ミリアムの手紙①
登場人物の葬儀があります
愛しい友よ
元気にしているだろうか。
君は研究に没頭すると食事を忘れてしまうことがあるので少し心配だ。まあ、アベルもいるので大丈夫かとは思うのだが。
ああ、けれど、研究に熱を入れている間はこの手紙を読むこともないのだろうか。それは少し寂しいな。
君を置いていってしまうことには抵抗があったが、すまない、私は好奇心を捨てきれなかった。自分の目でこの世界を見てみたいと思ってしまったのだ。
君は勝手だと思うのだろうか。それとも、私のことなどもうどうでもよいと思うのだろうか。
ふふ、そんなことはないと分かっているけれど、離れてしまうとやはり不安になるものなのだね。君が恋しくなる。
百聞は一見に如かずとは言うけれど、書物で見るだけであった世界は実際に目にしてみるとやはり違うものだな。
エリクが案内してくれたこの地は、かつて帝国の支配が及んだ場所であると聞く。支配から脱して長い今も、その名残があるようだ。異邦人というのは、あまり良い気分ではないのだな。
そうそう、エリクにこの地で有名な飲み物を教わったのだ。カルヒという黒い液体で、苦みや酸味を味わう類の飲料であるらしい。熟した実から取り出した種子を焙煎して粉にした後、濾過して旨味を抽出するそうだ。今は品種改良もなされ様々な種があるが、元は一つの木から始まったそうだよ。君にも味わってほしいと思ったので、器具と焙煎した豆を送ろう。感想をもらえるとうれしい。
アベルにも振舞ってあげるといい。ああ、ジェーンもたまには顔を出しに来ているのかな。彼にもあげたらどうだろう。君が彼を厭うていることは承知だが、多少は交流してあげてほしいな。
半月後には帰国するので、中庭で共にお茶を飲めるとうれしい。
友よ、私はいつでも君と共にある。
離れていても、それは変わらない。
君のミリアムより




