第47話 武装ドローンの間
【これまでのあらすじ】
鉄壁の男vahohoとともに、海底トンネルを通ってCrystal Tower地下に到着した和田美咲。
地下に据えられた潜水艇と海底トンネルの秘められた過去を伝えられる。そして、上階への直通エレベーターを見つけるのであった。
「何階に直通してるんだよ?」
「確か百階あたりだったはずだ。だが、何階かはともかく、こいつに乗った後、何度か乗り換えを繰り返すことで最上階に着くはずだ」
先にエレベーターに乗ったvahohoが、乗り込もうとする美咲に応える。
エレベーターは美咲が乗り込むと、扉が閉まり上昇を始めた。エレベーター内は静かで、振動も、特有の押さえつける感覚も無く、本当に上昇しているのか疑問に感じるほどであった。
無音の空間を持て余した美咲が、vahohoに尋ねた。
「最上階に行って、何をするんだよ?」
vahohoは静かに応える。
「最上階のコントロールポータルを襲撃者から守る」
「コントロールポータル?」
「ああ。文字通り、このCrystal Towerを制御するポータルだ。そして、奴等の企ての核となるポータルだ」
「奴等って、八騎士のこと?」
美咲が問いかけるのと、エレベーターの扉が開くのが同じタイミングであった。
「着いたようだ。まずは、ここを抜けなければ話にならねえ。行くぞ」
「分かったよ。また、後だな」
エレベーターから降りた二人の前には、直径が200mほどの広い円形の部屋が広がっていた。
円周に沿って、出てきた扉を含めて八つの扉が等間隔に配置されている。そして、上空2mを何かが飛んでいた。
「何が飛んでるんだ? ドローン?」
手を伸ばして飛行している物体を捕まえようとする美咲の右腕を、vahohoの左腕が掴んだ。
「そいつに触るな! そいつは武装ドローンだ。迂闊に触ると、装備している自動小銃でハチの巣にされるぞ!」
驚いた美咲がドローンを注視する。確かに、その下部に銃器がセットされているのが見える。
「なんでこんな物騒なものが飛んでるんだよ!」
「招かれざる者を排除するためさ。そいつらが攻撃する対象は、銃器を持つもの、自身に接触するもの、自身に攻撃するものだ。逆に言えば、干渉しなければ攻撃を受けることはない」
「分かったよ。ドローンはほっといて、取り敢えず、どの扉に入るかだな」
二人は、時計回りに順に扉を調べた。
が、すべての扉がロックされていて開かなかった。そして、
「どうなってんだよ。乗ってきたエレベーターの扉も開かねえよ。これじゃ、帰ることもできねえじゃん」
vahohoが吐き捨てた。
「ここで、帰るなんて選択肢があるわけがねえ。イングレスを立ち上げてみろ」
スキャナーを取り出し、イングレスを立ち上げた美咲は、驚きの声を上げる。
「この扉、全部ポータルじゃん。しかも、色が刻一刻と変わっていっている。誰がプレイしてるんだ? まさか。。」
vahohoを頭上を舞う物体を指さし、応えた。
「そうだ。あのドローンだ」