1-33
準備が終わったので行く前に麻衣へメールを送る。
"昨日の緊急事態の続き
取り敢えずジャックが来た理由は勧誘だった。
今からレッドラインに行って契約の内容とか話してくる。
配信の話したらジャックが事務所のパソコンを借りればいいって言ってたから借りれたらそこからコーリングでメッセージ送る。
もしかしたらそのままレッドラインに入るかも知れないから事務所への連絡お願い。
その関係で配信に参加できなかったらごめん
借りれなかったらメールするから。
また後で"
リビングに戻ると家族とジャックが楽しそうに話していた。
「何話してたの?」
「なに、桃のプロゲーマー時代の話を聞かせてもらっていたんだ。」
「うげ、ジャックなに話したのさ。」
「プロ初めての大会でぼろ負けして大泣きしてた事とか」
「あれはお前がむやみに突っ込むからそのフォローに全員で当たっている内にポイント取られたからだろう!」
「そうだったか?」
「そうだったよ。その後から僕がジャックのフォローに入るようになったんだよ。」
「そうだったんだな。まぁ忘れてたよ。」
「もういいよ。準備終わったから行こうか。」
「あぁ、今から行けば10時頃に着くか」
「まだ9時なんだ。ジャック、今から行くって連絡しといて。」
ジャックと一緒に家を出て電車に乗りレッドラインの事務所まで行く。
事務所前に着くとジャックがドアを開けて僕を招き入れる。
中にはパソコンが多く置いてある部屋やコンシューマーゲーム機が置いてある部屋がいくつかある。
日曜日だからか人が多くおりこちらを見てくる。
中には見知った顔がちらほらと見えるが一様に驚いた表情をしている。
ジャックの後ろからついていくと、ジャックが1つのドアの前で立ち止まりドアを開けて入っていく。
そこは応接室のようで、真ん中に机があり椅子が4つ置いてあるだけの部屋だった。
「ここで座って待っててくれ。」
「分かったよ。」
ジャックが出ていったのでドアから近い席に座り待つ。
しばらくするとジャックが戻ってきた。
僕は立ってドアの方を見る。
ジャックともう一人男性が一緒にいた。その人は僕がプロゲーマーとしてレッドラインに所属していたときにお世話になっていたマネージャーで田沼さんと言う。
「お久しぶりです、田沼さん。」
「お久しぶりです、スズカケさん。あなたが辞めて以来なので2年ぶりですかね。」
「そうですね。その節はご迷惑をおかけしました。」
そう言いながら深く礼をする。
「気にしないでください。あの件は向こうの運営の不祥事に巻き込まれたに過ぎないのですから。」
「そうだぞ。向こうがチートプレイヤーと協力してお前を叩いたりBANしていたようだからな。」
「有難うございます。」
頭をあげて二人を見る。
二人が机の反対側に行き椅子に腰を掛ける。
「スズカケさんもどうぞ座って下さい。」
そう言われたので椅子に座る。




