四十一『王子様は登場する。』
「『騒ぎ』って『おまえら』か……………何やってるんだよ。」
『レザード・ガイサース』は、呆れた『声』を出し、其処に立った。当人は『王子』と呼ばれる事を『否定』し、『拒む』が、一応『彼』は紛う事無き、『ガイサース国』、『第三』王子で『間違い』ない。無論『影武者』もいないし、『偽物』も『いない』。
シラン青年の『誤解』、『勘違い』である。『此の物語』は、彼の『それ』から『始まった』のだ。見付かる『訳』が無いのだ。『初め』から、『いない』のだから。
だが『彼』は『未だ』『疑って』在る。然し、
「『ガイっ』、お前!『やっぱり』『王子』だったじゃないか!何が『違う』だ!散々『嘘』吐きやがって! 裏切り者め! 『皇女』様と『幼なじみ』だと!? なんて『羨ましい』事実を隠すんだ! お前は! って、はっ! 『皇女』様!?」
ナルフィート・ヴァスはそう言って、レザードに『煩い』と一蹴された。レザード・ガイサースは、妻『ラミラルル』と、時間つぶしに『散歩』、街を『探索』中だった。
『騎士』が呼びに来る迄は。
レザードは言った。
「『ヴァス』は『貴族』様とは『思えぬ』口調『振り』だな。どうした?『里帰り』か?」
ナルフィート・ヴァスは、『家出中』の、貴族の四男坊であった。彼も又とぼけている。
「『何の事』だ? ーー『ガイス』。」と。
シランは又目を剥き、『ヴァス』を見た。『貴族』だと?と。どいつもこいつも『嘘吐きだな』と思ったのだった。『やってられるか』と。
「もういい!」と、彼は叫んだ。そして『ウィア』を睨み付けた。ウィアは脅えた。びくりと身体を震わせた。
「『ウィアナ』、『ペルウィアナ』、聞け!『こいつら』、『偽物』だ! 間違うな! 俺と『一緒』に『来れば』いいんだ! もう『過去』の事なんて『いいんだ』よ。もう『さがさ』ないっ。もう『どうでも』いい! ペルウィアナが来てくれれば『それで』いいっ。一緒に『いこう』『世界』は『広い』ぞ! 見にいこう! な?」
シランは精一杯叫んだ。ウィアは脅えた。そしてやっと言えた。
『何』が『偽物』なの?と。しきりにシランが『偽物』と訴える。ウィアは解らなかった。
間に『入った』のは、『直夏』だった。
「『落ち着け』よ。」ーー言った直夏は、拾った『剣』を、『シラン』の『目前』に『差し出し』た。自分の『剣』が、『自分』を『写』す。シランは『はっ』として、怯んだ。
直夏は鋭い視線をシランに向けたまま、動かなかった。シランは更に怯んだ。
「『名探偵』が『解決』するって『言ってる』だろ。話してみろよ。」
佐木 直夏は、そう言ったのだ。因みに夏文は直夏の『腕の中』だ。父と『一緒』に、シランを『見据え』たーーのだった。シャーリンは直夏を『器用』だなーーと見たのだった。
後ろでレザードが『直夏は器用だな、ラミル』と言った。ラミル姫は『そうね』と返した。
「直、『危ない』から、夏は悠太にでも『預けて』から『やれ』な。」
と、娘を抱えた『名探偵』に、忠告された。友理奈は呆れて見ていたのだった。
「『少年』、『相談』しちゃう?うちの『お兄ちゃん』優秀よ。『解決』出来ない『事件』は無いからね。『子供』は『甘え』ちゃいなさい。ね?」
佐木 友理奈は、『少年』シランへーーそう言った。友理奈から見れば、シランは『未だ』『少年』の『域』だった。海や悠緋達と、変わらぬ目線で『見て』いたのだった。
シャーリン、『イチゴ』は『レザード』へと言った。
『場所を借りたい』と。元よりそのつもりだったのだ。イチゴは『ペルウィアナ』に『全て』話そうと思っていた。
レザードは頷いた。
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「大体解った。つまり君は『シャーリン』と『レザード』を『偽物』だと思ってるのね。」
華月 陸は、ガイサース国『王宮』の一室の中で、そう言った。シランは連れて来られ、経緯を話したのだった。
『親』から『言われた』事。
『親』が、いなくなった事。
旅立ち捜し始めた事。
『自分』の正体を知りたいーー事。
ペルウィアナと『出会った』事。
もう『過去』は『要らない』ーーと思った事。
だから、『レザード』達を、『追求』しなかった事。
『ハナ』の『王宮』で『聴いた』事。そして『観た』事。
全て話した。もう半ば『やけくそ』だった。多分、嫌『確実』に、罪に問われる事。
『王宮』に忍び込んだのだーー囚われるだろう。彼はもう罪人だ。そう思った。
「『イチゴ』、『レザード』、ーーだらしないなあ……………。気付かなかった訳? 『幸せ』惚けなの? 『二人』揃ってて。鈍ってんじゃないの? ……………、鈍ってるな。」
意外にも『陸』の『咎め』は、『そちら』だった。シランは不思議に思った。
「今、『イチゴ』と?」
シランは陸にそう聞いた。イチゴ・シャリンバイは『待った』を掛けた。
「ちょっと『待って』。えっと、ペルウィアナ、『先』に良いかな?」
シャーリンは焦った。未だ『話して』いないのだ。ペルウィアナは『彼』を『見』た。真っ直ぐな瞳だった。イチゴ・シャリンバイは安心した。『いつもの』ペルウィアナの『瞳』のままだと。
ウィアはちいさく『何?』と問い掛けた。
「あ~えっとね。僕の名前なんだけどね。『イチゴ』なのに、『どうして』『シャーリン』なんだって聞いたよね?」
ペルウィアナは頷いた。イチゴ・シャリンバイは続けた。
「『僕』の『名』は、………………『イチゴ』・『シャリンバイ』と言うんだ。…………。『シャリンバイ』から『取って』、『シャーリン』なんだよ。黙っててごめんね。驚かせたくなかっただけなんだ………………、本当にごめんね? ペルウィアナ。グロメラタが戻ってから、話そうかと思っていてね。その方があまり『驚かせない』だろうと思ったから…………。言い訳かな。」
ウィアに余り『驚いた』様子はなかった。シャーリンは『ん?』と感じた。
「えっと、……………うん。呼び方は今までと一緒でいいの?『シャーリン』さん。」
ウィアは『冷静に』そう言った。シャーリンはかえってしどろもどろに為った。『あれ?』と。
ラミラルルは其処で笑った。ふふふと。
「『イチゴ』様、ペルウィアナさんが『冷静』なので、『動揺』為されてしまいましたわね。いつもと『逆』ですわね。ねえ、レザード。イチゴ様でも『あのように』動揺為されるのですね。ふふ。『イチゴ』様を『翻弄』される方々は、『御姉様方』や『王妃様』だけだとばかり…………違いましたのね。私がお話『させて』いただいても、イチゴ様は笑って『おかわし』に為られるのに。ペルウィアナさん、凄いですね。イチゴ様を『慌て』させるなんて。ね、レザード?」
ラミラルルの言葉には、ペルウィアナは『動揺』したのだった。半分、いいや、『大半』の意味が理解らずに。不思議な『言葉』が『沢山』出て来たーー気がーーする。
そう思った。
つまり、
「イチゴ・シャリンバイってのは『王族』の『名』だ。『騙る』なよ、『偽物』。」
シランは吐き捨てた。然し気付いて欲しいーー『真実』に。
シラー・ペルウィアナは『信じられない』瞳で、イチゴではなく『シラン』を見た。
『何を言っている』ーーのだろうーーと。
その時『部屋』に、『ちいさな』『子供』がーー入って来た。優しい色合いの柔らかい金の髪の子供だった。同じ髪色の『美青年』と共に来た。後ろにはもう一人、明るい金髪の美しい『騎士』が居た。勿論男性だ。
子供は『叔父上』と言った。そして
「咲きそうです!『お花見』に共に出掛けましょう!」と。
「『ユシ』、先に向かって『良い』ぞ。私達は『用件』を『済ませたら』ゆく。」
レザード『叔父上』がそう言った。
「まあ『王太子』様、お邪魔しておりますね。」
ラミル『姫』は、『王太子』ユシ『王子』へと、話し掛けた。
「ここは『もう』『皇女』さまにも、『お城』ですよ? 御挨拶が違いますよ皇女さま。もう僕の『家族』です。おかえりなさいませ、ラミル様。皇女さまは『ただいま』ですよ? ね? お父様? カビダード叔父上さま? そうですよね?」
ユシ王子は元気にそう言った。イチゴに気付く。そして『花の様に』笑った。
「『イチゴ』さま! いらしてたのですか! 『サクラ』を見にゆきましょう。ぼく、『あちら』で『イチゴ』様にお会い出来るのを『楽しみに』してたのです! また『剣』の『御指導』をしてください! 叔父上達は『ひどい』のです。『僕』に『手加減』ばかりします!」
「やあ『ユシ』王子、こんにちーーいや、『こんばんは』だな。もう。ああ……『咲いた』のか……………ラタは『又』…………間に合わないのか。」
イチゴ・シャリンバイは『溜息』を吐いた。
此の狭き『部屋』の中で、恐らく『一番』『混乱』していたのは、『シラン』であろう。
名探偵は『王子』の『登場』より『前』に、唐に謎は解き明かした。誰にも言わずに。
『どの』王子かはーー語らないでおこうーーと。
シリアスのシーンの横で、舞台を観る様に、テーブルに用意された茶と菓子を摘みながら、直夏は紺と共に『ナフィート』と『ダーナス』に、『もて』指導をーーしていた。主に『紺』がーーだが。友理奈は呆れたが、横で共に『茶』を嗜んでいた。その横に、ラミル姫と、レザード。
部屋に来た『王』アレフゥロードが、呆れて問い掛けた。『なにしてるの?』と。友理奈は笑って誤魔化した。次兄カビダードは固まっていた。はしゃぐ甥とは対象的に。
陸は『勿論』聴こえない『振り』をーー貫いた。
お気付きだと思うが、アーバリーアンだかデバイジュだかは、『友理奈』の『天敵』なので、『此処』には、いない。お帰り願った。『無関係』なので当然だが。
ちいさな『王子さま』が、『友理奈』嬢へと、語り掛けた。『そうだ』ーーと。
「『友理奈』さま、『門』の『外』で『冒険者』と思われる『男達』が、騒いでいたーーそうです。『きれいで』『かわいい』『おねえさん』を、『出せ』と。『色っぽい』から『すぐわかる』と。……………友理奈さまの『事』ですか? 騎士達が『言って』いたのですが…………」と。
佐木 友理奈はにっこりと『王太子』にほほ笑んだ。『違いますね』と。王太子殿は、『そうですか……』と応えたのだった。少し頬を赤らめたのだった。ーー友理奈の笑顔に。
王太子が『可愛い』ので、忘れる処で在る。『佐木 友理奈』、彼女は『冒険者』が嫌いでーーある。
理由なら『在る』。
「『王太子』様。私、『汚れたお洋服』を『洗わないで』『着れる』『冒険者』の『おにいさん達』に、『知り合い』は、い・ま・せ・ん。」
『洗濯』って大事ですよねーーと、友理奈は『前』を、『睨ん』だ。
「『清潔』なお洋服の『王子様』の事は、『勿論』『好き』ですよ。」
ね、『ペルウィアナ』ちゃん、『ラミラルル』さん。佐木 友理奈はそう言って、又、ほほ笑んだのだった。




