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第38話 初飯テロ枠準備編(2)

「皆さんも知っての通り、モンスターは魔石を砕かれると、まるで弾けるように魔素となり霧散むさんします。調理用に素材を集めるコツは、いかに魔石を傷つけないか。あるいは肉体を構成する魔素を超えないダメージを与えて締めるのが肝要かんようです」


〈※今来た人用。ここで言う調理とは、戦闘の隠喩いんゆではありません。ガチの料理です〉

〈モンスターの調理知識なんて聞くとはw〉

〈地底人が地底でどう生き抜いたか、もっと聞きたい!〉


 あ、そうか……。

 俺にとっては常識でも、コメント欄に居る人にとっては非常識な知識だよね。

 俺がどう生き抜いたか、か……。

 最初から話すと長くなるから、今回は料理にしぼって答えるかなぁ。


「俺が最初にモンスターが食べられるかもと考えたのは――モンスターの返り血を観察して、でした」


〈返り血?〉

〈そう言えば開拓者の装備に染みついた返り血って、いつの間にか消えてるよな?〉

〈開拓者だけどモンスター倒せば直ぐに消えるよ〉

〈これには洗剤会社も顔面蒼白〉


 コメント欄に来てくれている開拓者さんも、モンスターの返り血や肉は直ぐに霧散すると思っているみたいだな。


 それはそうか。普通はモンスターと出会ったら戦って倒すか、叶わないと思ったら直ぐに逃げるみたいだから。

 敵モンスターの返り血を浴びるぐらい致命傷を負わせたのに去る状況は稀なんだろうな。


「モンスターへ手傷てきずを負わせた後に去った時、自分の衣服に染みついた相手の血液は消えるのか?――答えは、4~5日間は消えませんでした。モンスターの肉体を構成している魔素量により個体差はありましたが、それは相手のモモ肉などでも同じです」


 そうこう言っている間に、ミノタウロスの居るボスのフロアまで辿り着いた。


 重厚な門を開き――一気に全力で駆ける!


 余りスプラッタなシーンを配信で見せない方が良いだろうからね!


「はい、本日の食材――ミノタウロスの、新鮮なもも肉をゲット! それでは――雪室のようになっている所で調理しましょうか! 良い感じに落ち着きそうですから。他の開拓者さんが掘ってくれた場所を無駄にしないよう有効活用です!」


〈ふぁっ!? ミノタウロスの足が、あたおかの手に!?〉

〈もう驚き疲れたわw 多分、高速で動いて切ったんだろw〉

〈モンスターの食料庫の近くで調理w あたおかの食料庫に改名した方が良いだろw〉

〈他の開拓者のみなさぁあああん! 今ミノタウロスは片脚だからチャンスですよぉおおお〉


 成る程、この辺りの知識も俺と視聴者さんの常識ではズレがあるようだ。


 手負いのモンスターは――何時までも手負いで居てはくれない。


 調理場――食料庫へ通じる道に向かいながら答えよう。


「ちなみに身体を欠損けっそんしたモンスターの肉体は、時間をかけてトカゲの尻尾のように再生しましたね。この速度にも個体差がありましたが」


〈初めて知ったよwww〉

〈真面目に研究報告とかすれば?w〉

〈良く分からん研究してる我が大学で研究して欲しいジャンルw〉


「け、研究って程ハッキリ分からないんですけど……。俺の経験上、魔石から離れたモンスターの肉体は徐々に魔素を放出し、構成するのに必要な一定量を下回ると霧散するんだと思います」


〈ほうほう〉

〈霧散するのは倒した時と一緒か〉

〈担いでる足がグロいw〉


「それでは霧散する前に消化吸収すればどうなるのか。その答えは――自分の存在に上書きされるように栄養となりました」


〈ふぁあああ!?w〉

〈存在を上書き?w〉

〈栄養はそうやって摂れてたんだろうねw いくらあたおかでも、地底で栄養摂らずに10年は生きられんからなw〉

〈ミノタウロスの足グロい。マジで深夜枠で良かったな〉

〈ガチの飯テロでワロタw これは食欲失せるw〉

〈普段は気付いてないだろうけど、スーパーに並んでる食材も似た工程だかんな? 大人への教育枠だw〉


 お、大人への教育枠……。

 一理ある……のかな?

 10年前、食材として売られてるお肉がどう下処理されてスーパーに並んでるのか~なんて、考えてもしなかったもんな。

 そもそもモンスターを食べようとする人が俺の他に居るかは置いておいて、他の人が安易あんいに真似しないよう注意喚起ちゅういかんきはしなければ!


「実証してない仮説なんですけど……。元々ダンジョン災害によりあふれた魔素や謎のウイルスに適合した人間が魔力を操る資質を得ると姉御から聞きました」


〈今の定説ていせつではそうだね〉

〈俺も開拓者になりたかった……〉

〈選ばれた者とそうでない者みたいな論争はあるよな〉


 やっぱりか。コメント欄でも意見があるけど、開拓者みたいな力を得られた側と、得られなかった側では互いに思う所があるみたいだ。


 となり芝生しばふは青く見えるってヤツなんだろうけど、資質を得られなかった側からすると――ズルいと感じるかもしれない。


 それは……凄く嫌だ。


「結局、体質の違いだと思うんですよね。ダンジョンが出来る前から、俺とか姉御は――修練で神通力じんつうりきという力を体得していた訳なので! だから、希望を捨てずに修練しましょう!」


〈それがスゲぇよなwww〉

〈降って湧いた力だけじゃなくて自力でモンスターと戦う力をつけたのか。なんだこのイケメン殴り……なんでもありません。怖いので殴らないで!〉

〈お兄様の強さは借り物じゃない本物です!〉


 こうして俺の努力を認めてくれるコメントを見ると嬉しくて、ちょっと泣きそうになる。

 コメント欄の人たち、あったけぇよぉ……。

本作をお読みいただきありがとうございます┏○ペコッ


この物語に少しでもご興味を持って頂けたら……どうか!


広告の下にある☆☆☆☆☆でご評価や感想を頂けると、著者が元気になります。


また、ブックマークなどもしていただけますと読んで下さる方がいるんだと創作意欲にも繋がります。


どうか、応援とご協力お願いします┏○ペコッ

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