四十二『疑問』
『シャーリンさん』とウィアナに呼ばれた。シャーリンは『うん?』と相槌を打った。ウィアは言う。
「聞きたい事が沢山あるんだけどーーでも『待って』」と。シャーリンは又『うん?』と返したのだった。今回は疑問形だが。
「『洗濯魔法』、『上達』したいーー」ウィアは『唐突』に、そう言った。シャーリンは『え?』と思ったのだった。『又面白い事』言い出したなーーと。
笑わない様に堪えた。
恐らく『友理奈』の言葉に『反応』してそう言ったので在ろうーーと。友理奈は『洗濯大事だよねー』と、軽い『様子』だった。
流石にレザードが止めた。『大事』だろうーーが、
「後にしないか?」と。シャーリンは『確かに』ーーと思ったのだった。そしてウィアナに声を掛けた。『行こう』と。ウィアナは又事態が呑み込めずに、面食らっていた。
然し。此の時『シラン』は『希望』を『抱いて』しまった。ウィアナの『洗濯魔法』の言葉にだ。何故かーーそれは『冒頭』に戻るーーシランは『当初』『洗濯屋』としての『ペルウィアナ』をーー必要としたからだ。
ウィアが『上達』したいのは、『上達』したら、『共に』『旅に』出たいからーーではないのかーーと。シランと『共』に。今のシランにはそう思えた。未だ『希望』はあると。『機会』を覗った。
「『いい加減』にしなよ。」
陸の『厳しい言葉』がーー部屋に響いたのは此の時だ。それはシランへの言葉だった。陸は言葉と共に、厳しい表情をしていたのだった。今部屋には『子供』達はいないーー別室で悠太が見ていた。なので陸に『躊躇い』の『理由』はーー無い。
「君の『考え方』だよ。『都合』が良すぎるよ。自分にね。ペルウィアナは『君』とは『行かない』と言ったじゃないか。どうして『理解らない』のかな。『諦める』事も、必要だよ。『大人』になりな。『親』が『いない』から何だ? そんな『奴』は『いっぱい』いるよ。でも『皆』頑張ってるよ。な、紺。そうだろ? あのさ。確かに『君』は『偉い』よ。ひとりで『生きてる』んだから。でも『本当に』『ひとり』か? 今までも? ずっと? それを『選んだ』のは、『君』じゃないのか? 『困った』時、『誰』も『たすけて』くれなかったか? 違うだろ?」
陸は『ナフィート』と『ダーナス』を見た。そして又言った。
「『助けて』くれる『ひと』は、『居た』だろう?」と。そう取るか、取らないかーーだ。
今だってシランは、『誰か』の『手』を、『借りて』居るーー気付いていないだけでだ。陸はそれを言いたかった。解からせたかった。此の、わからず屋に。
『解決』してやるとーー『言った』だろうと。本当は既に『謎』は解けて『いる』のだと。
シランはーー混乱していた。勿論、陸の『言葉』にーーだ。シランは『自分』で『自分』を『縛って』いた様なものだ。『言葉』の『呪縛』で。
「ちょっと『いい』かな。」
青褪めた『シラン』を見てられずに、イチゴ・シャリンバイは声を掛けたのだった。『君の両親の事だーー』と。
シランは『はじめて』『シャリンバイ』に『興味』を『持っ』た。『何か』知っているのかーーと、顔色を変えた。シャーリンは答えた。
「うん。先ず言わなくてはいけないのは、『恐らく』つまり『推測』なんだが、『君』は『両親』と『血縁関係』に『無い』ーーと思うんだ。」と。
シランは余りの『衝撃』に文字通り『言葉』を失ったのだった。意味が分からないーーと。
シャーリンは『それからーー』と続けた。
「『御両親』、……………『亡くなって』るよ……………。申し訳無いけれど。」と。
確かに『シャーリン』は、そう言った。『シラン』へと。『シランと言う名も、君の本当の名ではないのだと思うーーよ』と。
「君は『混乱』の『中』で『連れ去られた』子供だとーー思うんだ。残念だけれど君の『本当の』御両親も亡くなられていて………君の『名前』は判らない。未だ『名付け』られる『前』だったのかもしれないーー『記録』が無いんだ。ただ………………」
『子供』を取り上げた『産婆』の証言があり、『子供』の『存在』が『発覚』した。
「それで、『国王』の『命』で、『捜索』されたけれど、『未だ』見付かっていないのが『君』だとーー僕は思う。君の『話』を『聞く』限りでーーだけれども。」
渇いた声でシランは聞いた。「俺の『両親』てのは………なんだったんだ?…………」と。
シャーリンは答えた。「『元』『城』の、『奉公人』」だったーーと。
奉公人だった『夫婦』が、王から『幾らか』の『農地』を貰った。『退職金』代わりに。夫婦はのどかに『畑』を耕し、『新しい』『作物』の『開発』をーー夢みた者達だった。
王の了承を得て、『退職』し、適した『土地』に移り、第二の『職業』に就いたーー過ごす事ーー数年、夫婦の『妻』が懐妊した様だが、土地は城から離れた『土地』、夫は恐らく『無事』産まれてから、『報告』するつもりだったのかもーーしれない。
失くなったのは、『夫婦の命』と『研究成果報告』だった。
亡き骸だけ酷く虚しく『其処』に遺してだ。滅茶苦茶な部屋からでは『赤子』の『存在』は、察知出来なかったらしいーーそれ位、酷く散らかっていたーーらしい。
定期『報告』の『文』が届かぬので、王は使いを出し様子を見に行かせた。そして『事件』は『知れた』のだ。当初捜されたのは『研究成果』を『持ち去った』『者』の『存在』だ。
何の為に『行った』のか、王には理解出来なかった。『命』を奪う事の『程か』ーーと。
『退職』を『許可』した自分の行動を、悔んだ。拒めば良かったと。土地等やらねば良かったのだと。
『理由』を捜すうちに、『産婆』の『証言』を得たのだった。捜索は『赤子』が『最優先』となった。優秀なーー『隠密』の、『シラー』夫婦が『筆頭』に成り『捜す』が、手掛かりは掴めど『確信』に辿り着かないーーシラー夫婦は、『シラン』の『育て』の親ーーつまり、『犯人』とは唐に『接触』していた。
追い詰め『確保』寸前で在った。『犯人』夫婦に『自害』される『失態』をおかすーー『赤子』既に『成長』しているで在ろうーーが、『子供』が見付けられ無いーー『手掛かり』が自害してしまった為に又一から情報を集め直した。今も、
シラー『夫婦』は、未だ『懸命』に『彼』を『捜索』している『筈』だ。
イチゴはシラー夫婦の『名前』だけ伏せて、その話をしたのだった。
シランの『本物』の両親だと思われる二人は、ハナ国の王宮の、
「『庭師』だったんだよ」
王太子『イチゴ・シャリンバイ』は、そう言った。今『王宮』の『庭』は、『彼等』の『弟子』が引き継いでいる。見事な『庭』だった。『過去』も『今』も。
「見に行こう。多分君の御両親の『形見』だ」からーーと、王太子のシャーリンはそう言った。
シラー・ペルウィアナはきょとんと、彼に『質問』した。
「『シャーリン』さん? 『王太子』って、『王子』さま? ーーーーなの?」と。
シラー・ペルウィアナは『わかって』いなかった。嫌『忘れて』いたのだろう。
『ハナ』王国の『王族』の『名』を。ーー『シャリンバイ』の家名を。故に先程は『驚か』なかったのだ。気付いていないという、初歩的なミスだった。そんなのはウィアナだけで在ろうーーが。
「……………うん。『そう』かな。」
シャーリンの返答は今度は『肯定』だった。
「因みに『君』が『思って』る『同じ顔の男』は、『イチゴ』本人だよ。」
陸がシランの『誤解』のひとつに、そう言った。シャーリン、つまり『イチゴ』は、『城』にて『正装』をしていたーー『だけ』だったのだが、ーーシランには『別人』に見えたーーただそれだけだった。『話し方』も『変えて』いたのはーー仕方無いのか。王宮での常の『言葉使い』で『街』を歩けば、たちまち『身分』がばれる位は、シャーリンにも理解る。故にだ。細やかな『努力』をシャーリンなりにしたのだ。気付かない『シラン』も大分『可笑し』かろう。『思い込み』とは怖いものだ。
そう。ーー衝撃を受けたシランは一応『抗議』をーーした。『いいや!凛々しかったぞ!』と。
「この『優男』のように、『ふにゃ』っとしてなかった!違う!『絶対』別人だった!あっち『ならば』女に『モテる』が、『こっち』では『イマイチ』だ! こんなに『弱そう』でもないし! その『レザード』もだ! 『眼つき』が『キツ』かった!」そう叫んだ。が、
「いや、『今も』きついでしょ。良く見て? ね? 落ち着いて『ぼく』。いい?良く『聞いて』。レザードもイチゴ君も、『横』に『好きな』女の子が『居る』から、少し『にやけ』ーーおっといけない。ちょっと『照れ顔』な『だけ』よ。ーーわかったかな?ぼく?」
因みに『うちの』旦那さまは、あまり『にやけ』ませんーーと、佐木 友理奈は『解説』したのだった。直夏当人に『嫌、そうでも無いよ』ーーと、言われながら。
「友理見てると、結構俺『にやけ』てるよ」と、佐木 直夏は『真顔』で言ったのだった。
ガイサース国、第二『王子』は思った。『何処が?』だろうーーと。弟王子が、『顔に出てないぞ直夏』と、突っ込んだのを、聞きながら。
兄王は言った。『まあもういいから行こう』と。
「私の『ユシ』が待ちくたびれてしまったぞ。とりあえず『散る』前に行こう。ほら、友理奈、直夏。夏文君を連れておいで。『ユシ』楽しみだな。」
彼は言った。「シラン君。」と。
「ハナ国へ行こう。先ずは『ブラックベリー』王に会うべきだ。それから『又』話をーーしよう。『私達』だけで『話す』訳には、いかないーーからね。」
陸が待っていたかの『様』に、その『右腕』を『上げた』のだった。
「はいーー『到着』と。」
夕暮れも過ぎ、外は既に暗く為り始めた。『ハナ』王国、『王宮』の『庭』にて。
「陸兄ちゃんてば。急に『飛ばない』でね。見て、『真琴』ちゃん『理桜』ちゃん、固まっちゃってる。…………ねえ? 大丈夫だった? ふたりとも?」
華月 悠太は、足に『真琴』を貼り付かせ、片手に『理桜』、片手に『夏文』を抱えていた。
佐木 夏文が『あ~だ』と言ったのだった。悠太が『そうだね』と返したが、両親は『何が?』と思ったのだった。
解らないが、目の前に『見事』な『桜』が咲いていた事はーー分かった。
多々の疑問はさておき、それはとても美しかった。
「夏文~良かったね。『秋』に『桜』が『観れる』なんてね。ね~」
母の言葉に、夏文はきゃっきゃっと悦んだのだった。
ペルウィアナは驚きは通り越したが、シャーリン、嫌『イチゴ』の横で、『美しい』ーー
「『あれ』はーーなに? シャーリンさん………………桃じゃない……………よ?」
薄紅色のーーーーー
「『桜』というんだ。『美しい』だろう。『グロメラタ』は、『あれ』を探してるのだが、『此処』に『在る』と『知らない』らしいんだ。困ったね。」
ウィアの『疑問』は、未だ減らなかった。シャーリンの『後ろ』で、薄い『桃色』のちいさな『もの』達がーー風に舞った。暗く成り掛けた空に、とても美しい色が散った。
橙色と深い暗い蒼色の狭間の『緋色』の幻想だった。『花弁』だと知ったのは、後からだった。兎に角美しかった。その時、ペルウィアナは自分の『身体』に『異変』を感じたのだった。
はじめは只の『違和感』だったのだが。




