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第153話 爆弾発表!

 そうして18時30分。


 何故か俺も、事務所へと呼び出されていた。

 今は会見に使うカメラのチェックをしている。

 なんでも、俺が参加するのは深紅さんたっての希望だと川鶴さんから説明を受けた。


「やはりモンスターに日常的に襲われていても、男性に襲われるのはまた違う不安があるんだと思うんです。深紅さんはまだ女子校生ですし、旭プロの件で……責任も感じてますから」


くだんの男は、旭プロの関係者だったんですか?」


「それはまだ取り調べ中でして……。唯、自分よりも強い人に傍に居て欲しい。その気持ちには私も同意です」


「成る程。まぁ俺のBランクダンジョン単独配信は、明日の予定でしたからね。俺なんかが要るので安心してもらえるなら、構わないですよ!」


「そう言っていただけて良かったです! それにここで発表する事の1つは、大神さんにも大きく関係する内容ですからね!」


 俺に関係する内容?

 何だろう……。

 あれか、深紅さんを助けたから……その時の状況説明とか?

 これはまた、キラーパスが飛んでくるのを覚悟しておく必要があるかなぁ……。


「あ、時間です。カメラ回して良いですか?」


 カメラの向こう、長テーブルを前に椅子へと座る3人。

 斜向はすむかいの椅子に腰掛けた川鶴さんが頷いたのを見計らい、指で3、2、1とカウントをする。

 そうしてカウントがゼロになった所で――配信を始める。


 伴ってディスプレイにも沢山のコメントが流れだした。


〈事件あったとか? マジ?〉

〈深紅ちゃん平気なの?〉

〈映像的には無事そう。良かったぁあああ〉

〈あたおかが警備してて助かったんだって?〉

〈運営は警備足りねぇんだよ。開場に不審者入れやがって〉

〈↑凶器も定かじゃない開拓者は中々防げない。だからテロとか社会問題化してんだろ〉


 SNSでも様々な憶測――それこそ、重傷説から誘拐説まで飛び交っていた。


 不幸中の幸い……とでも言うべきなのは、これで深紅さんを監視する世間の目が更に厳しくなる事だろう。

 旭プロも犯罪紛いの汚い手は、打ちづらくなったとも言える。


 だが姉御も言ってたように――窮鼠猫を噛むとも言う。

 油断は禁物か。


 コメントの様子を見ながら、まずは川鶴さんが深々とカメラへ頭を下げ――。


「――皆様、今回はお騒がせして申し訳ございませんでした。先ずは心配してくださった皆様に、厚く御礼申し上げます」


「「「ありがとうございます」」」


 深々と頭を下げる女性陣4人に、コメント欄も急にクールダウンして行く。

 こうまで正々堂々と非を認めて謝られ、更には被害者までもが頭を下げているのでは、それは責め辛くもなるだろう。


 シャインプロの運営に問題があったとの声は、未だに続いているけどね。


「本件の流れに付いて、改めてマネージャー兼社長である私から簡潔かんけつに御説明します。事はライブ後の握手会で起きました。男性は特に目だった凶器も持たず、他の参加者同様に深紅さんと握手へ臨みました。そして握手をして僅か数秒以内の間に、深紅さんは身体中に痺れを感じられたとの事です」


「はい! ウチの目の前でしたからね、魔法を発動した様子とかはありませんでした」


「動機や犯行の手口に関しては、警察にて取り調べの最中でございます。また現場に駆けつけた警察官にも事情を深紅さんの口から説明しております。本件は被害届を提出するつもりですので、事件の手法等の詳細に関しては調査待ちでの発表となる事をご理解ください。先ずは深紅さん本人の、皆様へ無事な姿を見せたいとの希望を優先させていただきました」


 川鶴さんがそこまで口にすると、深紅さんは席から立ち上がる。


「改めまして……この度は、御心配とご迷惑をおかけしてすみませんでした!」


〈深紅ちゃんが謝る事じゃないでしょ〉

〈そうそう、被害者なんだから。謝るなら容疑者と杜撰な管理をしてた運営〉

〈事件が起こる前に防げねぇから無能って言われんだよ〉


 コメント欄は深紅さんに対して、極めて同情的だ。

 だが、そのコメントを観て深紅さんは――。


「コメント欄の皆様は、ウチに責任がないと言いますが――ウチ自身は、そうは思いません」


 この発言には、俺も驚いた。

 自ら火種に油を注ぐような発言だから。


「例えばこれがオーナー……大宮愛さんが狙われていたら、どうでしょう? 或いはウチを助けてくださったお兄様……美尊のお兄様、大神向琉さんならば、さらわれかけるなんて無様を晒したでしょうか?」


 あ、ここで俺が関係して来るのか?

 う~ん……。


 そう言われると――常在戦場の心が足りなかったね、とか鬼みたいな感情を抱いてしまう。


 どうしても武術家としての自分が最優先に来るから……。


「現に、お兄様は午前中に1499人と握手をしていますが、ピンピンして炎を纏い水と風を操りながら空で踊るパフォーマンスまで見せました」


〈そんな人外と比べちゃダメ!〉

〈↑いや、だからこそ人外を警備として隠してたんでしょ? ファインプレイじゃん〉

〈何その有り得んエピソード。マジなの? あたおかならやりかねんかw〉

〈やってる光景、屏風に書かれた風神雷神と同レベルじゃんwww〉

〈↑あたおかと姉御が戦う光景を絵がいた屏風か。ヤバいなw〉


 深紅さんは、コメント欄が人外と比べちゃダメだとか……。

 少数でも自分の意見に頷く風潮ふうちょうになっているのを満足気に観て――。


「――そこで、ウチらトワイライトは……来週末の土曜日、大神向琉さんとダンジョンコラボ配信&修行をしてもらう事に決めました!」


 満足気に、そう言い放った。


 えぇ……。

 コラボの話はあったけど――こんな爆弾的タイミングで発表とか、ちょっと聞いてないんですが……。



本作をお読みいただきありがとうございます┏○ペコッ


この物語に少しでもご興味を持って頂けたら……どうか!


広告の下にある☆☆☆☆☆でご評価や感想を頂けると、著者が元気になります。


また、ブックマークなどもしていただけますと読んで下さる方がいるんだと創作意欲にも繋がります。


どうか、応援とご協力お願いします┏○ペコッ

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