万超えるんじゃ……〉

〈これに関しては『あたおか』の債務《さいむ》に追加されても仕方ないと思うw〉

〈ここはポータブル基地局の範囲外っぽいから、ドローンから1個降ろして設置すればギルドから報奨金《ほうしょうきん》50万円ぐらい出るからさ……。返済の足しにしてw〉


「うおおおッ!? マジか! 直ぐにでも弁償したいのに、そんな大金なの!?」


「あの、お兄ちゃん? ダンジョン潜って最初に言ったけど、頂き物だから。……槍は自分でオーダーメイドしたけど」


「す、直ぐに返済できるように、お兄ちゃん開拓配信頑張ります! 本当にごめん!」


 その後、俺が謝り倒し――今日の配信は終わりとした。

 激闘の割りに得た物は少なく――成果物報告はなし。


 唯《ただ》、俺たち2人にとっては……大きな成果物を得る時間となった。

 兄妹で仲良く過ごす事が、遂《つい》に認められたんだからね!


 そうして地上へ戻り、泣いていたのか目を真っ赤に充血《じゅうけつ》させている川鶴さんに迎えられた。

 少し雑談をした後、寮へ帰る流れとなったのだが――……。


「俺は車、大丈夫です! 寄っていく所があるので!」


 スマホを翳しながら、2人にそう言う。


「寄っていく所?」


「お兄ちゃん、夜遊び? 私も行く」


「違うって。遊びには、また今度行こう」


「……うん、分かった」


 苦笑いを浮かべる俺を見て、何かを納得したのか――美尊と川鶴さんは、真剣な面持ちで頭を下げ、車に乗り込む。


 走り去る車を見送った後、俺は――さっき、アポイントメントを取った人の場所へ向かう。


「スマホのナビによると、直線ルートは――……」


 そう。

 今回の黒幕の所だ。


 俺は神通足《じんつうそく》で空を駆け――地上に来て目を覚ました、最初の建物へとやって来た。

 1度来ただけだが、どの部屋かは覚えている。


 ノックをすると――。


「――開《あ》いている」


 凜《りん》とした声音で、そう返って来た。


 俺は室内に入り、この部屋の主を見据《みす》えて――。


「そろそろ――種明《たねあ》かしの時間でしょう、姉御?」 


 そう尋ねる。


 落《お》ち窪《くぼ》んだ眼窩《がんが》で炯々《けいけい》と光る瞳が、俺を捉《とら》えた――。


本作をお読みいただきありがとうございます┏○ペコッ


この物語に少しでもご興味を持って頂けたら……どうか!


広告の下にある☆☆☆☆☆でご評価や感想を頂けると、著者が元気になります。


また、ブックマークなどもしていただけますと読んで下さる方がいるんだと創作意欲にも繋がります。


どうか、応援とご協力お願いします┏○ペコッ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。