表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
炎風吹きすさぶ ~最古の八騎士~  作者: dobby boy
タワーゲーム
31/108

第31話 龍眼の男

【これまでのあらすじ】

 真実を探るため、Crystal Tower を登るバイオとグリ。

 一階の激闘をくぐり抜け、二階に到着。そこには、三本のエフコムのカセットが用意されていた。三階に上がるには、これらを二十四時間以内にクリアする必要がある。

 一本目のスーパーキノコ、二本目の魔界の一族を十六時間でクリアし、ついに最後にして最難関のリュウクエ2に挑む。


「後八時間で、リュウクエ2をクリアか。普通に考えて、できっこねえ」


 疲労した目を休めるため、グーグルグラスを外し、目尻をおさえ呻くバイオに、グリは、その瞳を見つめ、応えた。

「普通ならな。だが、ドラゴン・アイを持つユーなら、どうかな」


「ドラゴン・アイ?」


「そう、ドラゴン・アイだ。日本語で言うところの、リュウガン。

 英雄眼相と呼ばれ、過去に、ブッダ、カエサル、イエス、キヨモリ、チンギス、ナポレオン、エイブラハムなどが、ドラゴン・アイだったと言われている」


 想像外のグリの言葉に、バイオは驚く。

「!! か、からかうない! そんな、偉人とおれが、一緒だってのか?!」


「うむ、ユーは、間違いなくドラゴン・アイだ。気付かなかったか? 眼球に、龍が持つと言われる龍玉と同じ輝きがあることを。ユーを初めて見たときから、思っていた。思えば、それを見て以来ユーに惹かれていたのかもしれん」


「か、仮に、おれが、そのドラゴン・アイとして、今の状況を打破するのに関係があるのか?」


「Um。ドラゴン・アイは、普通の眼には見えないものが、見えると言う。リュウジン・クエスト2※1をクリアするために、使う能力には、うってつけだと思わんか? 探すんだ。何かが、隠されているはずだ」


 二人は、周囲を、過去を、そして、自分の内面を探した。だが、


「ダメだ。見つからねえ。無駄な探索に一時間も使っちまった」


「ネガティブになるな! バイオ! 暗黒面に堕ちるぞ!」


「だが、グリさん! くそー! この扉が、開きさえすればー!!」


 バイオは、三階への扉を、めくらめっぽう殴り付けたが、微塵も動かない。

 扉に突っ伏し、呻く、バイオ。グリは、優しくバイオの肩をたたいた。


「バイオ。ネバーギブアップだ。うまくいくかどうか分からんが、ユーのドラゴン・アイの力をミーが引き出せるかもしれん。ミーに任せてみる気はあるか」


「ドラゴン・アイの力を引き出す? そんなことができるのか?」


「シュアリーできるわけではない。ユーのドラゴン・アイとミーの相性が合えば、あるいは。。」


「可能性があるのなら、試してえ。むしろ、なぜ、今までそのことを言ってくれなかったんだ。グリさん」


「リーズンがある。ミーには確かにドラゴン・アイを引き出す能力がある。ただ、時間がかかるんだよ。もし相性が合わなければ、ただ時間を浪費するだけになる。このシチュエーションでそれは致命的な事態だ。だから、、今まで言えなかった。。」


「グリさん。俺はあんたに賭ける。もし相性が合わなかったとして、恨み言はいわねえ。頼む、グリさん俺のドラゴン・アイを引き出してくれ」


「オーケー! もはやネガティブは言わん。バイオ! ルックアット マイ アイ! じっくりと、ゆっくりと、たっぷりと!」


 バイオは、グリの瞳を覗き込む。

 その深淵の如き瞳を見つめ続けるうち、いつの間にか、半生がフラッシュバックしながら視界の前から後ろに流れていった。


「これは。。」

 バイオは思わず呟く。


「どうやらうまくいったようだ。恐らく、ユーのアゴーを追体験しているはずだ。その中から必要なシーンをユーのドラゴン・アイを使って焼き付けろ!」


 高速でフラッシュバックするシーンの中からバイオは、過去にリュウクエ2をクリアした寸前のシーンをピンポイントでピックアップする。


「グリさん、書くものを出してくれ!」


 グリが差し出した手帳に、バイオは高速で今見た五十二文字のひらがなを書き連ねた。

 それは、バイオが当時クリア前に最後に入力したレベル99の帰還の呪文であった。バイオは手帳に書かれた帰還の呪文をコントローラで慎重に入力し、Aボタンを押下した。


 次の瞬間、


 洞窟に三人のキャラクターが現れた。レベルは、、、

 三人とも99であった。大将リュウジン、総大将リュウジンキングを悠々と倒し、エンディングを迎えた。


「グレート。ユーの力は、ドラゴン・アイだけじゃあ無い。ユーの力はどんなタフな状況でも目的を成し遂げようとする想いの力だ」

 グリは、優しく労いの言葉をバイオにかけた。


「ありがとう。グリさん。グリさんの目を見たときの感覚、何か初めてじゃないような気がしたんだ。不思議なことにな」


 バイオは、スキャナを開き、ネットワークの復活を確認すると、目の前のポータルをキャプチャした。扉が、音もなく開く。その時、進むバイオを、グリが止めた。


「グリさん?」


「バイオ。一階のポータルにリンクを貼るんだ」


「なぜ?」


「理由は聞かないでくれ。ミーを信じてくれないか」


「分かったぜ!」


 一階ポータルにリンクを貼り、二人は、三階への階段を登った。



※1.リュウジン・クエスト2:リュウクエ2の正式名称。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ