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炎風吹きすさぶ ~最古の八騎士~  作者: dobby boy
タワーゲーム
64/108

第64話 ドージェの告白

【これまでのあらすじ】

 白田と黒崎は、勤務地であるクリスタルタワーが突如隆起する事件に巻き込まれる。

 仮面を被った男による事件の説明会の後、仮面の男が拳銃を持った男に脅されるのを見た2人は、協力して仮面の男を助ける。

 仮面の男は、ドージェと名乗り、脅された経緯を説明する。


「説明会が終わった後、全員の退室を待っていました。

 あらかた退室したのを確認し、施錠しようとしたとき、一人後方で残っている人に気付き、退室を求めた矢先です。

 残った一人が、立ち上がり、おもむろにこちらに歩きながら、上着の中から銃を抜きました。」


「それが、あの男か。」


 黒崎は顎を砕かれ、意識を失い倒れている男を見つめながら問いかける。

 仮面の男ドージェは頷きながら、話を続けた。


「男は、私に銃を向けながら、あることを要求しました。

 私は、男にその目的を尋ねましたが、男は答えず要求を繰り返すのみでした。

 それ以降、私も無言でお互い睨み合いの状態のところに、あなたたちが来てくれたのです。」


「あん男の要求とはなんじゃあ。」


「ある場所に案内することです。」


「どこだ?」


 黒崎の問いかけに、ドージェは暫くの沈黙の後、自分に言い聞かせるように、

「あなたたちは、自分の危険を顧みず、得体のしれない仮面を被った私のために行動してくれた。


 その行動という誠意には、真実を話すことでしか私の誠意は返せないでしょうね。


 男が案内を要求した場所がどこか?

 それに答えるには、説明会であえて話さなかった前提を話す必要があります。

 あの場で話すには、あまりにも危険な話を。」


「危険というのは、俺たちにとってか?それともあんたにとってかい?」


「。。。両方です。」


「おう。おいたちは危険を恐れはしもさん。

 それに、ちょうどおいたちもさっきの説明会のことで聞きたいことがあったんじゃあ。

 そいで、ここん戻ってきた。

 説明会で、おはんは、何者かが意思を持って、このクリスタルタワーを隆起させたというっちょったが、何者とはだれなんじゃあ。」


 白田の言葉に、仮面越しの眼光の力を強めたドージェが答える。

「はい。

 まさに、それこそが危険の根本。


 クリスタルタワーを始めとする世界の八つの塔を同時に隆起させたもの。

 それは、”八騎士”と呼ばれる太古から存在する魔物です。」


「八騎士?

 八人の騎士か。


 俺もネットニュースで見たが、確かにここだけじゃなく世界の八か所で同じような塔の隆起が同時にあったようだ。

 つまり、一つの塔に一人の騎士が関わっているということか。


 だが、どうやったかはともかく、そいつらは一体何がやりたいんだ?」


 鋭い目付きで、鋭い分析を行う黒崎が問いかける。


「八つの塔の隆起は、始まりに過ぎません。


 この後、各国の研究機関が調査し、ここには世界が抱える課題を解決する仕組みがあることを発見します。

 各国首脳は、議論の末、塔の仕組みを使用することを決めるでしょう。

 その裏に、八騎士による情報操作があることに気付かずに。」


「待ってほしか。

 話が急すぎもす。


 世界が抱える課題を解決する仕組みとはなんでもす?」

 目をしろくろさせた白田が尋ねた。


「簡潔に言うと、人が必要とする食料を始めとする物品を製造し、製造したものを偏りなく分配、流通させる。

 これらを、人手を介さず完全自動で実行する仕組みです。」


「ほう。そんな事が出来るのかどうか疑わしいが、それが出来れば確かに、世界が抱える課題はかなり解決できるな。

 結構な事じゃあないか。

 その”八騎士”とやらは、魔物でなく救世主に俺には思えるが。」


「ええ。

 確かに、ここまでなら彼らは、救世主と言えるでしょう。

 ただ、話には先があります。


 この仕組みを運用すれば、ほぼすべての人間は労働から開放されます。

 これに対して、人間は何もせずには生きられない、だから、何かしらの活動の成果に応じて富の分配を変えるべきだという風潮が出てきます。

 これも、”八騎士”の情報操作の一環として。」


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