第40話 初飯テロ枠食事編
「それではいよいよ、調理の主役の準備! 竈に火を起こします! 石を組み上げた竈の中に、火属性の魔力を込めた魔石を――ダ~イブッ! ぅおおおおおおッ! ファイヤー! 良い感じ!」
魔石に火属性の魔力を込め――丁度良く発火した所で竈へ放り込む!
1個の魔石で轟々《ごうごう》と火の手が強まる訳ではない。でも魔石を両手でポイポイと追加すると――軽くキャンプファイヤーみたくなってしまった!
ちょ、ちょっとやり過ぎたかな?
エンタメ性のある撮れ高を気にして、派手な方が良いと思ったけど……。
ま、まぁ……大は小を兼ねる!
弱い火よりは強い火から調整した方が良いでしょ! 良いんだよ、最終的に食べられるように調理出来れば、過程は適当でもさ!
「それではフライパン代わりの石を熱し、先ずはブロック肉の表面全てに軽く焼き色を付けます。中の肉汁が逃げないように、ですね! 続いてしっかり皮に包み込んだお肉を――鍋にダイブ! ポイントは中央に赤身が残るように!」
〈あ、何作ってるか分かったかもwww〉
〈調味料が無さ過ぎて飯テロ枠ってよりサバイバル枠w〉
〈もしかしてローストビーフ? ビーフってかミノタウロスだけどw〉
「お、正解が出ましたね! そうです、一品目はローストビーフです! 数分火に掛けたら、後は竈から鍋を外して少し熱湯内に放置! 残る1品は単純にして究極のステーキです! それでは焼き石に乗せますよ~!」
〈ぅおおおおおおッ良い音ぉおおお!〉
〈サバイバル飯テロぉおおおおおああああ〉
〈食欲湧いたらさっきのミノ脚を担いでるシーンまで戻るんだ! 直ぐに食欲失せるから!〉
先にブロック肉を焼いてる時に溶けた脂が、良い感じに調理油代わりになっている。
ジュージューと良い音に煙を上げ、肉に火が通って行く。
腹を壊さない為にはウェルダンが良いんだけど……個人的にはミディアムレアぐらいが好み。
「焼けました! 後は残った皮に包み、余熱で中まで火を通します。……ローストビーフも、そろそろ頃合いですね。湯から上げます。粗熱を取る時間は惜しいので――今日は熱さを我慢して切ります! スッスッと刃が通る、これは丁度良い塩梅に出来ましたよ~!」
〈おおお! あんな適当調理だったのにメッチャ綺麗な断面w〉
〈モンスター調理歴10年流石ぁあああッ!〉
〈ぐあぁあああああああああ〉
思った以上に美味そうに調理が出来たからか、コメント欄に叫ぶようなセリフが流れていく。
その間に俺はテーブル、椅子を魔力で拵えて――。
「――さぁ、それでは本日のダンジョン飯です!」
バァンと、更に盛り付けた食事をカメラに写す。
〈彩りが無いwww〉
〈色がきたねぇえええw〉
〈一人暮らしの男飯w〉
〈ワイルドお兄様素敵。食べたい〉
〈調味料とか野菜は持ち込もうぜw〉
〈これがモンスターの肉だったと考えれば十分な出来映え、なのか?w〉
野菜とかの色味が無いから、全体的に茶色っぽい。
例えるなら確かに……サバイバル飯だろう。
でも、これはこれでエネルギーになるはず。肉はタンパク源!……栄養摂取しか考えて無かったからなぁ。
もう少し見栄えが良くなる料理、頑張って覚えよう。
「それでは、命に感謝して……いただきます!」
石で作った重い箸を操作して、まずはステーキを一切れ――口に運ぶ。
〈どうなんだ?〉
〈見た目は悪くないけど、あの筋肉の塊のミノ肉だろ? 硬そう〉
〈あたおか、焦らすなぁあああ〉
〈お兄様、お腹壊しそうなら無理しないで下さい〉
〈やべぇ、普通の開拓とは違う意味でドキドキするw〉
〈食糧事情に革命が起きるのか!? 起きないのか!? どっちなんだい!w〉
焦らしている訳じゃないんだ。
身が硬くて……直ぐには飲みこめないんです!
タイヤより幾らか柔らかい身を何度も噛み締めると、ジュワッと肉汁が溢れて口内へ広がって行く。
ハッキリ言って、食肉用に品種改良された肉になど、味でも食感でも叶う訳がない。
食肉用でスーパーに並ぶ肉と勝負しようなんて、品種改良に頭を悩ませ美味しくなるようエサや環境を考えながら育てる人に失礼だとさえ思う。
調味料も不足しているし、もの凄い野性味溢れている味わいだ。
それでも、俺にとっては慣れ親しんだ味。
ミノタウロスの肉は初めてだったけど――。
「――うん、美味しいですよ! 味は単調で臭みも強くて硬いですけど、馴染みが在る味です!」
〈ダンジョン生活に馴染んでるからだろwww〉
〈あたおか、お前……涙が止まらねぇよ……〉
〈飯テロよりかはサバイバル動画区分だろw〉
〈タイトル詐欺www〉
〈これが本当のソロきゃんwww〉
〈ドローンの光を抑えて焚き火(?)の暖かい光が気持ち良い。色味のない肉は見えません見ませんねぇ〉
〈相談枠やってくれるんだっけ? 相談良い?〉
あ、そうだった!
食事を作って食べるのに夢中で、危うく企画を忘れる所だったよ……。
食事も出来たし、ご飯を突きながらの相談枠を始めよう――!
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