三十五『来客。』
紺は呆れた様に、ウィアに言った。『僕等は似てる』ーーと。
言われたウィアは呆けた。
扉が叩かれたのは、その時で。
「お客さん……………?」
ウィアが怪訝そうにしたので、紺は扉へと向かった。そして開けた。
「む、紺殿、『帰れる』か?」
扉の前に居たのは、ちいさな『生き物』だった。
「『ヴィザード』、迎えに来たの?? 卓兄ちゃんは?」
小さな『生き物』に、紺は聞いた。『ゴッド・ヴィザード(w)』と、華月 卓が洒落で名付けたーーらしいーーそれは『新しい』眷属の名で。ーーそれは『小さく為った』巨大竜の姿ーーであった。実に可愛い大きさだ。
横には『陸』が『仲間』にした『ラビット』が、いた。ラビットーーつまりうさぎと『竜』は、同じ大きさーーだった。
後ろから表れたウィアナが、「………………………………なに………………これ…………………………」と、
言ったのだった。俗に言う『ペット』であろうーーが。
華月一家ーーには。眷属と呼んで愛玩動物ーー所謂ペットだが、事実はただの『家族』である。波長が合えば『何でも』飼う。
巨大竜も今回『存在』が知れたので、『白神』に託された。保護したのである。
卓に依って『小型化』されたーー故に、卓の配下に為った。勿論『望んで』だ。
巨大竜は、行く気満々であった。
「紺殿、用事は済んだな? さあ、早く『帰ろう』 『ケーキ』が楽しみ過ぎるのだ! あと、『カレーライス』に『ハンバーガー』、『寿司』に、『フランス料理』!コースで食べるぞ!さあ!帰ろう! なあ?『ラグラ』。お前もだろう?」
ちび竜は白うさぎに聞いたのだ。ウィアが『……ラグラ?』と呟いた。
うさぎの名だ。『ラ・グラス』という植物がある。『うさぎ』の『しっぽ』という意味だ。
陸について来てしまった『うさぎ』を見て、父『陽藍』がつけた。『しっぽ』とつぶやいて、
『ラグラ』にするか、名前。なあ?ーーと。ラグラスの話をうさぎにした。気に入ったらしいーーそして決まった。その草の名は別名でラグルスとも呼ばれるなーーと陸が言った。
うさぎーーラビットさんはそれが気に入ったらしい。と、紺は思い出していた。
『仲間』が増えたなーーと。
「こんにちは!『ラグラ』です!はじめまして!」と、
うさぎーーラビットーー『ラ・グラス』さんーーは元気良く、言った。
うさぎが『しゃべった』ので、ウィアは又めまいと共に立ち眩んだ。
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「おい娘、大丈夫か?」
ちび竜が言った。
ウィアは答えなかった。
❅ ❅ ❅
ひとりになった、ウィアは、溜息を吐いた。ーーつかれたーーと。
紺達はーー帰った。オレガノ達の詳細を伝えて。オレガノ達は、魔法使いの処にーーいる。
それを伝えに来たーー
元気らしい。
そして、急に『修行』を始めた事を、『改めて』ウィアナに『直接』言いたく、『戻って』来たーーらしい。だが、ウィアが、居なかった。
だから会えなかった。彼等は『時間切れ』で、戻ったのだ。『修行』に。今度は『終わる』まで、『戻らない』ーーそうだ。だから『会いたかった』と。
勝手だと思った。
「なんでーー『私』だけ、………………………………仲間はずれ?」
どうして……………………………………………………………他の言葉は見つからなかった。
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『フェアリー・ヴァース』為る者は、『雪』と共にーー『来る』ーー
昔聞いた『言葉』だーー
「……『嘘』じゃん……」
ウィアは、ぽつりとそう言った。
❅ ❅ ❅
『見たかった』のにーーと。
そして又『扉』が叩かれたーー
ウィアは虚ろな瞳のまま、『そちら』をーー見た。空耳だと思った。ーーーーーーーーー
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シランは歩いていたーーウィアナと『逸れた』からだ。気持ちばかり焦り何の『当て』もなかった。そして後悔した。ペルウィアナを『巻き込んだ』ーー事を。
彼は自分が寂しかったのだと、気付いた。ウィアナの『お陰』で。
ペルウィアナを連れて行った『男』は、盗賊達の本物の『仲間』ではなかった。『臨時』の『助っ人』だった。なので『情報』がーー無い。
「絶対たすけてやるーー」シランは唇を噛み締めた。
ウィアナを連れて出た、『峠』越えは、彼の生きた中で一番心が軽かった。今は重いーー
つらい筈の峠越えは、思いの外 順調で、予想より大幅に早く峰を越えた。2~3日で着けば早いかと思ったそれは、約1日で済んだのだーー奇跡かと思った。
シランは後から気付いた。『ウィアナの連れた妖精』の『効果』だろうーーと。
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「『峠』を『均した』のか、『レザード』。」
イチゴ・シャリンバイが言った。レザード・ガイサースは『ああ……』と答えた。
「『トンネル』ではなく、『峰』を越えてーーだな。『ラミラ』にーーあの『場所』からの『景色』ーーを、観て欲しくてなーー」
と。イチゴが返した。
「それで『皇女』様が、越せる『様』に、『峰』を、均したーーのか。以前より楽に『越せる』訳だな。それでも『トンネル』の方が『人気』なんだろう?」
イチゴは笑ったのだった。肩をすかした友は言った。
「未だ『認知』されてないんだーー」よと。
笑ったイチゴは、或る事を思い描いた様だ。ーーーーー
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「やあ、こんばんはペルウィアナさん。悪いけど『泊めてくれる』かな?」
扉を開けたペルウィアナに、『来客』は言った。優しく微笑みながら。
「もう『夕暮れ』ーーだね。来るのが少し遅くなってしまってさ。突然でごめんね。入ってもいいかな? あ、『お土産』持って来たよ。」
ウィアは、茫然と『………、お土産…………?』とオウムの様に返したのだった。ーーーーーーー
その微笑みに。




