表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
炎風吹きすさぶ ~最古の八騎士~  作者: dobby boy
タワーゲーム
89/108

第89話 Fire! オニキスストライク

【これまでのあらすじ】

濡れ衣を着せられチームBIOを追放されたレジスタンスエージェント バイオは、真実を探すため、グリと共に、Crystal Tower を登る。

行方不明となった百八の魔星の頭領ドージェの捜索中、グリはCrystal Tower に隠されたレアアイテム”オニキスシールド”取得を提案、そこにふじが合流。

”オニキスシールド”を取得するためには、コントロールポータルを青化する必要があり、そのためには”オニキスストライク”が必要。

最上階で、バイオ、グリ、魔星のふじ、kurokirbyがオニキスストライク取得を目指す。

高度2,000mに渡される不安定な細い通路に鎮座するコントロールポータルから、バイオはどうにか”オニキスストライク”を取得するのであった。


「撃つぜ」


 取得したオニキスストライクのFire(発射)ボタンに指を伸ばしたバイオが、宣言した瞬間、グリの制止の叫びが響き渡る。

挿絵(By みてみん)

「ウエイト!

オニキスストライクも100%オニキスシールドを破壊できるわけではない。

コンディションを整える必要がある。」


 バイオはFire(発射)ボタンから指を離し、グリに問いかける。

「コンディションだと?

何をすれば?」


「ノーマルのストライクと同じように、ポータルの直上※1を取ってFire(発射)するんだ。

AND

溜め※2は+20%をサクセスする必要がある。」


「なるほど。

通常のシールドはがしと同じというわけか。」

 グリの説明に、スキャナをポケットに仕舞ったバイオが、通路をコントロールポータルに向かって慎重に歩みを進める。

既に、通路を20m進み、一歩ごとに生じる細い通路の撓みは、戻りで体を弾き飛ばす程大きく、膝のクッションでどうにか均衡を保っていた。


 文字通り、薄氷を踏む思いで、一歩一歩進むバイオが、コントロールポータルの手前10mの地点で立ち止まり、後方を振り返り、叫んだ。

「安全帯の命綱がこれ以上延びねえから、進めねえ。

どうすればいいんだ。」

挿絵(By みてみん)

 左後方から、kurokirbyの声が響く。

「何者も。そう、俺たち百八の魔星もコントロールポータルに近づくことは許されねえ。

だから、安全帯のロープの長さもコントロールポータルには届かない長さにしてあるんだ。

 どうしても近づく必要があるときは、、」


「あるときは?」


 鸚鵡返しのバイオの問いかけに、kurokirbyは冷徹に答えた。

「安全帯を外すしかねえ。」


「ば、馬鹿な。。

ここを、命綱無しで進むだと。。」

 体感気温は氷点下の中、脂汗を流すバイオが消え入りそうな声で呟く。


 呆然と立ち尽くすバイオは、不意に右肩に置かれた手に気付き振り返ると、いつの間に近づいたのか真後ろまで接近したふじの顔が見えた。

「なんくるないさー。

おいらが、やーを支えるさー。」


 ふじのいつもと変わらぬ声に、折れそうになっていたバイオの心に火が灯った気がした。

そして、あるかなしかの笑みを浮かべるふじの顔を見ていると、不思議と恐怖心が薄らいでくるのを感じる。


 バイオは、頷き、安全帯に接続されているフックを外す。

自らの安全帯のフックを外したふじは、バイオの安全帯を掴み、ゆっくりと囁く。

「おいらの握力は120キロあるさー。

やーは、落ちることを心配せず、前に進むことだけを考えるさー。」


 肩の力が抜けたバイオは、ふじと歩調を合わせて、慎重に、だが安定した足取りで歩みを進めた。

そして、コントロールポータルに辿り着く。


 コントロールポータルを左手で抱え、スキャナーを取り出したバイオは、オニキスストライクを溜め撃ちで発射した。

 だが、顔を曇られたバイオが、全員に聞こえる声量で叫ぶ。

「ダメだ!

すまねえ。ミスった。溜め撃ちが+19%になっちまった。」


 左後方から、kurokirbyの叫びが、

「俺のオニキスストライクをドロップする。

そいつを使え。」


 kurokirbyのオニキスストライクを拾ったバイオ。

先刻の失敗の光景がフラッシュバックし、Fire(発射)ボタンに指を置く寸前に戻すという往復を繰り返す。


「Hey.バイオ!

ホワットイフ、失敗してももう一度ハックしてゲットすればいいだけだ。

So硬くなるな!」


 グリの言葉に背中を押されたバイオは、Fire(発射)ボタンを長押し、溜め+20%を確認、オニキスストライク炸裂。


 次の瞬間、コントロールポータルから漆黒の盾オニキスシールドが消失した。



※1.ポータルの直上:イングレスの武器であるバースター、ストライクは、対象に近づくほど威力が高くなる。

特にストライクはポータルの直上(距離0の位置)で発射することで、シールドの破壊率が最大となる。


※2.溜め:イングレスの武器であるバースター、ストライクは、Fire(発射)ボタンを長押しすることで、威力を高めることができる。

最大+20%威力を高めることが出来るが、タイミングを外すと+0%となる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ