三十八『シラー・ペルウィアナと初恋』
ウィアは話し始めた。未だガイサース国に入る前の峠の途中で。美しい景色に気持ちが吊られたのかもしれないーー
シャーリン、『イチゴ』に話し掛けた。彼が『本名』を教えてくれた後だった。
あのねとウィアは言った。
「『スグナ』さんて人の事、覚えてる?」
ウィアの言葉にイチゴは意外にも直ぐに答えた。『覚えているよ』と。
「うん、勿論。彼が何?」
シャーリンが言う。ウィアは躊躇ってから、答えた。うん、と、言ってから。
「多分ーー私ーーちょっと『好き』だったんだーーあの『剣士』さんを。雰囲気がね……………凛としててね……………………話し…………………してないのに、…………………可笑しいよね。」
ウィアの素直な言葉だった。イチゴは『そんな事はないよ』と答えた。ウィアは落ち込みながらもイチゴを見た。
やはり優しい笑顔だった。ウィアは少し、ほっとした。情けない気持ちが和らいだ。ウィアはやはりシャーリン、イチゴの事を『温かく』感じた。そしてイチゴも自分の事を『そう』感じたーーと言っていた。ウィアには何だかその言葉が凄く嬉しかった。
イチゴは優しい声をしていると、ウィアはこの時気が付いた。気分の落ち着く声だった。
「直夏は、確かに『凛』として格好良かったな。レザードもべた惚れーー違うな、『べた褒め』だなーー。聞かれたら『怒られる』ところだな、危なかった。」
イチゴがそう言った。『仲良しだね』とウィアは答えた。イチゴは不意に聞いてみた。
普通、『王子』と知り合いだと『知れた』ら、「『警戒』しないのか?」と。
ウィアは何故だろうと思った。イチゴは説明してくれた。
「レザードはあれで『一応』王族だぞ? 『警戒』しない? 『不敬』罪とか言われたら、怖いだろ?」
ウィアには良く理解らなかった。イチゴは教えた。国によっては王族に失礼な発言をしたり、行為をしたりは、『罪』になるのだーーと。ウィアにはそれすら『おとぎ話』だった。
イチゴは『成る程』と思った。そしてペルウィアナに言ってみた。『ねえペルウィアナーー』と。
可愛い顔が此方を見た。真剣な眼差しだ。イチゴは此の『瞳』は『好き』だなと感じた。くすりと笑い話を続けた。ウィアは聞いている。
「おとぎ話って、『何』だか『知って』る?」と、彼は言った。ウィアは答えた。
イチゴは違う『御伽話』の話を『教え』た。聞いたウィアが赤面したので、イチゴ・シャリンバイは大笑いした。イチゴが話したのは、『御伽』というより『夜伽』の話だった。
ウィアが怒ったので、一応イチゴは謝った。
「『街』についたら、お詫びする。何か美味しいものを御馳走するよ。」
だから許してとイチゴが言うので、ペルウィアナはわかったと答えた。『今回は許す』と。未だ赤かったが。
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「シャーリンさんは、『雪』って見た事ある?」
街についたウィアナは、不意に彼にそう聞いた。唐突だったので流石にシャーリンも『雪?』と返した。実は『美味しい』と言って『冷たい白いお菓子』を御馳走してもらう事になり、露店の前でウィアがそう聞いたのだ。『白く』て『冷たい』で彼女は思い出して。
シャーリンに話した。シャーリンは成る程と言った。
「多分それ、『雪』じゃないよ」と。ウィアは勿論「は?」と返したのだった。
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「『おいひい』。む、『つめたっ』ふむん、冷たいよ?『これ』はっふ。」
ウィアは『クールクリーム』を頬張った。そしてイチゴは抑え切れず笑った。ついには『あはは』と、躊躇わずに。空を仰いで。楽しそうだった。
ウィアは勿論『なんで笑うの』と抗議したが。
イチゴは涙を拭きながら『ごめん』と答えた。『君は「楽しい」な』と。
嬉しそうに。ーーウィアナは、怒れなくなった。ーーーーーーーー
「『雪』の『話』は?」
不満顔のペルウィアナは言った。涙を治めたイチゴは答えた。その前にと。
「騎士の詰所にいこう。それ食べたらね。『知り合い』捜すんだろう?」
ペルウィアナはうんーーと答えた。『盗賊』襲撃は、ウィアナが『攫われた』後に、直ぐ収束されたと知れた。騎士が教えてくれた。然し、ペルウィアナは逸れたシランを探していた。彼の『旅』にはつきあえない事を、伝える為に。怪我人は盗賊達だけだったと、騎士が言っていたので、シランはペルウィアナを諦めて既に『旅立った』かもしれないが、イチゴに相談すると、
『行くだけ行って、確認してみよう』と言われた。会えれば御の字だと。
上手くその場に居たと思われる『レザード』と再会出来れば、何か手掛かりを知っている可能性もあるから、『観光』な位で、行ってみようとイチゴが言ったのだ。
実はレザード達には、自分やペルウィアナが『何処に』在たかは『知れて』いるのだが、今は未だイチゴはペルウィアナには、言えなかった。彼にも『都合』はある。
何よりイチゴは『シラン』の事ーー彼がどうしたかはーー知らなかった。
ペルウィアナの彼を『心配する気持ち』も、勿論無視出来なかった。勝手に『大丈夫だ心配要らない』と無責任な事は言えなかった。恐らく『大丈夫』で在ろうーーとは、思ってはいたが。
急ぐ気持ちは勿論在ったが、峠越えで疲れのあるペルウィアナに、先ずは軽い『休息』を取らせたかった。ウィアは横で白い『クールクリーム』を頬張る。段々食べ『慣れ』た様子だった。
癒されたイチゴは問い掛けた。「どう?美味しい?」と。
「あれ?『ジュース』の女の子だよね?」
その時、その声は聴こえて来た。
イチゴは見た。声の主の方を。そして思った。『詰所に行くのは中止だな』と。




