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取り敢えず東の山に行けるようになったみたいだ。
そこへガーベラからコールがかかってくる。
『もしもし、どうしたの?』
『お姉ちゃんどうしたのじゃないよ!さっきのアナウンスはどういうこと?』
『アナウンスってワイルドランドウルフリーダー倒したときのやつ?』
『それだよ!まだ誰も倒してないのにどうやって倒したの?』
『その話は後ででいい?』
『分かった、後で絶対に聞かせてもらうからね。』
『分かったよ。じゃあまた後でね。』
そう言ってコールを切る。
すぐにまた次のコールがかかってくる。
次のコールの相手はガーネットであった。
『もしもし、アジアンタムです。どうされましたか?』
『突然コールさせていただきすみません。先程のアナウンスについてお聞きしたいことがありまして今から会えませんか?』
『その事ですね。申し訳ありませんが、今は用事がありますので後日改めてお話しさせていただくというのはいかがでしょうか?』
『後日というのはいつ頃になりますでしょうか?』
『ではリアルで明日の午後7時というのどうでしょうか?』
『明日の午後7時ですね。分かりました。その時間にまたコール差し上げます。』
『有難うございます。それではまた明日お会いしましょう。』
『失礼します。』
コールを切り歩き出そうとするが再びコールがなる。
今度は知らない人からコールが来たのでどうにかできないか、コンソールを操作する。
その他の項目にヘルプがあったので開いて確認する。
そこにコールの制限の仕方という項目があり確認し操作する。
フレンドからコール設定に入り"フレンドからのコールのみ"に設定する。
するとかかってきていたコールが切れてそれ以来コールがならなくなった。
今度こそと歩き出した。
何回か戦闘してみたがここではロックリザードやロックタートル、ロックゴートが生息しているがロックリザード以外はノンアクティブで近寄っても逃げないし攻撃してこないがロックゴートは攻撃すると近くにいるロックゴートがリンクして襲って来るため注意が必要になる。
またロックリザードとロックタートルは硬く手間がかかるため避けて行く。
近場に採掘ポイントがあったので近くにロックリザードがいないか周囲を確認する。
一匹いたが倒して収納したあと、ピッケルを取り出して採掘ポイントに叩きつける。
すると数個石が転がり落ちて来たのでそれを拾い収納しまたピッケルを叩きつける、を繰り返していた。
数回ほど繰り返すと採掘ポイントの反応がなくなったので次の採掘ポイントを探す。
ある程度インベントリがいっぱいになったので町に戻る事にする。
荒野に戻った際にプレイヤーがこちらを見てきたが気にせずに通り抜ける。
その時、一人のプレイヤーが話しかけてきた。
「おい、あんた。次のエリア行ったんだよな、どうやって倒したんだよ。」
「普通に攻撃して倒しましたが」
「そうじゃなくてウルフリーダーがどういう攻撃をしてどういう風に避ければいいのかを教えろっていってんだよ。」
「僕にそれを教える義務はありませんね。それでは急いでますのでこれで」
そう言って振り返り歩きだす。その肩を捕まれて
「は、待てよ。まだ話は終わってねえぞ。」
「だから僕には教える義務は無いって言ってますよね。それに急いでるって言っているのですが聞こえないのですか?」
「そんなことは関係ねぇよ。俺に攻略法を教えやがれ。」
僕は肩に置かれた手を振り払い走り出す。
「話しても無駄なようなので帰ります。」
そのプレイヤーが追いかけてきながら叫ぶ。
「待ちやがれ。このちびが」
逃げ続けるも一向に諦める気配が無いので町の門を抜ける際に衛兵に追いかけられていることを告げる。
「すみません。僕、なぜか追われていて」
「そうか、どいつだ。」
「あの走ってこちらに向かってくる男の人です。」
「分かった。後は任せなさい。」
「有難うございます。」
「気にするな。これも仕事だ。」
衛兵がそう言って追ってくるプレイヤーを取り押さえて
「お前はこれから尋問させてもらう。場合によっては拷問も許されている。」
「はぁ!なに言ってんだよ。なんも悪いことしてねぇだろ。離せよ。」
「人を追いかけ回しておいて悪いことをしていないか、いい度胸だ、これから迷惑行為というやつについてみっちりと話してやろう。」
衛兵が他の衛兵に向かい
「すまないが後を頼む。それと嬢ちゃんはもう行っていいぞ。もしかしたら後日話を聞くかも知れねぇけどな。」
「分かりました。有難うございます。」
そう言って僕は宿屋に向かい歩きだす。