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第47話 相談枠編(7)美尊ぉおおお!?

「――え? み、美尊みこと……。その、俺をゆるしてくれるの?」


 コメント欄に現れた美尊に動揺し、詰まりながらなんとか声をかける。視聴者の皆は、「美尊ちゃんだ、本人来てくれた!」、「ワイも謝る! どうかゆるしてやって!」などと盛り上がっているようだ。


 ヤバい。

 今の話……本音を聞かれてた?

 どうしよう。嘘は吐きたくないけど、言い方とか……不愉快ふゆかいじゃなかったかな?


 同じ内容でも、伝え方次第(しだい)で相手に与える印象は違うと思うから。


 何で怒っていたのかも分からない段階だけど……兎に角、仲直りがしたい!

 バクバクと胸の鼓動こどうが身体中を揺らす中――美尊からコメントが返って来た。


伊縫美尊いぬいみこと:許すも何も、お兄ちゃんは悪い事をしてない。タイミングが悪いのも、こっちの勝手かって都合つごう。あの時ピリピリしてたから、私はついたりして、お兄ちゃんに甘えちゃってた。ごめんなさい〉


 それは――美尊が俺を許してくれるような内容だった。


 目頭めがしらあつくなると同時に、何度も謝罪させている事実に狼狽ろうばいしてしまう。


「い、いや……。俺こそゴメン! タイミングとか空気とか、俺は経験値が少なすぎで全然分からなくてさ! 妹に甘えられるなんて、お兄ちゃんとして本望だよ、生きてて良かったとさえ感じる!……その、あのさ、俺の事嫌いになってない?」


 このコメントを打ちながら、美尊はどんな顔をしているんだろう?

 笑えているだろうか、まさか泣いてはいないだろうか?


伊縫美尊いぬいみこと:私がお兄ちゃんを嫌いになるなんてない。ずっと配信見てたけど……私の為にありがとう。10年会えなくても、ちゃんと大好だいすき〉


 その『大好き』と言う言葉は――俺を心の底から安心させてくれる言葉だった。


「良かった~……仲直りが出来た! 皆さん、弱音を吐いていた俺をなぐさめてくれてありがとうございます! 無事に美尊と仲直りが出来ました!」


〈あたおかぁあああ良かったなあああw〉

〈マジで嫌われたらどうしようってあせって心配してたもんなwww〉

〈あくまで兄貴としてだからな? そこ勘違かんちがいすんなよ〉

〈美尊ちゃんも兄とは言え、アイドルが軽々《かるがる》しく好きとかダメだよ?〉

〈その理屈りくつだとお前らファンも好きって言われなくなるんだがかまわんのか?〉

〈ファンサービスと個人へは違うだろそんな当たり前の事も分かんないの?〉


 思わず応援してくれていた視聴者さんに喜びをぶつけると、コメント欄では仲直りを祝福しゅくふくしてくれる声と、美尊の言動をいましめる声がみだれていた。


 こ、これが……噂に聞く本物の炎上ってヤツなのか!?


「わ、わ! 皆さん、喧嘩は止めましょうか!」


伊縫美尊いぬいみこと:ごめんない。でも裏切るような嘘は吐けないし吐きたくないから。私は誰にでも正直に生きたい。お兄ちゃんは八つ当たりする私の事、もう嫌いになっちゃった?〉


「え? 当たり前に大好だいすきだけど?」


 即答そくとうに決まってるだろ。

 何を当然の事を聞いてくるんだ?


〈即答で言い切った! やだイケメン///〉

〈あぁああああああお兄様ぁああああああああああああ〉

〈美尊ちゃん。いくらお兄さんでも、仲良すぎじゃない? それはファンへの裏切りだよ?〉

〈今、苦難くなんえて再会した兄弟の感動的な仲直りシーンだろうが。ガチ恋勢こいぜいみっともねぇだまれ〉

伊縫美尊いぬいみこと:良かった。私は考え無しに思った事を口に出しちゃうから。お兄ちゃんも、もう私や周囲に嫌われるのを怖れないで。気遣って本音を隠して、お兄ちゃんが壊れちゃうのは嫌だ。それは悲しい。愛さんも口に出してないけど、私と同じ考えのはず〉


 そうか……。

 俺が本音を隠すと、美尊や姉御にも悪影響あくえいきょうを与えてしまうのか。


「美尊……分かった。嫌われるのをおそれず――正直に、大切な話をするぞ?」


〈なんだ、まさか告白こくはく!?〉

〈タヒねタヒねタヒねタヒねタヒねタヒねタヒねタヒねタヒねタヒねタヒねタヒねタヒねタヒね〉

〈おいふざけんなよマジで〉

伊縫美尊いぬいみこと:何?〉



 れたたきのように流れて行くコメント欄の中でも、一際目ひときわめまる美尊のコメントに対し――。



「――こんな夜遅よるおそくまできてるんじゃありません。美尊みことはまだ子供こどもなんだから、はやなさい?」


 俺はちゃんと、本音で注意をした。


 仲直りが出来たのは嬉しいけど、もう深夜2時を過ぎているんだぞ。

 高校生が起きているべき時間じゃないでしょう! 

 夜更よふかしは美容びようにも健康にも良くないし、心身しんしん成長期せいちょうきなのに夜更かしはダメだ!


〈ふぁあああwww〉

〈あたおか、そりゃねぇわwww〉

〈オカンかwww〉

〈だ い な し ★〉

〈シリアス時間を返せw〉

〈良かった。危うく人をタヒす所だった〉

〈これはヒドいw〉

〈美尊ちゃん可哀想かわいそう

〈あたおか、お前ってヤツは……。良いヤツなのは分かる! でも違うだろ、ここでそれはないよぉおおお!〉


 俺が美尊に夜更かしを注意した瞬間――今までで1番速い速度でコメントが流れて行く。

 鍛えた俺の動体視力どうたいしりょくでも追い切れないかもしれない!

 砂時計すなどけいが落ちるよりも早いだと!?


本作をお読みいただきありがとうございます┏○ペコッ


この物語に少しでもご興味を持って頂けたら……どうか!


広告の下にある☆☆☆☆☆でご評価や感想を頂けると、著者が元気になります。


また、ブックマークなどもしていただけますと読んで下さる方がいるんだと創作意欲にも繋がります。


どうか、応援とご協力お願いします┏○ペコッ

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