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第11話 文明の利器。あ……白星、忘れててゴメンね

「あの、川鶴さん……。俺が慌てたせいで、すいません!」


「い、いえ! 頭を上げてください! お、オーナー、なんとかしてください!」


「ん? そうだな」


 姉御はそう言いながら、頭を下げる俺の後頭部こうとうぶにぎり――。


「――まだ高いと思うんだよ」


「な、何がですか姉御?」


「頭がだ!」


 そう言って姉御は――いきおいよく床へと俺の額を押しつけた。いや、叩き付けた!


「痛いですよ!」


「暴れるな! 貴様のせいで、私がどれだけ各所かくしょに頭を下げねばならんと思っている! これから深夜まで! 私は頭を下げる為のアポイントメントで一杯なんだッ!」


「え、ええ!? な、なんでそんな事になったんすか!?」


「貴様が腰にいていた太刀たちのせいだ!」


 あ――白星はくせい

 そう言えば、腰に下げてないや。どこに行ったんだろう?


「貴様、気絶した時、ギルドにあのインテリジェンスウエポンを落としただろう!? あいつに触れようとしたギルド職員! そしてギルドのおえらいさん! みんなが弾かれてケガをしたんだ! おかげで私は謝罪行脚しゃざいあんぎゃ、見舞い行脚あんぎゃだ! 手土産てみやげ自腹じばらで買わねばならんッ! 私が持つ資産を返済と裏からの根回しや貴様が地上で生活できる準備費に当て、それでも不足する分は築き上げた信用を使い借金したというのに……」


 えぇ……。そんな事を言われましても。

 いや、姉御の資産を食い潰し、信用を切り取ってしまったのは誠に申し訳ないとは思うんですが……。

 普段から腰に剣帯けんたいを着けていてるし――あ、そうか。岩へ叩き付ける時に取ったんだ。

 それで美尊みことと一緒に腕に抱いて持っていたはずだけど……。そっか、気絶した時に落としちゃったのか。

 なんで皆は弾かれたんだろ?――放っておいたから、白星はくせいもぶち切れてるのかな?


「――ほら。貴様のスマホと寮のカギだ」


 床にドッと、スマホとカギが落とされ、俺の顔の横で転がる。


「必要な物はスマホにインストールしてある。『冥府行きのダンジョン』の場所も、寮の場所も、ナビアプリを使えば行けるはずだ。果たして……走りで往復おうふく、何時間で行けるかな?」


「あの……オーナー? 車でも片道1時間かかるんですけど……。電車賃、貸しましょうか?」


 やっぱり天使は川鶴さんだけだ!


「甘やかすな。……私が意地悪でこんな事をしていると思うか?」


 思います。

 というか、修行させようとしているんだと思います。


「往復数時間もスマホを使いながら街を走り回れば、コイツも10年の歳月さいげつを少しは埋める現代知識が頭に入るだろう?」


「な、成る程! さすがオーナー!」


 へぇ~姉御にはそんな意図が。……それはそれと、そろそろ頭を上げても良いでしょうか?

 俺が少し本気で力を込め抵抗すると、姉御は大きく息を吐いて手を退けてくれた。

 溜息ためいきは幸せが逃げますよ?


「川鶴さん! かばってくれてありがとうございます! 流石は社長さん、凄いです!」


 これだけ俺をサポートして、庇ってくれたからかな?

 川鶴さんの前で身体が震えるのも無くなった。

 これで円滑なコミュニケーションが取れる!


「雇われ社長ですけどね。……オーナーの厳しさについていける社員が少ないから、マネージャーまでしていますし。ははっ……」


 その言葉は、深く俺の胸に沁みた。


 この人、苦労しているんだなぁ……。姉御のせいで。

 他人事とは思えないよ。


「今度、飲みに行きましょう。姉御の話を語りましょうよ。俺はお酒、飲んだ事ないから興味あるんです!」


「え? 良いんですか?」


「それに川鶴さんの状況、他人事とは思えないんです……」


「大神さん……」


 余程、溜まりに溜まった物があるんだろう。

 川鶴さんは潤んだ瞳を俺に向けてきて――。


「それは川鶴におごってくれと言ってるのと同義だがな。借金62億男だし」


「さぁ、大神さん。お仕事の話をしましょう。お酒は自立してからです」


「川鶴さぁん!?」


 そんな……。結局は金だと言うのか!?

 いや、俺だっておごってもらうのは心苦しいけど……。――って言うか、その借金で俺はどうやって食っていくんだ?


「――ほら、貴様はさっさと白星を迎えに行け!」


「ワンッ!」


 姉御に62億円も借金を肩代わりしてもらっている俺は――犬です。


 その後、慣れない文明の利器をなんとか使いながら無事、『冥府行きのダンジョン』のギルドに白星を迎えに行く事が出来ました。


 案の定、メッチャお怒りでしたよ……。


 刀をいてて銃刀法違反とか大丈夫かなと思ったんですが、開拓者カードを身分証として作れば大丈夫だと言う事で、早速作っていただいた。


 地上では秋だったのか、夜の街を歩く人の私服には半袖か薄めの服を着た長袖が多い。

 心地良い夜風を切り裂き、街を観察し跳び回る。


 なんとか寮を見つけて辿り着いた時にはもう、クタクタ。主に脳の疲労で。

 というか――入口が夜なのにも関わらず人が監視しているぐらい、バチクソセキュリティが高かったんですけど……。

 流石はアイドルを住まわせる寮って事なのかな?

 1DKの間取りに家具が揃っている事に感謝しつつ、どろようとこへといた――。

本作をお読みいただきありがとうございます┏○ペコッ


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また、ブックマークなどもしていただけますと読んで下さる方がいるんだと創作意欲にも繋がります。


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