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第156話 姉御からのお誘い? まるでデー……

 いや……。黙ってられずに口を出してしまった俺も悪いんだけどさ?

 もう、何が何だか分からない方向でガヤついてるじゃん?


 助けてください、川鶴さん!

 こんな時の我らが社長!


 そんな気持ちで川鶴さんへ視線を送ると、何度か視線を彷徨わせてから――。


「――ええっと……。それでは纏めさせていただきます。開拓者に危険は付きものではありますが、強くなる事で自分も他者も護れる幅も広がる。今回の一件も含め、そう考えた深紅さんやトワイライト、そして私たちは――来週末、指導も兼ねて大神向琉さんとのコラボを決定しました!」


〈ああ、そう言う話だったねwww〉

〈親子問題が赤裸々になりすぎて忘れてたわ〉

〈う~ん。自分の娘が開拓者になりたいって言ったら、身体を張って止めるかな……〉

〈あたおかの方が開拓者ランクは低いんだけどなw まだDランク開拓者なのを覚えていますか?w〉

〈↑忘れてたw どうせ直ぐSランクになるだろ(鼻ほじ)〉

〈シャインプロは命の危険が少ないダンジョンへ堅実に挑ませるけど、美尊ちゃんの転移トラップと言い、絶対はない世界だからなぁ……。俺たちに出来るのは応援だけだ!〉


 川鶴さん、ナイス!

 軌道修正、成功!


「それではコラボの続報はまたSNSにて配信させていただきます。この度は、ご心配とお騒がせをしてしまい誠に申し訳ありませんでした!」


 深々と頭を下げる川鶴さん。

 同じように頭を下げようとするトワイライトの面々。


 でも――川鶴さんがそれを止めた。

 そうだよね。

 心配をかけた事に関しては、もう最初に『ありがとう』って頭を下げたしね。

 これは謝罪なんだから、被害者が頭を下げるのはおかしい。


 深紅さんも、そんな川鶴さんの発する心情を察してか――。


「――皆さん、ウチの毎日配信は、これで終わりませんっ! 今日もこの後……1時間だけトワイライトでダンジョンへ潜って修練します!」


 深紅さんの言葉にトワイライトの面々は――苦笑を浮かべながらも、止めない。

 唯、川鶴さんは――。


「――は、へ!?」


 まだ生放送中なのに、凄い顔で驚いていた。


〈いや、流石に今日は自重しようよ?〉

〈事件あった日にってのは、危なくね?〉

〈体調はもう大丈夫なの? 本当に1日も欠かさずに鍛錬するんだね……〉


 コメント欄も、深紅さんを心配する声に満ちていた。

 でも、深紅さんは――。


「――危険と言う意見も分かります。でもそんな時に背中を預けられる仲間……パーティは存在します! ウチは美尊と涼風を信じてますんで!」


〈これがパーティの絆……〉

〈開拓者だけど、恐怖でダンジョンへ1度潜らなくなると心理的に動きが鈍る。怖い思いをしたなら、自分は強いと思えるようにかえって潜った方が良い〉

〈↑成る程な。誇大妄想じゃないけど、実像以上に巨大なものになる前に正しく払拭する訳か〉


 うん……。

 確かに、実像以上に巨大なものに見えて怯えてしまうのは、戦場に出た兵士でも――格闘家でも言える事だ。


 恵体で連戦連勝、ゴングと同時に相手へ走って行った格闘家が――1度の敗戦から、前に出られず敗戦続きになってしまうのと似ている。


 ルールに守られた格闘技なら、1度の敗北で命を落とす事は開拓者ほど多くない。

 でも開拓者は――単身なら、敗北が即ち死を意味する。

 懸案事項けんあんじこうは増やすべきじゃない。


 そう考えると、深紅さんの考えにも賛成だった。


「それに――今は最強クラスの護衛が借り受けらるっすからね! ダンジョンの中まではついてこないでもらいますけど……。外から刺客が放たれるのは、防いでくれますよね?」


 深紅さんは俺に向かって問いかけていた。

 まぁ……1時間だけだと本人も言っているし、良いかな?


 俺が指でオッケーマークを作ると――トワイライトの面々は、朗らかな笑みを浮かべた。


「それじゃ皆、また1時間後に! 今度は悲しい会見じゃなく冒険で会いましょう! また後でね~!」


 快活かいかつに手を振り、トワイライトは――配信を終了させた。


 若いけど……良いなぁ。

 これが仲間を思い合う友情を育んだパーティって奴なんだろう。

 俺も天心無影流の門下生たちが生きていたら――姉御や兄弟子たちと、こうしてパーティを組んでいたのかな?


 そんなありもしない未来、あったらボコボコにされて、ぴえんぴえん泣くであろう妄想を打ち切り、俺はトワイライトの護衛として、川鶴さんと地上で待つ。


 入ったダンジョンは流石に疲労もあるからCランクダンジョン。


 そうして地上で待つこと1時間。


 地上へと続く階段前で、トワイライトの面々は今日の成果を報告している。

 襲撃者も無く、無事に終わったようだ。


 そんな時、俺のポケットでスマホが揺れ――。


「――え」


「大神さん? どうしました?」


「あ、姉御から――ディナーに誘われました」


 決してお前を飯にしてやろうか、と言う意味ではない。


 姉御から来たメッセージには『話したいこと、渡したい物が沢山ある。労いもしたい。とは言え、向琉も疲れて腹も減っているだろう。3人娘を送り届けたら、ここへ来て欲しい』。そう書いてある。


 そこは――完全予約制、個室有り。

 オシャレなお酒やご飯が載った、フレンチビストロ――レストランのリンクが張られたページだ。

 こういうお店って……お酒がコースに付いてくるんだよね?


 何気に俺、お酒飲むのは初めてだ。


 完全個室でお酒付きのディナーとか――まるでデートみたいじゃないか。



本作をお読みいただきありがとうございます┏○ペコッ


この物語に少しでもご興味を持って頂けたら……どうか!


広告の下にある☆☆☆☆☆でご評価や感想を頂けると、著者が元気になります。


また、ブックマークなどもしていただけますと読んで下さる方がいるんだと創作意欲にも繋がります。


どうか、応援とご協力お願いします┏○ペコッ

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