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第141話 開拓をしない開拓配信者の雑談配信!

 涼風さんと話した後も、無事に残りの授業を終えられた。

 そうして今日も今日とて、やりたい事をやる為に学校へ残っている。


 職員室の時計が指し示す時刻は、現在23時。


「――この動画を送信して」


 タブレットのAIにそう告げると、目的だった生徒へ動画が送信される。


「ふぅ……」


 流石に疲れて来た。

 少し中休みを入れるか……。


「明日……最終日にやる内容も生徒へのアンケート結果が出て、無事に決まったしね。少し休憩だぁ~」


 そう思い、自分のスマホを手に取る。

 自分のスマホを開くのも久し振りだな。

 ずっと開拓学園から支給されたタブレット端末を触っていた気がする。


「あ、SNSを偶には更新しないと……ぇ」


 久し振りに自分のSNSアカウント――地底人開拓配信者と補足説明ほそくせつめいされた大神向琉のアカウントを開く。


 最後に更新したのは、月曜日に『臨時講師の仕事とフェスがあるので、今週は配信が出来ない』。


 そう投稿したものだ。


「うわ……。やっぱり燃えたかぁ……」


 リプを見れば『開拓配信出来ないなら、引退して名前変えれば?』、『開拓配信しないなら、もうそのまま教師になれよ。本業が出来ないぐらいの仕事量なら受けるな』、『臨時講師をした後に、今までみんな開拓配信をしてた。やれないとか言うのは甘え』と過激な内容。


 単純に『寂しい』とか『つまらない』と言ったシンプルなコメント。

 勿論、『寂しいですが、頑張ってください』と言った旨の内容もある。


 今日――木曜の夜遅くに至るまで、未だにコメントで舌戦を繰り広げている物もあった。


「喧嘩は良くない――ぁ……ぇ?」


 視聴者同士の喧嘩らしきコメントを追っていくと――俺を擁護ようごするコメント。

 その中に、動画が張られているコメントがあるのに気が付いた。


「ぇ……。『大神先生は今までの臨時講師では絶対にやってくれなかった事をしてくれてる。ここまで全力で生徒を教え導いてくれる開拓配信者が今までいたか? 金目的や渋々って内心が透けて見える人ばっかだったぞ』って……」


 そのコメントに添付されて投稿された動画を開くと――俺の姿と声が流れ出す。


「これ……。俺が撮って送った、個人宛の指導動画なのに……」


 流出した?

 いや、学園のセキュリティは最先端で、万全だ。


 指導動画は生徒に送ったら、そのままデータを削除している。

 送り間違えもAIとのダブルチェックにより、限りなく低い可能性だ。


 だとすれば――この動画を送られた本人が、SNSに貼り付けて庇ってくれたと言うことか。


「うわ……。他にも沢山、動画を実際に張ってくれてる。自分の投稿欄にまで……」


 送った指導動画では、相手の名前など――個人情報だって出している。

 個人情報の流出も怖れず、多くの生徒たちが感謝の言葉と共に証拠の動画を張ってくれていた。


「ははっ……。美尊や涼風さん、深紅さんまで動画投稿付きで庇ってくれてるや……」


 1日に付き、約900人の指導。

 当然、授業時間だけでは全員の指導なんて出来ようはずもない。


 だから――姉御や川鶴さんに頼み込み、開拓配信を中止にしてでも、個別指導の動画を送らせてもらった。


「長くても30秒から45秒のショート動画だけど……。感謝してくれてる事に、感謝だなぁ」


 翌朝までには届くように、俺も連日頑張った。

 1人に付き1分の作業時間を要す。


 そう単純計算すれば――合計、900分。

 つまり、15時間の作業。


 AIのアシストで最速化しても、翌朝の登校時間へギリギリ間に合うかな~。

 そんなレベルだった。


「でも……やって良かった。こんなに喜んでくれるなら、やって良かったなぁ……。講師役の努力に、ちゃんと応えてくれる生徒も居たからね」


 その結果、翌々日の再稽古せいけいこには――指摘した箇所を見事に修正してきた生徒も多い。


 深紅さんや涼風、美尊もその1人だ。


 言っては難だが、指導に恵まれなかっただけで――翌々日の授業で目覚ましい成長を遂げた生徒も確認している。


「……これだけかばってくれてる人が居るなら、状況説明も兼ねて……やってみるか。――雑談配信を」


 30分ぐらいなら、配信をする余裕もあるだろう。

 俺は夜分遅くに申し訳ないと思いつつも、川鶴さんに突発配信をして良いかメッセージで聞いて見る。


 すると――直ぐに既読が付いた。


「この人……仕事とプライベートの境界がメチャクチャだぁ……」


 またしてもブーメランが突き刺さりそうだけど……。


 川鶴さんの仕事へのアンテナ力にビビる。

 川鶴さんは『直ぐにSNSで告知をします。告知の時刻から配信をどうぞよろしくお願いします』と返して来た。

 その言葉通り、SNSを見れば――僅か5分後に配信をすると告知がされている。


「こっちの事情を鑑みた、抜群の行動力……。すんごい。僕じゃなければ見逃しちゃうね」


 とか巫山戯て言って見たけど――告知はみるみる拡散されて行く。

 俺はスマホを立てかけ、雑談配信の準備を始める。


 そうして、予告した時間が来た。


「――よし、配信開始! み、皆さんこんばんは! お久しぶりの大神向琉です!」


〈しゃあああああああああ〉

〈久々ぁあああああああああああ〉

〈お兄様ぁああああああああああああ〉

〈来たぁああああああああああああああ〉

〈開拓配信をしない開拓配信者が。ダンライバー止めれば?〉

〈↑あ? あのレクチャー動画観てねぇの?〉


 お、おぉ……。

 やっぱり久し振りだからか、コメントも早い。荒れてるのも混じってるな。

 荒れてる分、俺の開拓配信を楽しみにしてくれる人が多いって事でもあるけど……。


「最近、開拓配信が出来てなくてすいません! でも今は、この臨時講師に生徒の命が掛かってますから!」


 俺がそう言うと、コメント欄のざわめきが増した――。



本作をお読みいただきありがとうございます┏○ペコッ


この物語に少しでもご興味を持って頂けたら……どうか!


広告の下にある☆☆☆☆☆でご評価や感想を頂けると、著者が元気になります。


また、ブックマークなどもしていただけますと読んで下さる方がいるんだと創作意欲にも繋がります。


どうか、応援とご協力お願いします┏○ペコッ

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