第35話 恐怖! 天狼星の戦士
【これまでのあらすじ】
真実を探るため、Crystal Tower を登るバイオとグリ。
一階の激闘をくぐり抜け、二階に到着。不可能と思われた二階の試練を突破した二人は、遂に三階に向かうのであった。
逸る気持ちを抑え、三階の扉を開いた。
二階と同じ間取りの広い空間であった。奥にエレベーターがある。
奥まで進み、エレベーターのオープンボタンを押すと、扉の上部からの光が二人を照らす。
「所持品調査のスキャンレーダーだ。主にウェポンの所持をチェックしている。これがあるということはこの先に有人エリアがあることを意味している」
グリが解説。
「このエレベータの先に人が。。サブリーダーに会えるかもしれんのか」
バイオは感慨深げに応えた。
スキャンレーダーによるスキャン完了後、エレベーターが到着、二人は乗り込んだ。
十秒足らずの上昇ののち、エレベーターは停止、扉が開いた。
その部屋は、段差があり、中央がややせりあがっているようだ。その中央付近から、絶叫が響く。
「待っていたぞ! 闖入者ども! うぬらのカルマは、このオレが地獄に送ってやる!!」
驚く二人。
「誰だ! どこにいる?」
「Hey! バイオ、あそこだ!」
グリの指差す方向を、仰ぎ見るバイオ。
そこに、いたのは!!
革のブーツ、革のパンツ、裸の上半身に革のジャケットを羽織り、赤いヘルメットを被った男がいた!
「な、なんだ、あいつは! なんてえ格好してやがる!」
「Hey! バイオ、やつの胸を見ろ! 何かあるぞ! なんてことだ。。や、やつは、トゥー・デインジャラスだ!」
冷や汗を流すバイオ。
「や、ヤバいやつだ。。あれは、傷! や、奴は、胸に七つの。。」
バイオの言葉に、ヘルメットの男は、即座に被せた。
「違う! この紋章は、リベレートのグリフ※1のタトゥーだ!」
「何!」
「Hey! バイオ、確かに、あれは、LEBERATEだ!」
注視し、項垂れるバイオ。
「た、確かに! く、恐ろしい男だ」
「Hey! バイオ! しっかりしろ! ヤツに飲まれるんじゃあない!」
「は、そ、そうだな、グリさん!」
落ち着きを取り戻したバイオは、ヘルメットの男に問い掛ける。
「貴様、何者だ! ここで、何をしている!」
即座に、被せるヘルメットの男。
「オレは、Crystal Towerを守護する、百八の魔星が一人、天狼星のkurokirbyよ! そして、うぬらのカルマを地獄に送る男よ!」
「What?! Crystal Towerを守護する、、、」
「百八の魔星だと!」
驚愕の二人に、被せるヘルメットの男kurokirby。
「そうよ! Crystal Towerのレアアイテムを狙う、うぬらのような盗人を排除する百八人の精鋭エージェント。それが、我等百八の魔星よ!」
「What!? この塔に、百八人のエージェントがいるだと。Gmmmm...」
「kurokirbyとか、言ったな! 誤解だ。俺達は、レアアイテムとかが、欲しいわけじゃあない! 教えて欲しいことが、あるんだ。この塔に来たある男のことを。。」
「やかましいーー! 問答無用! 上に上がりたければ、オレを倒すしかない! もっとも、上がるどころか、生きて下りることもかなわんがな!」
「ぐむうっ」
グリが、バイオの肩をたたいた。
「Hey、バイオ、あの格好から分かる通り、とても話が通じる相手じゃあない。とにかく戦うしかないようだ」
「そうだな。奴が、どういうエージェントかは、分からんが、俺達二人なら勝てるはず」
バイオが、目の前のポータルを指差し、kurokirbyに叫んだ。
「勝負の方法は、なんだ! あのポータルのキャプチャか?」
kurokirbyは、スキャナを取りだし、最大音声で、再生した。
“外界から閉ざされたその村では、悠久の昔より人狼伝説が伝わっている。今、伝説は蘇り、村に紛れ込んだ人狼は、夜ごと人間を貪っている。諸君は、この村で人狼を見つけ出し、村の平和を取り戻すことが出来るのか。それとも、村は人狼に駆逐されるのか”
そして、叫んだ。
「人狼で、勝負だ!」
驚愕のバイオ。
「イングレス関係ねえー!」
グリが、優しく諭す。
「Hey、バイオ、焦るな。この塔をクリアするには、ミー達の人間力が試されるんだよ」
※1.グリフ:本来は絵文字、象形文字を意味する英語 glyph。
イングレスのバックストーリーとして、有史以来、人類の発展や文明の隆盛に影響を及ぼしてきたと思われるShaperと呼ばれる存在が、人類にコンタクトを取る際に、メッセージとして使うのがグリフと言われている。
百以上の種類が確認されている。リベレートのグリフは、LEBERATE(開放)を意味する。