第93話 歓びを隠し切れない笑い
【これまでのあらすじ】
濡れ衣を着せられチームBIOを追放されたレジスタンスエージェント バイオは、真実を探すため、グリと共に、Crystal Tower を登る。
最上階で、バイオ、グリ、魔星のふじ、kurokirbyがオニキスストライク取得し、オニキスシールドの破壊。そして遂に、コントロールポータルは青と化す。
遂に、念願のオニキスシールドを取得し、目的を果たしたと思った瞬間、コントロールポータルにオニキスシールドがセットされ、巨大なCFが作成されるのであった。
誰もにとって不測の事態。
その中にあって不気味に響き渡る声。
それは、歓びを隠し切れない笑い声に聞こえた。
この状況で何を笑うのか?
この状況で何がそんなに嬉しいのか?
理解を超える思いが、その声を殊更不気味に感じさせた。
響き渡る不気味な笑い声の主に、憤怒の声を浴びせかけた男がいた。
その男、百八の魔星の一人にして、天狼星のkurokirbyは、スキャナを睨みながら怒鳴りつける。
「オニキスシールドをセットし、リンクを引いたのは貴様か。
このリンクは、どこに向って引いた?
答えろ!
グリ!!!」
kurokirbyの言葉に、信じられない想いのバイオはスキャナで、コントロールポータルにセットされたオニキスシールドを確認する。
そのオーナーは、、、
kurokirbyの言う通り、グリであった。
「ば、ばかな、グリさん。これは一体。。」
バイオは、通路を床に向かって悠然と歩き続けるグリに向って、平たい声を絞りだすのが精一杯であった。
通路を歩き終え、床に上陸したグリは振り返り、kurokirbyを楽しくたまらないという表情で一瞥し、笑いながら叫んだ。
「kukukuku。
Whereにリンクを引いたか?
いいだろう、教えてやろう。
イングランド、チャイナ、オーストラリア、US、そしてペルーにあるセブンタワーズ(7つの塔)だよ。
ワールドを沈めるCFの総仕上げのためにな!」
グリの言葉に、目を見開くkurokirby。
「やはり、Crystal Towerを除く世界の7つの塔が緑になったというのは、貴様のでまかせだったのか。
なぜだ!なぜそんなことを!
貴様は一体誰なんだ!!」
グリは、大きく肩を竦ませ、
「ユー。本気で言っているのか?
トレジャークラスの鈍さだな。
ドージェとやらに聞いているはずだろう。
このCrystal Towerを青にして、ワールドを沈めようとしているのが誰か。Nーー。」
kurokirbyは、表情を強張らせる。
「ま、まさか、貴様。。」
kurokirbyの言葉に、かぶせるグリ。
「So.八騎士だよ。」
グリの言葉に、混乱のバイオ、
「グリさん、何を言っているんだ。」
ふじも普段とは異なる声を絞りだす。
「ゆくし(冗談)はそれくらいにしておくさー。
やー(あなた)もおいらも、オニキスシールド自体が目的で共闘したさー。
コントロールポータルにセットしたのは、指が滑ったんだろ。さー?」
右に姿勢を転じ、バイオとふじに視線を向けるグリ。
「kukukuku.
オニキスシールド自体が目的?
確かにそう言ったNa。
バット、それは、kurokirbyを出し抜くという共通の目的のもと、仲間意識を作り出し、ミーの意図通りに動いてもらうためのライ(嘘)だよ。
ユーは、ミーの思惑通りうまく踊ってくれた。
サンキュー(感謝する)。」
3人のやり取りを見たkurokirbyが、尋ねる。
「グリよ、貴様、ふじも、そしてバイオすらも騙していたのか!
目的のために!
まさに、嘘に嘘を塗り固めて来たのか!」
満足そうに微笑み、頷くグリ。
「イエーース!
ユーたちとプレイした人狼、あれと同じだ。
ウエアウルフ(人狼)はミーただ一人。
立場が異なるビレッジマン(村人)たるユーたちに、正体がばれない様に、そして、ミーの思惑に反しないように誘導する。
こいつは、中々にボーン(骨)が折れた。
バット、その甲斐はあったがな!」
「理解した。
だがな、貴様の思い通りにはならんよ。
貴様は、”インフィニティリンクアンプ”は手に入れていたが、”アンチウイルス”は持っていねえ。
一時間後反転すれば、元通りだ。
万が一の保険が生きるってやつだ。」
いつもの冷静さを取り戻したkurokirbyが宣言する。
「Ah.ユーのバックアッププランな。
アイムソーリー(残念だが)、インポッシブルだ。」
グリは、冷ややかに言い放った。