三十四『いじめられっこのはなし』
「おはよう、起きたね。」
変な動物、つまり紺が、そう言った。ペルウィアナは周囲を見渡した。
「……………ここって………………うち?」
そう言いながら。自宅に戻っていた。
「お、『お嬢ちゃん』起きたか。」
何故なのかミモザがいたーーウィアはなんでだろうーーとそう思った。強いて言うならば、紺もだ。ふたりは何故居るのだろうーーと。ウィアは思ったのだ。
「あのさ」と、紺が言った。ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「随分『無謀』な事を、『やらかした』もんだよね。陸兄ちゃんも言ってた。君、馬鹿なの? 因みにね。 僕は『過去』に『失敗』してさ、『青』兄ちゃんに、『狐』二回書いて『馬鹿』って読ませてやるって、言われた事あるよ。まあ、『そのお陰』で救かったけどね。」
その台詞に『なんだそりゃ』と言ったのは、ミモザだった。それから、
「じゃ、俺はいくな。」
と、彼は言った。紺がああ、うんーーじゃあね等と、返していた。ウィアを見たミモザは、じゃあなお嬢ちゃんーーと、又言って、軽い調子で家から出て行ったのだった。
ウィアには又何が起きたのか、わからなかった。しばらくは閉まった扉を見ていた。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「挨拶くらい、しなよ。もう『いっちゃった』よ、あのひと。」
紺が言った。ウィアは未だ理解らなかった。ミモザの旅立ちの事を。気を失ったウィアを心配して、出立を待ってくれていた彼の事を。ーーーーーーーーーーーーーーーー
ウィアはお腹が減った。なので何も無い中から、粉やら何やら持ち出して、水で溶いて混ぜて鉄鍋で丸く焼いて食べた。作り置きの、果実煮をかけて。紺はそれを見ていた。
食卓につき、食事に挨拶をしてから食べ始めた。向かいに座った紺も、食べ出した。
食べ終えた紺が言うまで、ふたりは無言だった。
「『ごちそうさま』でした。おいしかった。あっさりしてたけど。お皿僕洗おうか。あと、話があるんだけど。」と。
そして紺は話し始めた。
「君のね、幼馴染さん達についてーーだよ」と。
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「ガノ兄ーーオレガノ達の事?」
ウィアは紺に聞いた。紺は頷いた。
紺が言うには、彼等から『伝言』を頼まれたーーのだと。
「修行に未だ『時間』掛かるから、又『行く』前に、君に会いたかったんだってさ。」
直接会って、彼等はウィアに『説明』する『つもり』ーーだった。
ウィアとすれ違ってしまった。無理矢理追い掛ける事は可能だったが、取り決められた『ルール』を違反する可能性がややあり、ウィアとの『再会』は取り止められたーーのだ。
「顔見たらね。みんなーー自分達の『決めた事』への『決心』が鈍りそうって。で、考えて会うのやめたんだって。ーー頑張ってるよ皆。応援してあげなとは言わないけど。でもさ、理解はしてあげなよ。」
ウィアは、無言だった。紺は話した。
「黙るのは勝手だけど、相槌位打ったらどう? 聴こえて『無い』と思われるよ。」
みんなーー自分勝手ーーと、ウィアナはぽつりとそう言った。紺には聴こえた。彼は『獣』だからーーだ。人ならば聴こえなかった事で在ろうと。
紺は、ウィアナに少しだけーー話した。自分が『何』なのかを。
× × ×
あのさーーと。
昔さ、『いじめられっこ』がーー居たんだ。
「蹴っ飛ばされて、弱って、」
そして死んでしまったーー紺はそんな『キツネ』だった。『ブルー・レザー・フォックス』という『品種』らしいーー紺にはどうでも良かった。紺は紺に成る前、『ソレ』だった頃、ひとりだった。家族のいない『子狐』で、餌を探して歩いていた。こそこそと。
然し、『人』に見付かり、蹴られた。相手は集団ーー敵意と悪意が有ったーー逃げ切れなかった。子狐は、致命傷を負い、瀕死だった。そこに、『その星』の『星神』が、通りかかり、紺を見付けた。
そしてたすけた。
救われた紺は、『名前』を貰った。その名のもとに、『神』の仲間入りをしたーー弟子に『成った』のだ。彼の。
紺に『家族』が出来た。神は弟子を『弟』と呼んだ。そして修行に励んだ。
沢山の時が過ぎた頃に、紺は、一人前になった。『神』に『なった』のだ。認められて。
ちいさな星の、『運営』を任された。そして又頑張った。
質の悪い『野良神』達に、負けるまでは。又重傷を負った紺は、『ルール違反』をしたーー
「それで『神様』解雇になった。」
と、紺は説明した。
× − × − ×
「ーーーーで、『今』は、最初の『お兄ちゃん』の元を、離れて、『修行』してる。君の『幼馴染』君達も一緒だよ。 僕のが先輩だけどね。」
紺という『名』は、
「今の『お父さん』が、つけてくれた。はじめは、僕を『拾った』飼い主の『なつの』が『コン』て名前つけてくれたから、それを『お父さん』が『漢字』にーーしてくれた。それで僕の事も『子供』に、してくれた。ーー」
紺は言葉を、時々細かく切りながら、そう語った。
ウィアにわかる早さで、ゆっくりと。
「『仮』の『家族』だけどね」ーー紺が言った。
ウィアはぼそっと『仮?』ーーと聞いた。
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紺が『うん』と言う。そして答えた。
『本当』の『家族』が、「『見付かる』までーーだよ」と。
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「本当の家族?」
「『番い』を、見付けてなるやつ。僕は難しいんだよ。『人』で『狐』で『狸』だから。」
ウィアには紺の『話』は、早過ぎた様で、未だ良く理解らなかった。ーーーーーーーーーーーーーーーー
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