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炎風吹きすさぶ ~最古の八騎士~  作者: dobby boy
タワーゲーム
54/108

第54話 美咲、全力疾走

【これまでのあらすじ】

 鉄壁の男vahohoとともに、海底トンネルを通ってCrystal Tower地下ドックに到着した和田美咲。

 直通エレベーターで到達した部屋では、八つのポータルを巡り武装ドローンがイングレスをプレイしていた。次のフロアへの直通エレベーターに通じる扉を開くためには、一つのポータルのみキャプチャ※1、他七つのポータルを中立化※2した状態にする必要がある。


 美咲は、vahohoが守る”北西の扉”から最も遠方にある青の”南東の扉”に向かう。

挿絵(By みてみん)

 ”南東の扉”に向かう緑のドローンもいたが、美咲が先に到着することに気付いたのか青の”北東の扉”に方向転換した。

挿絵(By みてみん)

 ”南東の扉”を破壊しキャプチャした美咲は、隣の青の”東の扉”向かい、破壊・キャプチャした。

挿絵(By みてみん)

 ”東の扉”に掛かっている間に、青のドローンに”南東の扉”を再奪取されていることに気付き、再度、”南東の扉”に向かい攻撃。が、先刻ここをとったドローンがこちらに向かっている。


「これじゃ、イタチごっこだな。あ、そうか、緑のドローンはおっさんが守る”北西の扉”に集まってるんだった。てことは、動いている緑はわたし一人ってことだ。それに対して、青ドローンは三台だから、普通にやってたらいつまでたっても、全部白くなんて出来ないんだ。じゃ、どうする」

挿絵(By みてみん)

 美咲は、走りプレイしながら、脳細胞をフル回転させた。

「ポータル間の距離がこの程度なら、中間地点で廃人重ね撃ちすれば二ポータル同時焼きができるはず。それと、おっさんが言ってた、あいつらの行動の優先順位は、

 1.敵色ポータルを攻撃

 2.敵色ポータルなく、白ポータルあれば、キャプチャ

 3.自色ポータルあれば、アップグレード、シールドいれ、ハック、リンク

 てことは、キャプチャしちゃうとあいつらをそれを攻撃しに来るから、結果として青になるポータルが分散しちゃって全部白にするのが難しくなるんだ。

 てことは、焼いた後キャプチャしなければ。。」


 自分の中の考えを実行すべく、”南東の扉”を中立化(青を攻撃して白くした)後、キャプチャ(白を緑に)せず青の”南の扉”と”南西の扉”の中間地点に走りながら廃人重ね撃ちを発射。

 目論見通り、”南の扉”のポータルが焼き切れたのち10m走る間に、”南西の扉”も中立化された。

挿絵(By みてみん)

 残る緑ポータルである”東の扉”と”北東の扉”に青ドローンが向かう。

「いいぞ。あいつらが、あの二つを青にした後に、同時に焼き切ればおっさんの守る所以外全部白に出来る!」

 青ドローンの二台が”北東の扉”に向かい、一台が”東の扉”に到着し攻撃開始。美咲は、”東の扉”と”北東の扉”の中間地点に全力疾走。”東の扉”を青でキャプチャした一台が、”北東の扉”に合流しようと移動。

挿絵(By みてみん)

 青の三台が、”北東の扉”に到着し、瞬時に中立化・キャプチャ・アップグレードし、それぞれが白ポータルに散って行く。

「一番近い”北の扉”がキャプチャされる前に、”北東の扉”と”東の扉”を焼かないと!」

 走る足を緩めず、”北東の扉”と”東の扉”の中間地点で廃人重ね撃ち!

挿絵(By みてみん)

 ”北東の扉”と”東の扉”が同時に中立化された直後一秒に満たない後に、”北の扉”が青でキャプチャされた。だが、一秒に満たないとはいえ、条件を満たしたと判定され”北西の扉”が開いた。

挿絵(By みてみん)

「開いたぞ。閉まる前に乗り込むんだ!」

 vahohoの叫び声に、最後の全力疾走でエレベーターに向かう美咲。


 美咲が乗り込み、暫くした後、扉が閉まりエレベーターが動き出した。


 全力疾走で走り回った美咲は、息が切れてしゃがみ込んで蹲っている。切れ切れの呼吸で、

「これ、はーはー。。」

「キツイんですけど。。」


「あれだけ、走ればな。だが、見事だった。

 それと、今のでバースターも※3減っただろうから、これを渡しておく」

 vahohoは、しゃがみ込む美咲にスキャナ※4を二台手渡す。


「これは? スキャナなんてもらってどうすんだよ」

 怪訝な表情で、受けとったうち一台を操作する。


「え、ログインできた! どうなってんの。私のDNA認証でログインできるスキャナが二台ある?

 あ、もしかして」


 もう一台でもログインを試すと、

「こっちも出来た。三台のスキャナーを使える。。

 なんで?」


 混乱する美咲に、vahohoがつっけんどんに応える。

「教授の店で、注射を打ったろう。実はあの注射には、二人分のDNAを詰め込んだADAM細胞※5が入っていたのさ。これで、お前も三人分のアカウントを持てるようになった」


 唖然とする美咲

「じゃ、じゃあ、私もこれで、はれて複あか使い。。

 冗談じゃねえよ。。」


 思いがけない優しい声で、vahohoが労う。

「大義のためだ」



※1.キャプチャ:中立化された白色のポータルをデプロイすることでポータルを所有すること。


※2.中立化:ポータルの状態には、エンライテンドキャプチャ(緑色)、レジスタンスキャプチャ(青色)、中立化(白色)の三種類ある。ポータルをキャプチャするには、攻撃して中立化する必要がある。


※3.バースター:イングレスにおける攻撃用アイテム。イングレスにおいて、一人のエージェントが保持できる総アイテム数上限は二千であるため、バースターも無尽蔵に使用することはできない。


※4.スキャナ:イングレスを起動する端末。使用するには、DNA認証のログインを経る必要があるため、一人の人間が使えるスキャナーは一台とされている。


※5.ADAM細胞:正式名 Anti Deoxyribonucleic Acid Method (反DNA制約)細胞。一つの生物に複数のDNA情報を紐付けるHUB細胞。


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