第87話 運命の5連グリフ
【これまでのあらすじ】
濡れ衣を着せられチームBIOを追放されたレジスタンスエージェント バイオは、真実を探すため、グリと共に、Crystal Tower を登る。
行方不明となった百八の魔星の頭領ドージェの捜索中、グリはCrystal Tower に隠されたレアアイテム”オニキスシールド”取得を提案、そこにふじが合流。
最上階で、コントロールポータルを警護するしろとkurokirbyの元にふじが現れ、しろと警護を交代を申し出、しろは階下に。
入れ違いでバイオと共に現れたグリはCrystal Towerに迫る危機をkurokirbyに訴え、kurokirbyはしろと協議し、2人をコントロールポータルに案内する。
高度2,000mに渡される不安定な細い通路に鎮座するコントロールポータルの40m圏内に接近し、レアアイテムの取得元であるアーティファクトを2階ポータルから移動するのであった。
突風に掻き消されない声量で、グリがバイオ、ふじ、kurokirbyに語りかける。
「コントロールポータルにアーティファクトがムーブ出来たか。
コンディションは整った。
後は、アノマリーメダル※1を持つエージェントが、5連グリフ※2でハックすればレアアイテム”オニキスストライク”をフィフティフィフティの確率でゲットできる。」
グリの言葉に、バイオは眉を顰める。
「必ずオニキスストライクが手に入るわけではないのか?」
「YES.
緑ポータル※3を5連グリフハックすることで、オニキスストライクがゲット出来る確率は50%。
残りの50%の確率で、ミーたちレジスタンスはインフィニティリンクアンプを、ふじたちエンライテンドはアンチウィルスをゲットする。」
「なるほどさー。
と言うことは、4人全員でハックしたほうが、入手確率が上がるということさー。」
ふじが言い終わる前に、バイオ、グリ、kurokirby、そしてふじ自身はコントロールポータルでのグリフハックを終えていた。
揺れる通路の上で、下は見ないように注意しながら、グリフハックの結果を凝視するバイオ。
現れたアイテム、それは、漆黒の矛”オニキスストライク”。
興奮したバイオが叫ぶ。
「来たぞ、オニキスストライクだ。」
「YES!やったな、バイオ。
ミーは残念ながらインフィニティリンクアンプだが、ユーがゲット出来たのはグッドだ。」
バイオの叫びに、嬉しそうにグリが応えた。
そして、僅かにトーンの落ちた声で、ふじが続く。
「おいらは、アンチウイルスさー。」
「おれは、オニキスストライクだ。」
珍しく微かに上気した表情で、kurokirbyが報告する。
※1.アノマリーメダル::INGRESSの背景となるストーリーに基づいた大規模イベントであるアノマリーに参加したエージェントに付与されるアプリケーション内メダル。
アノマリーに参加するエージェントは、概して”ガチ勢”と見られる。
※2.5連グリフ:グリフは、グリフハックの略。イングレスにおいて、アイテムを取得する方法はポータルへのハックである。
グリフハックは、ハックの際、特殊な手順を踏むことでポータルより最大5つのグリフ(絵文字、象形文字を意味する英語 glyph)が高速で表示される。
表示されたグリフを正確になぞることにより、取得するアイテムを多く手に入れる事が可能となる。
5連グリフは、レベル8ポータルでのみ出現する5つ連続表示されるグリフ。
※3.緑ポータル:エンライテンドがキャプチャしたポータル