表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
炎風吹きすさぶ ~最古の八騎士~  作者: dobby boy
プロローグ
4/108

第4話 アダム

 私は、迷っている。あのときの高揚感はとっくに消えている。昨日の教授の言葉が原因だ。

「確かに、あれには無限の可能性がある。だが、よく考えて欲しい。逆に言えば悪用されたときのリスクも無限大だ」

 出来れば、今年中には完成させたい。だが、教授の言うように、確かにリスクはある。


 迷いの中、集めたデータの分析を始める。


 迷いのせいか、疲れのせいか、あり得ない結果が出た。分析の計算メソッドに間違いがあるのかもしれない。時間はかかるが、計算メソッドを最初から検算したほうがよさそうだ。


 6時間の検算の結果、計算メソッドに問題がないことがはっきりした。次に疑われるのは、インプットデータの設定方法の間違いだ。こちらは、チェックにそれほど時間はかからない。


 一つ一つ丁寧に確認する。問題は無い。ということは、分析結果は正しいということ。それの意味することを時間をかけて考える。考えれば、考えるほど体が震えてくる恐怖に苛まれる。


 まずは、教授に報告しよう。教授の部屋に向かう数分のうちに、彼女の決意は固まった。


 深夜にも関わらず、教授は部屋で執筆していた。

「失礼します」

「どうした、珍しいな。こんな時間に」

「教授の仰る通りでした。あれは、まだ、発表すべきではなかったのです。私が馬鹿でした」

「どういうことかね?」

「あれを投入したマウスの経過観察の分析結果です。見てください」

「こ、これは。。あり得るのか? こんなことが。。」

「事実です」

「事実なら、大変なことになる」

「心配には及びません。すべて処分します」

「何! しかし、あれは論文として発表済みじゃないか。検証を求められたらどうするんだ」

「私が独断でデータを捏造したことにするしかありません」

「そんなことをしたら、学会を追放されるだけじゃすまない。世間から激しいバッシングを受けるぞ」

「仕方ありません。あれが、世に出ることに比べたらとるに足らないことと思います。教授にもご迷惑をお掛けします。申し訳ありません」


 私は、部屋を出、データの消去を始める。すべてが、終わった。だが、これで良かったんだ。

 後は、マウスを殺処分するだけ。オリジナルのアダムを。

 アダム、ゴメンね。。。え、おかしい。反応が違う。そ、そんな。。ま、まさか。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ