プロローグ
高台にてうつ伏せにはなりスナイパーライフルを構え荒野を見下ろしている一人の少女がいた。
少女の目線の先には岩場に身を隠しお互いに隙を伺い合う二人の人間がいたがついに片方の人間が岩影を飛び出しもう片方の人間に接近し銃弾を浴びせその人間が倒れました。
その瞬間ガッツポーズをとり喜びを表現したのもつかの間、高台に伏せていた少女に頭部を撃ち抜かれ倒れました。
少女の目の前に「your winner」と表示された後、少女の意識が遠退き、意識が戻ると歓声が聞こえており少女は頭部よりヘッドギアを取り外しました。
立ち上がりステージ中央の男性の元に歩いていくと男性よりトロフィーを受け取り観客に向けて大きくガッツポーズをしました。
眼を覚ましあくびをして一言「あのときの夢か〜」と言いベッドから起き上がり洗面所に向かい顔を洗い歯磨きを済ませリビングへと行きました。
そこには高校一年生になったばかりの妹の雛菊とお父さんが朝ごはんを食べておりお母さんがキッチンにてご飯を作ってくれていました。
「おはよう」
と挨拶をするとお母さんから
「おはよう。蘭を起こしてきてくれない?」
と言われたのでお姉ちゃんの部屋に行きドアをノックする。
返事がないのでドアを開け部屋に入りベッドの横に行きお姉ちゃんの肩を揺さぶり起こす。少しするとうなり声を上げ眼を開け手を上に突き出したのでその手を持って起こします。
起こした後、リビングに行き用意されている朝食をお姉ちゃんと一緒に食べる。
お姉ちゃんは大学三年生でそこそこ人気のブログをアップしているブロガーでブログの定期記事にするほどのゲーム好きで私のプロゲーマー時代に色々サポートしてくれていた。
ご飯を食べ終わり、部屋に戻ってVRヘッドギアを被り「今日こそはクリアするぞ」と言いゲームを起動させます。
ゲームはオフラインのVRシューティングゲームで難易度がルーキ・カジュアル・ベテラン・リアリズムの4つの他に全てを最高ランクでクリアするかチートツールの使用によって現れるインフェルノがある。
インフェルノは多くのプレイヤーが挑戦し挫折を味わってきたもので1デスで最初からやり直しや敵のランダム配置、弾薬が少なく敵の数に対して圧倒的に足りない、敵AIの強化(プレイヤーが見えた瞬間ヘッドショットされる等)がありクリアさせる気がないと言われている。
桃はそのインフェルノをチートツール無しに最終ステージまでクリアしていた。ここまでを何度やり直したことか、この先を何度やり直したことかわからない。このステージをクリアしたら終わると言う気持ちと失敗すればまた最初からと言うプレッシャーを感じていた。
桃はここまでを殆ど近接攻撃のみでクリアしてきたため弾薬には余裕があり前までは笑顔を浮かべていただろうが今回は余裕がない。それもそのはずだ。
前に同じようにここまで来て余裕だからと道中の敵にも弾薬を使用していたらボス戦で弾薬が無くなり近接で戦っていたもののやられてしまったのだから。
道中の敵を見つからないように近接で倒しどうしても見つかってしまう場合は敵の攻撃を予測回避し素早く接近しなんとか近接で倒しボス前までやって来た。
いよいよボス戦だ。開幕持っている弾薬を外さないように丁寧に撃って全てを打ち切った時ボスのHPが数ドット残して消えていた。しかしまだ倒れていない。このままではまたやられる。そう思ったときに近接で使っていたナイフと剣が残っていることに思い至りナイフを投げ剣を持ち敵の体に突き立てた。
そこで敵のHPが無くなりエンドロールが流れ始めた。