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ガーベラがノックされたドアに近づいてコンソールを操作しドアを開けると赤く長い髪の女性が1人立っていた。
「失礼します。」
「ようこそおいでくださいました。そちらへお座り下さい。」
姉さんがそう言ってガーベラの隣の椅子に案内する。
「初めまして、私はガーネットと申します。このCEO内で情報屋のようなことをさせていただいています。以後お見知りを」
「これはご丁寧に有難うございます。私はデンファレと申します。」
「私はアジアンタムと申します。よろしくお願い致します。」
「お姉ちゃん達ちょっと固いよ。あたしもお世話になってるフレンドなんだからもっとフランクに行こうよ。」
「そうは言っても初めて会う方だしそこまでフランクには出来ないよ。」
「そうよ。初対面だからこそ礼儀は大事よ。」
「そうですね。第一印象ってなかなか変えられませんから変に取られることは避けた方がよろしいですよね。でももう少しフランクに接して頂けたら嬉しいです。」
「少しだけ口調を崩させて頂きますね。ガーベラからはどの様に聞いていますか?」
「そうですね。私たちがNPCにとっていい存在じゃないということとポーションが無くなるかも知れない、ということですね。」
「であるならその2点についてお話させて頂きますね。」
「よろしくお願いします。今回の情報料については話を聞き終えた後でという事でよろしいでしょうか?」
「まず住民にとっていい存在じゃないという点ですが、僕たちはログインしてから住民とまともに話した人は少ないでしょう。」
「そうね。私たちも殆ど話していないね。」
「住民を感情のない人形か何かと勘違いしている方が多いようなのですがその様な対応をされることが住民の不満に繋がっているようです。」
「その様なのですね。」
「僕が聞く話だと僕ら探索者のその様な行動や路地裏に住む人々に対して居ないものとして無視して居ることで住民は悪感情を溜めていくようです。そしてこの街の店が休業することになりそうですね。」
「そうなったら私たちプレイヤーはとても大変なことになりますね。」
ガーネットは少し考え尋ねるように話す。
「もしかしてポーションの件も似たような事が起きているのですか?」
「ポーションについては単純に需要と供給の関係が崩れていて生産が間に合っていないと言う事と材料の入荷が足りなくて生産出来ていないということみたいです。」
「そうなのですね。と言うことはプレイヤーにクエストのついでに薬草の採集をしてきて貰えば材料の供給についてはなんとかなりそうね。」
「調合持ちのプレイヤーがどれだけ居るか分かりませんから生産に関してはどうなるか分かりませんね。」
「そこも心当たりはあるから大丈夫よ。」
「そうなのですね。では、よろしくお願いします。」
ガーネットはコンソールを呼び出し操作すると、僕に向かい
「今回の情報料は一万リーベでいいかしら。」
「取り敢えずそれで構いません。」
「ではこれを。」
そう言ってコンソールを操作すると僕のコンソールにピコンという音と共に"ガーネット様より一万リーベが届いております。受けとりますか?"という表示があったので"はい"を選択する。"ガーネット様より一万リーベを受けとりました。"と表示される。
「ついでにフレンド登録もしておきましょうか。デンファレさんもしておきましょう。」
「分かりました。お受けします。」
「そうね。お願いしますわ。」
そう言ってガーネットさんとフレンド登録することになった。