四十五『速度』
「イチゴ」
華月 陽藍は『教え子』を呼んだ。そして伝えた。『帰るわーー』と。
「え?もうですか? 今来たばかりですよね?ーー」然し、
「『帰る』よ。『自分の』世界にな。その前にーー」イチゴは『え?』と言った。
『声』が『聴こえ』た。〘へたれ〙と。
イチゴ・シャリンバイは、打ちのめされた。ーーーーー
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ーーーーー『確かに。』彼は納得した。
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『ペルウィアナ』と、『彼女』を呼んだ。ウィアナは不安そうな瞳で、彼を見たのだった。
『シャーリン』は『思っ』た。『ああ、彼女を、護れていないのだなーー』と。『こんなに』『不安に』『させて』『いるのか』ーーと。
兄『グロメラタ』に、頼まれたーー事。『自分』の『代わり』に『妹』を『みて』くれーーと。
「『イチ』、時々で構わないんだ。『村』の『定期報告』を『受取り』に来る時で良いから」ーー
妹を、『弱さ』から『護って』くれーーと。シラー・ペルウィアナは『臆病』なのだ。『兄』が『居ない』と『何も出来ない』子ーーと言われ、すっかり臆病になってしまった。
それでも彼女は『自分なりの』速度で、自分『なり』に、懸命に『育っ』た。華が『咲く』様にというよりは、『作物が』『実る』様にーーだ。派手な『花』は『咲かない』が、いつも『ちいさな』可愛い『小花』を、実らせて。
彼女『なりに』生きている。例え『人見知り』でも。『欠点』は見方を『変えれば』「個性」だと、イチゴ・シャリンバイは『師匠』から、教わった。
イチゴ・シャリンバイは『魔法』が『一切』『発動』ーーしなかった。どんなに努力を『重ね』てもだ。『姉達』は『優秀』なのにーーだ。然し彼は『負け』だとは思わなかった。父から『剣』を与えられた。
『剣技』も。
父『ブラックベリー』は、元々の『王族』では無い。母が『王女』だった。そして母は王位を『継い』だ。そしてそれから『父』と『恋』に『落ち』た。ーーらしい。母の『惚気け』だが。
父と婚姻した『母』は『王座』を降りた。父が『即位』した。父は『国』の『自衛軍』の『軍人』だった。王宮を『警備』する部隊の『長』だった。
剣技の腕前は所謂『折紙』つきーーという奴で在る。それから『イチゴ』は、『グロメラタ』に『出会』い、『剣技』の『腕』を競い合った。『陽藍』に『初めて』『出会った』のは、その後である。
当時『8歳』だったイチゴは、『7歳』だった『ラタ』と略『互角』だった。そしてそれが『悔し』かった。歳下の『ラタ』に未だ『勝てない』事がだ。おまけに『ラタ』には『妹』が出来た。会う『度』に『妹自慢』だ。イチゴも『妹』が欲しく為った。
イチゴが初めて『ウィアナ』に会ったのは、ウィアナが『1歳』に成った頃だ。確かに『ウィアナ』は可愛かったが、イチゴは余り『会わせて』貰えなかった。シラー夫妻が『王都』に『滞在』した『二年』程の『間』で、数回『会い』、抱かせて貰えたのは、一度『きり』だった。
ある日『シラー一家』は、王都を『出』た。引越したのだ。『スプス村』ーー通称『隠居』村へと。スプス村とは、『陛下』の『家臣』として『務め上げた』者達が、『退職後』を過ごす『為』に『作られた』村だ。大概『皆』『農家』に『転職』をーー求める。理由はあれで在ろうーー『王宮』の『庭』だ。
華月 陽藍の『植物』『作物』『研究』の『場』ーーだったのだ。つまり『ハナ』の『王族』とは、彼の『実験』を『護る』『部下』なのだ。
『自分の星』で『敷地』が『足りない』陽藍は、『条件付き』で、『星神白神』から、『土地』を『借りている』訳だ。
条件とは勿論、『危機』に『駆け付ける』事ーーではなく。定期的な『スイーツ(※要新作)』提供で『在っ』た。ーーーーー神とは『それで』良いので在ろうかーーーーー
勿論『何か』有れば、来たく無くとも『泣き付かれ』るので、恐らく『問題』無いーー多分きっと。彼等はギブアンドテイクを遂行している。問題『無い』だろうーー多分、きっと。
『スプス』村の面々は、皆、『陽藍』を知って『いる』訳だ。ーー協力もする『訳』だ。
村人『皆』で、『仲間』の『仇』に攫われた『赤子』を捜索する『シラー』達の『援護』をーーしている。村の『大人達』の話だ。つまり、『皆』、『ペルウィアナ』の『親』の『代行』の『つもり』で在る。でなくば、ラタとて『ウィア』を『ひとり』に、したりしない。
それでもグロメラタは『妹』が心配だった。グロメラタの『両親』は、仕事の『途中』で命を落とした者達だった。シラー達の『仲間』だった。親友の『夫婦』の『息子』を『引き取る』事に、『彼等』は『誰』も異を唱えたりはしなかった。グロメラタも『シラー夫婦』を、『親』だと感じている。『村』の『皆』の事も。
イチゴは幼き日知らなかったが、友『ラタ』が『引越し』たのは、『ウィアナ』を『護る』為だった。ウィアは身体の『弱さ』に反比例する様に、『魔力』が溢れていた。眠って『いる』だけでも、『灯り石』や『空調石』やその他の『生活石』に『力』を『込めてしまう』赤ん坊だった。
話を『聞いた』陽藍は、『スプス村』という『結界』に住む事を進めた。スプス村の年中『温和』な気候は、『作物』『実験』の『為』に、作られた『結界』に依る『効果』だ。朝晩の『冷え』は、果物を『甘く』する効果がーーある。元々『果実園』にしようと思った。が、『隠居』した『彼等』が、自主的に『色々』『実験』し始めたのだ。『向き』『不向き』を密に調べ上げ、定期的に『報告』した。イチゴも『結果』を元に、『独自』に『研究』を進めて『いた』。
スプス『村』の『結界』の『中心』には、『神殿』が、在る。ウィアナの『家』は『神殿』に『一番』近い。結界が一番『強力』に『為る』エリアだ。
ペルウィアナは『そうして』護られて、今まで『無事に』生きて来たーーのだった。知らぬは『当人』ばかりーー文字通りに。ウィアの『溢れる』力ーーは、『何処』に、『在る』のか。
家の中の『魔法生活石』や村の皆の『それ』で『治まらない』分は、両親が『持たせた』陽藍作の『加護の石』にーー納められて来たーーが、そろそろ『いっぱい』だと思った『ラタ』が、『予備』の『石』を、妹へ『送った』筈だった。黒かったのは、属性が『闇』だからである。
然し『此れ』を、偶然『ミア』が見付けてしまう。ラタからの『手紙』を読んだのだ。ミアが訪ねた時に、ウィアは『花壇』の水撒きに向かっていた。ラタの花園だ。其処に手紙が届いていて、ミアはどうしても気になって開封してしまった。『石』の『膨らみ』が、気に為ったのだ。
「『肌見放さず』石を『持って』いる様に。」ラタの『言葉』がーー綴られていた。ミアはその『文』を隠したーー『嫉妬』だった。『子供』の『自分』には『買えない』『装飾品』をーー送って来たのだと。
その後『懸命になって』買ってきた小さな小さな『石』の飾られた『首飾り』は、ウィアナに『要らない』ーーと言われしまうーーカルミアは此の時自分の『行動』を恥じたーーが、もう『遅』かった。
ウィアナの『エネルギー』は、『夏文』の『うっかり』『異世界』『飛翔』ーーを、『引き寄せ』た。
夏文は『冒頭』で言っている。
『僕』も『悪かった』しーーと。
勿論陽藍は解っていた。だから『授け』た。『新たな』『加護』石を。
『精霊』の『見張り』付きで。付き添い『虚しく』『飛んだ』事はーー勿論彼には『誤算』で在るが。それでも『精霊』は頑張ったのだ。
『制御』を。お陰で『彼等』は、『星の中』に『留まれ』た。陸が怒って『いた』ではないかーー『馬鹿なの? 死んじゃう「処」だよ』と。
『宇宙空間』には残念ながら『大気』は無いのだ。『彼等』は『生きれ』ないーー陸が『怒る』訳で在るーー『手柄』の『精霊』は『褒美』を『どっさり』貰ったが、
イチゴは『たっぷり』と、『叱られ』た。『ラタ』の『石』を、ウィアナが『常備』して居なかった『件』について。又、『気付くのが』遅れた『件』について。
勿論ペルウィアナは全く『気付いて』いなかったが、ウィアナとシランの『旅路』に『尾行』が在た事はーーもうお気付きで在ろう。お隣のアメシスト・『リキダ』おじさんの『依頼』で、村長『シソー・アキギリ』さん宅長男『シソー・セージ』君がしっかりと『ついて』行ったのだった。出足は遅れたが、『気配』『探知』能力は、ニアの軽く三倍のセージさんは、問題無く追い付いた。セージは『探知』他『気配隠蔽』もお得意だった。
リキダおじさんは確かに言った。『引き止めたんだけどね』と。おじさんは引き留め、裏口から妻の『アメシスト・バーベナ』さんは、二軒先のシソーさん『宅』に走った。
時間稼ぎに、おばーちゃんの『アメシスト・ポラリス』さんは、「ウィアナ、『お外』行くなら、これもあれも『持って』行きなさいーー」と、『あれこれ』持たせたのだった。
呼ばれたセージは急ぎ『畑』から『戻り』、追跡を開始したーーのだった。優秀な『彼』は、タイミングをみて『ミモザ』からも『救出』するつもりが、ーーとなったのだった。急ぎガイサース国王都迄『戻った』処で、陽藍と『会い』事なきを得たのだった。既に『解決』へと向かい、『陸』が『動いた』後だった。『流石ですね』とセージは感嘆するしかなかった。陽藍は『……お前こそだよ(笑)ーーお疲れさま。褒美出るぞ』と笑ったのだった。
イチゴが『ペルウィアナ』と『離され』た『理由』に戻ろう。
イチゴが『可愛がる』と、照れた『ペルウィアナ』が、『力』を『限り無く』溢れさせたーーからだ。
城の庭の『全て』が狂い咲いた。『全て』だ。又、『生活石』が『エネルギー多化』で、距離の近かった『数個』が『破損』した。イチゴも『驚いた』記憶が在る。
それも『急に』ではーー無く、実に『ペルウィアナ』らしく、『じんわり』と其れは『起きた』のだった。植物の事もあって、陽藍に報告がいった。そして『原因』が判明する。
「『この娘』『王太子君』を『好き』なんだろうね。」
イチゴ・シャリンバイは、『あの日』の『言葉』をーー思い出していた。7歳だった彼の恐らくは『初恋』の『瞬間』だった。
幼すぎて『何も』理解していなかった日の記憶だった。イチゴはペルウィアナに『好かれ』て、嬉しかったのだ。淡い記憶だった。
決して『鮮明』ではないが、多分『間違い』でも無いーー確かな『記憶』だ。
多分『今』伝えないと、『彼』はもう『一生』言えないであろう。『時間は有限』ーー何故だが『陽藍』の『声』がーー聴こえた。彼の中だけに。
「ペルウィアナ。『僕』の『お嫁さん』に、成ろうか。多分ね『楽しい』よ。一緒に『野菜』と『果物の樹』を植えようよ。『実』が『成ったら』味見して、『美味しく』出来たら『皆』で食べよう。それで次は『もっと』美味しく『作れる』様に、一緒に『研究』しよう。多分『次』は『実朱』も『成功』させるよ。ひとりで『出来ない』時は、ふたりでやれば『良い』んだよ。
そうだろう? ペルウィアナ。 僕を『手伝って』くれないかな? 僕も『君』をずっと『支える』から。 出来る限りね。 ウィアナの家の『庭』に、『立派』な『南瓜』が在ったろう?
実はあれね、陽藍さまが、『此方』に『持ち込んだ』『種』なんだ。『僕』は『南瓜』が『大好き』で、凄いよね、あれ。お菓子にも料理にも使えるんだ。栄養価も高いし、普及させたくて『此の星』に『適する』様、色々頑張ってみたんだ。ーー今は『君の村』でも『普通』に『見掛ける』だろうーー頑張った甲斐があって嬉しくてさ。って…………………何の話をしてるんだ…………僕は。………………………ごめん、ちょっと『忘れて』ね。……………やり直し…………、」
「『何』を?」 「ーーえ?」
「『何』を忘れるの? 『全部』?」 「いやーーちがうーー」
「……………………………………、忘れないで。」 「………………………、うん。」
「ごめん『焦った』。………………『君』が『好き』だな、ペルウィアナ。『君』は?」
イチゴ・シャリンバイは、開き直った。シラー・ペルウィアナは、うんーーと答えた。
「私…………………『未だ』ちょっと『子供』だよ…………………シャっ、…………イチゴ『さん』は、『待ってて』くれるの? 私ね…………………『とろい』って言われる。……………『待ってて』くれる?」
「うん『待って』る。待てるよ。あのね『ペルウィアナ』の『速度』で良いんだよ。」
又『ウィアナ』は、うんーーーーと言ったのだった。
「どうする『ペルウィアナ』? 今日ーー嫌『今夜』は、『月』も『星』も『花』も『全て』が『綺麗』だよーー? とても『贅沢』だね?」
窓の外を促したイチゴがそう言った。夜明け迄には『未だ』少しーー『時間』が『在った』。そんな話だ。
此の御話は、シラー・ペルウィアナという、少し『速度』が『遅い』少女がやっと『歩き出した』ーーほんの『始まり』の『物語り』である。未だ未だ『序章』なのだ。『彼女』の『物語』の。
〜fin.
ご来場閲覧ブクマ誠に有難う御座ます///本篇は『完』です☆溢れ『話』を『少し』書いてから、『完結』にしたいと思っております。イチゴ頑張ったな!wではではm(_ _)m




