第38話 天敬星の男
【これまでのあらすじ】
真実を探すため、Crystal Tower を登るバイオとグリ。
一階に続き二階の試練を突破し三階に到着。
三階の直通エレベーターで到着した階に待つのはCrystal Towerを守護する百八の魔星が一人、天狼星のkurokirby。上階突破をかけ、彼と人狼で勝負する。
~人狼~
村人陣営と人狼陣営の2つに分かれたプレイヤー達が、それぞれの陣営の勝利を目指して戦うゲーム。
ゲームの最初に、役職がプレイヤーにランダムに割り振られるが、その役職は、自分だけしか見ることができない。
特殊能力を発動する夜のターン、話し合いの昼のターンを交互に繰り返して進める。話し合いの場では、役職詐称を含め虚実入り交じった発言が可能。主な役職は以下である。
・人狼:夜のうちに村人一人を食い殺す。外見上、村人と区別がつかない。
・預言者:村人の一人だが、特定の一人が人狼か否かを見分ける能力を持つ。能力を使う時間帯を昼とすることも参加者の合意があれば可能。
・村人:特殊能力は無いが、昼に人狼、預言者を交え全員で話し合いを持ち、人狼とおぼしき一名を処刑する。
「Hey! kurokirbyよ! こちらは二人、そちらは一人。人狼では勝負になるまい。どうするつもりだ?」
「俺の強敵にも加わってもらう! 入れ! 出番だ!」
kurokirbyの絶叫と同時に、奥の扉が勢いよく開き、一人の大男が入ってくる。
「くろかびさぁ、待ちくたびれもうした。おいも、入ってよかね」
入って来た大男は、大人風の外見に相応しい重々しい声で言った。
唖然とするバイオとグリに気付き、頭をかきながら、
「こいは、いかん。失礼しもした。客人に挨拶もせんと。おいは、百八の魔星が一人、天敬星のしろでごわ。くろかびさぁは、おいの同胞でごわ」
しろと名乗った大男には、敵意がみじんも感じられなかった。それどころか、柔らかな、それでいて強い雰囲気に気付かぬうちに惹かれたバイオとグリは、旧知の友に対するように、挨拶を交わした。
「Hey! ミスターshiro。ミーはグリ。ヨロシク頼む」
「しろさん、バイオだ。む、しろとクロカービーだと。白黒コンビか」
バイオの軽口に、kurokirbyが激怒した。
「やかましー! とっとと始めるぞ! 二対二のチーム対抗で人狼をやる」
「人狼のチーム対抗戦だと? どうやるんだ?」
好奇心を隠しきれない響きでバイオは尋ねた。
「通常と同様にランダムに人狼1、預言者1、村人2を割り当てる!
ただし、チームメイトもお互いに何が割り当てられたかは、分からねぇ!
人狼がいるチームは、村人を残り一人まで減らせば勝ちだ!
人狼がいないチームは、人狼を処刑すれば勝ちだ! 分かったか!」
「おもしれぇ」
kurokirbyの説明に、興奮を抑えきれないバイオであった。