第7話 旅立ち
永遠のP8 "Crystal Tower" そこは、イングレスエージェントにとっての永遠の楽園と言われていた。
"Crystal Tower" を目指して多くのエージェントが旅にでるが、大部分は志半ばに消息をたつ。
それでも目指さずにはいられない。
それが魔都たる由縁。
そこに、何があるのか。
たどり着いたものしか分からない。
今日も二人のエージェントが魔都を目指す。帰れぬかも知れぬ不安を胸に。ただ彼らには、他の者とは違い明確な目的があった。それを果たすまでは、バースター一本になっても戦い抜く覚悟があった。
「旅に出て20日。これまでに潰したP8※1は753,755。作ったCF は65,350※2。いつになったら着くんだ」
総髪の若い男は、焦りの表情を浮かべ呟いた。
「もう少ししたら、見えてくる。ドンウォーリー!」
少し年輩のジョルジオアルマーニのスーツを着た男が励ます。
「分かっている。分かっているんだ。俺自身焦っている自覚はあるんだ。ただどうしても。。
つまらないことを言ってすまなかった。グリさん」
グリと呼ばれたスーツの男は優しく微笑み
「ドンマインド! バイオ、ユーの気持ちは分かっている。あそこにいけば、あの男の手掛かりが手に入るんだ。焦るなというほうがディフィカルトってもんさ!」
バイオと呼ばれた総髪の若者は力強く頷いた。
バイオとグリは、地元北野での情報収集の結果、3つのことがわかった。
・チームBIOは解散したこと
・大部分の元メンバーの消息は不明であること
・ただサブリーダーが"Crystal Tower" に向かった可能性があること
最後の情報を手にいれたとき、二人は"Crystal Tower" への旅を決意した。
「バイオ、サブリーダーはどんなガイだい」
「得体の知れないチームリーダーとは違ってメンバーの人望を集めていたよ。CF 計画もすべて彼が発案していた」
「ウエイト! 今の話を聞くだけでも、チームリーダーはサブリーダーのほうに聞こえる。要は、チームリーダーは人望もなく、戦略もないってことだろ。なんで、そんなガイがチームリーダーを張っていたんだい?」
「分からないんだよ。俺にも。ただあの男には、抗しがたい不思議な魅力があった。そして、ノーと言わせない迫力が。彼の過去はサブリーダー以外誰も知らない」
「なら、ミー達は会うしか無いな。サブリーダーに。どんなことがあっても」
※1.P8:レベル8ポータルの略。一人のエージェントが一つのポータルにデプロイできるレベル8レゾネーターは一本のため、P8を作るためには、レベル8以上のエージェントが8人必要である。
※2.作ったCF は65,350:CFを一つ作ると1,250AP入手するため、65,350のCFを作成して入手できるAPは65,350×1,250=81,687,500である。最高レベルであるレベル16になるために必要なAPは40,000,000のため、二人のエージェントがレベル16になるAPが手に入ることになる。