第44話 本戦開始!
【これまでのあらすじ】
真実を探すため、Crystal Tower を登るバイオとグリ。
三階の直通エレベーターから到着した階で、Crystal Towerを守護する百八の魔星の二人、天狼星のkurokirby、天敬星のしろと人狼で勝負する。模擬戦を終え、本戦に突入するのであった。
【主な登場人物】
・バイオ:本編の主人公。エフコム通信の伝説のハガキ職人。
・グリ:バイオのサポートをする謎のエージェント。バイオの持つ特殊能力“龍眼“を開花させた。
・kurokirby:胸にリベレートの傷を持つ仮面の男。百八の魔星の一人で、天狼星の宿星を持つ。
・しろ:天を敬い人を愛す大人。百八の魔星の一人で、天敬星の宿星を持つ。
「よし、これより本戦を始める。準備は出来たか?」
「おう」
kurokirbyの宣言にまず、しろが応える。
「ああ!」
「Um!」
バイオとグリも応えた。
「では、全員スタートボタンを押せ!」
kurokirbyの指示に従い、スタートボタンを押すと、画面にプレイヤー名と役職が表示された。
プレイヤー:バイオ
役職:預言者
来た! 預言者!
よし、グリさんが人狼かどうか見てやる。
バイオは、グリを選択し預言を実行。
プレイヤー:グリ
役職:村人
確認したバイオは、口火を切った。
「俺は、預言者だ。そして、グリさんを預言した。彼は、村人だ」
自分の役割を果たし、陶然とするバイオ。だが、次の瞬間、信じられない発言に耳を疑った。
「バイオどん。嘘はいかんのお。預言者は、今回もおいじゃあ。嘘をついた、おはんが、怪しんでえ、預言させてもろおたあ。案の定、おはんが人狼じゃったあ。自分が人狼じゃから、敢えて預言者を騙る。二回目とは思えん、見事な動きじゃあ。じゃが、相手が悪かったのお」
しろの、衝撃の発言であった。
バイオは、一瞬何が起きたか分からず、固まったのち、
「違う。俺が預言者だ! しろさん、あんたは嘘を言っている」
仕切り板で見えないが、しろは、大きな目を見開き、つばきをまき散らしながら大声をあげた。
「こぉん、やっせんぼ(だめなやつ)があ! なんを言うかあ。こん天敬星のしろ。嘘と坊主の頭はゆうたことがなかあ。嘘を言っとるんは、おはんじゃあ」
「ウエイト! ミスターしろ。あんた、模擬戦の時、預言者は味方を預言するのがセオリーと言っていたはずだ。なんで、エネミーのバイオを預言したんだ。外れていたら、不利になっていたはずだ! ライを言っているのはユーじゃないのか?」
グリが攻撃する。
「俺が教えてやる。確かに、通常、預言者は味方を預言するのがセオリー。だが!今回のように預言者を騙られたら、カウンターで騙ったやつを預言するのもセオリーなのだ! 村人が預言者を騙るのはリスクが高すぎる、故に騙ったやつは人狼である可能性が高いからな。よく覚えとけ!」
kurokirbyが吐き捨てた。
しろとkurokirbyの発言に、いきなり梯子を外された思いを抱き、動揺するバイオ。だが、すぐに落ち着きを取り戻し、今すべきことに気付いた。
「グリさん。まず、信じてくれ。俺は本当に、預言者なんだ。で、あんたを預言して、村人であることは分かっているんだ。だから、しろさんとkurokirbyのどちらかが人狼であることは間違いないんだ」
「ミーもユーを信じたい。バット、ユーがウエアウルフである場合、ミーはユーを処刑から守る方向で動かねばならん。ナウは、不確かな事は信じられん」
「そんな。ぐりさん。。」
「バイオ!ミーは、二つの事に気付いた。
ワン。どうやら、ゼイは模擬戦の時は三味線を引いていたらしい。このバトル、タフなものになりそうだということ。ナウの時点で言えることは、バイオとしろのどちらかが、預言者であるということ。人狼は、どちら陣営にいるか不明であるということだ。
ツー。このゲーム、一回目の投票で決着が着く。模擬戦の時は、ウエアウルフが処刑されたから気付かなかったが、ウエアウルフが処刑を免れた場合も、一回目の投票で決着が着くんだ。例えば、白黒コンビサイドにウエアウルフがいるケース。しろに投票して処刑したが、しろが村人だった場合、ウエアウルフであるkurokirbyはミー達のどちらかを噛み殺す。次のターンでは、人狼であるkurokirbyと残り一人となり、ウエアウルフの勝利条件を満たしてしまうんだ」
「なるほど、そうか! 待てよ。逆に言うと、村人サイドが勝利するには、人狼サイドにいる人狼を一回目で処刑する以外無いということか。
模擬戦のように。
逆に、人狼サイドは人狼が処刑を免れれば勝利。。しろさんが言っていた人狼側が圧倒的有利というのは、そういうことだったのか!」
「おいの言った意味は、そういうことでごわ」
「くくく、先ほどから堂々巡りの膠着状態! これだ。この混沌こそが人狼の醍醐味!」
興奮したkurokirbyが絶叫する。
「確かに膠着じゃあ。まいったのう。一つ雑談でもして、その中から情報を得るかのう」
しろの提案に対し、バイオは一筋の光明を見出した。