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炎風吹きすさぶ ~最古の八騎士~  作者: dobby boy
タワーゲーム
8/108

第8話 変貌

 たまごろうは変わった。

 ふとした瞬間に、驚くほどクールになる。

 あの時からだ。

 兄弟のように溺愛していたネコのにゃんたろうが、いなくなったと泣きながら電話してきたあのとき。。


 それでも、普段は、それまでと同じたまごろうだ。今は、それでよしとしておこう。


「よんさん、そろそろだよー」

「え、何?」

「何て、今日は、ウミエ※1に行くって言ってたじゃない!」

「あ、そうだった。行こうー」


 二人は、神戸駅から、地上ルートでウミエに向かった。そのときだ。たまごろうが、突然立ち止まり、すれ違った二人組の男の方を見た。


「どうした? 知り合い?」

「ちょっと。。」


 そのときのたまごろうの雰囲気は、よんがクールたまごろうモードと名付けているときのものだった。


「ごめん、よんさん。先行ってて。私行かなきゃ!」

「ちょっと、たまごろー」


 よんが呼び止める間もなく、たまごろうは、風のように二人組の後を追った。


 二人組と、たまごろうの向かった先を見たよんは呟いた。

「クリスタルタワー。。」


 非常階段のドアを開けて、階段を登った。

 入り口付近ですれ違ったネイビーの作業服を着た二人組には、二階の途中で追いついた。

「お待ちなさい。あなたたち」


 二人組は一瞬体を硬直させ、それでも平静な態度で、振り返った。

「なんですか?」

 作業帽を目深に被った男の一人が答えた。


「あなた方の歩き方。何故足音がしないのかしら?」


 そう、二人組の歩き方は一般人のそれとは違い、何か剣呑なものを感じさせた。


「お嬢さん。何を仰っているのですか? ミー、、私たちの歩き方が、どうかしましたか?」


 その瞬間、話している男の右足が、たまごろうに向かって疾った。

 下の位置にいるたまごろうの頭部への、ローキック。

 容赦の無い一撃だ。まともにもらえば、首がもげるであろう威力であった。


 たまごろうは、身を沈めてかわしつつ、男の股間に左の肘撃ち。

 男は、後方へ飛びずさった。


 男の右足が動いてから、ここまで0.2秒。

 もう一人の男は、既に上に向かって走っていた。


 たまごろうは一瞬上に走る男に目をやった。

 そのとき、目の前の男が、ポケットから何かを取りだし、地面に投げつけた。


 次の瞬間、辺りは閃光に包まれた。


「スタングレネード! やられた」


 たまごろうは視界を確保するため10秒間、目を閉じるしかなかった。


 目を開けたとき、当然二人の姿は、無かった。だが、たまごろうは迷うことなく、階段をかけ上がった。たまごろうには、二人を追う算段があった。


 男に肘撃ちを放った際、とっさに香水を放ったのだ。今のたまごろうの嗅覚は、人間のそれを越えている。その自覚から、とっさにとった判断だった。


※1.ウミエ:umieウミエは、兵庫県神戸市中央区・神戸ハーバーランドにあるイオンモール株式会社運営のショッピングセンター

[Wikipediaより]


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