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第102話 姉御が命令でなく頼み事? こわっ!

 俺が1500体の相手をするのは構わない。

 5カ所のダンジョンを担うのも、問題ない。

 だが1つ、気になるのは――。


「――い、一斉に上がってくるんですよね? 物理的に、間に合わないのでは?」


 いくら俺でも、遠く離れた所で分身は出来ないぞ?


「正確には、多少の差はある。過去の事例から視た活性化かっせいかの観測度合いから、この都内5つのダンジョンは数字の順にスタンピードを起こすと思われる」


「あ、じゃあ行けますね。何時間ぐらいの差があるんですか?」


「……1つにつき、およそ10分から15分だろう。全てCランクのダンジョンで、だ」


「……はい?」


 え、戦闘をして300体のモンスターを殲滅せんめつ、移動時間も含めて――次の場所へ行くまで10分?

 おいおい……。

 公式イメージソングチャレンジの比じゃない速度を求められるなぁ……。


「そもそも、スタンピードってなんなんですか? ダンジョンから吹き出す魔素の塊のモンスターで、なんでそんな事が起きるんです?」


「スタンピードとは、不規則に活性化したダンジョンが大量の魔素からモンスターを産み出し、地上へ向かおうとする現象だと言われている。――一般的いっぱんてきには、な」


 含みを持たせた物言いだな。

 一般的には、というからには……。


「そう言うからには、真実は違うんですか?」


「ああ。……民間に広まれば大騒ぎになるが――高率こうりつ人為的じんいてきに引き起こされた現象だろうと言われている」


人為的じんいてき……」


「そうだ。……スタンピード――俗称ぞくしょうダンジョン爆発は、国際テロ組織『マタドム迷宮連合ラビリンス・ユニオン』の者が関わっているようだ」


「国際テロ組織、マタドム国際連合……」


 なんか、規模がメチャデカくなってる。

 でもそう言えば、最初にこの部屋へ来た時にも――姉御にダンジョン系のテロ組織の活動がうんたらかんたらって言われた気がする。

 流し聞きしてたけどね。


「どうやら、ダンジョンの奥で何らかの儀式を行う事で、ダンジョンを活性化させることが出来るらしい。内通者ないつうしゃからの情報によると、な」


「内通者……。成る程、国家規模の争いっぽいですね」


「うむ。相手も一般の開拓者をよそおいこちらへと多数の内通者を送りこんでいるだろうがな……。そうでなければ、今回の異常事態は説明が付かん」


 成る程、普通の開拓者ならば――ダンジョンにも容易に入れるだろう。

 それで配信をしていなければ、奥地で何をやられても分からないわなぁ……。


「私を含め、この国の政府は腐っている。活性化発覚から時間が足りなかった事もあるが……この後に及んで、経済を優先して住民の避難ひなんはさせないとしている」


「いやいや! 避難所に誘導とかすれば良いのに……」


「……今回狙われたのが、全て大都市にあるダンジョンばかり。急に避難を呼びかけても、受け入れる場所がないと言うのもあるが……。それにしても、腐っていると言わざるを得ない。当日は例の如く、特殊予備自衛官である開拓者を内部へ突入。外に武装した自衛隊を配備して終了にしたいらしい」


 急な避難勧告を出せば大混乱は避けられないだろうけど……万が一があったらどうすんの?

 姉御の悔しそうな顔を見ると、交渉は当然したんだろうけど……。

 自衛隊が配備されてても、モンスターが囲いを飛び出して住宅街にでも入ったら、人命がヤバいでしょうに。


「前例前例前例……。我が国は、かつてより全てのスタンピードを食い止めて来たのだから、今度も大丈夫なはず。……実際、直近3回のスタンピードは、住民もすっかり安心して避難所へ行かない者がほとんどだったらしいからな。病人や超高齢者、障がい者の移送などに時間と金を要するのは事実だが……」


 成る程、慣れと困難さか……。

 逆に手際てぎわ蓄積ちくせきとかマニュアルを定めていそうなもんだけど。


「前回に至っては、警報すら不要。経済を止めるなと内閣支持率ないかくしじりつが大きく下落したらしい。……エッセンシャルワークを除く者たちが1日経済を停止すれば、経済損失額けいざいそんしんつがくは兆円を超え、計り知れない金額らしいからな」


 それはそうなんだろうけど……。

 人命と時間、お金の問題かぁ……。

 はかりにかけちゃダメな物だと思うけど……。


 毎回無事って実績が積み上がると――税金を使うな。

 暮らしを苦しくさせるな。

 そんな意見が出るものなのかな?


 弾道だんどうミサイルを飛ばした隣国りんごくが居ても『またか。どうせ海に落ちるだろ』と普段通りに行動している状態かな?

 恐怖感きょうふかん麻痺まひ、慣れって怖いなぁ……。

 内々で処理が出来る問題なら、一々いちいちさわがせるなって事なんだろう。


「その上で頼むのは気が引けるのだが……ギルドからも依頼が来ていてな。それなりの報酬も約束させる。政府が腐っているからと、国民を見殺しにはしたくない。どうか向琉も、スタンピードを阻止する助力をしてくれないだろうか?」


 姉御が頭を下げてきた。

 いやいや、怖い!

 恐縮と言うか……むしろ、怖くて震える! 

 頭頂部から圧を感じるよ!

 いや、むしろ頭頂部から神通力を出してない!?


 恐怖感がビンビンです!


本作をお読みいただきありがとうございます┏○ペコッ


この物語に少しでもご興味を持って頂けたら……どうか!


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また、ブックマークなどもしていただけますと読んで下さる方がいるんだと創作意欲にも繋がります。


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