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三十ニ『シャーリンが出会った少女。』

 イチゴ・シャリンバイは、或る日旅先で少女と出会う。少女は肩に精霊を載せていた。精霊は現世では伝承でしかなく、イチゴ・シャリンバイ事シャーリンも初めて見たモノだった。



 少女は当たり前の様に、精霊に触れていた。シャーリンはその時まで、精霊とは『触れれる』モノだと思っていなかったのだ。正に、目からウロコとは、此の事であろうーーと。



 此のペルウィアナと言う名の少女を見てーー思った。




 二度目の出会い、謂わば再会は、実に『意外』な、場所にてーーで在った。意外にという他無いだろうーー海を越えたのだから。そうーー越えれる筈無きーー海をだ。




 或る意味貴重な体験で在ったろうーーが、二度とは御免だった。命が足りなさ過ぎるーー




 へたれで良いーー生きたい。未だ死ぬ気は無いのだ。彼、イチゴ・シャリンバイには。




 正直な事を言えば、彼は出来れば此の『少女』ーーと、関わりたくーー無い。





 それが本音だった。




 そして今、彼は何故なのかーー『王宮』にーー居たのだった。正直に言うーー





 シャーリンは、此の場から、逃げ出したかった。




 ❅  ❅  ❅



 ペルウィアナは『慣れない場所』に今居る事よりも、隣の男の『顔色』がーー気になった。



 ❅  ❅  ❅


 「具合悪いの?」


 ペルウィアナはシャーリンにそう聞いた。一応彼女は、『薬』を持っていたのであった。故にだ。最も先程『りゅう』と言う人が、巨大竜ドラゴンをいとも容易く『回復』させていたーーあれは多分『人間』にも『使える』だろうーーから、ウィアナの薬は『今は』必要ないかとも思ったのだが。



 聞かれたシャーリンは意外そうな顔をした。ウィアにはそれが意外だった。自分は変な事を言ったろうかーーと。


 「へ?シャーリンの『旦那』、具合悪いの?」


 応えたのは、ミモザだった。シャーリンは面食らったままだった。ウィアは聞き直した。


 「………………お腹空いてる方だった…………?」と。



 シャーリンはますます固まったまま動かなくなったが、ミモザの方は一瞬の硬直の後に呆れたのだった。『なんでその2択だ?』と。



 『魔法使い』と、『王族』がーー来たのは、その時だ。



 ❅  ❅  ❅



 「お父さんーー」



 『りく』という男の人がーーそう言った。魔法使いーーいや、フェアリー・ヴァースの事を。



 そう言えば前に、そう呼ばない様に頼まれた事を、ウィアは思い出した。



 ウィアはようやく今自分が『いる』場所が『場違い』なのだという考えに、行き当たっていた。



 ❅  ❅  ❅



 「かっ、帰る。ーー帰りますーーわたしーーなんで『こんなトコ』に、居るの?」


 ペルウィアナは、そう言ったのだった。




 ❅  ❅  ❅  ーーーーーーー




 それに応えたのは、陸だった。



 「なんで?君、『馬鹿』なの? 『僕』が『救けた』から、居るんだよ、此処にね。『あの世』って場所に行きたかった? ーー在るのか『知らない』けどね。今からでもくーーならえるよ。 大体さ。『こんな』場所って失礼・・だよな。  此処は人様・・の『邸宅』なんだよ?  君は人から自分の家を、『こんな』と表現されたらーー気分良くる訳? ーーそれは変わってるね。  僕ならーー良い気分にはらないね。 『そんな』言われ方はさ。 あのさ、『言葉のあや』ーーとは、言わせないよ。」



 陸の言い方は冷たかった。




 陸の生徒・・達は、執り成したが、陸はそれきり何も言わなかった。




 言い返せないペルウィアナは、ーー様々な感情が昂ぶりそして混ざり合い言葉が出ぬままに、そしてついに、声をあげてーー泣き出した。



 ❅  ❅  ❅




 泣く彼女の興味が、其処に逸れたーーのは、懐かしい様な『違和感』からだった。



 気付くとやや大きな手が、彼女の頭を撫でていた。




 ❅  ❅  ❅   ×  ×  ×



 「陸ーーもう『少し』優しい言い方な。未だ『子供』なんだ。わかってるーーだろ。」


 華月 陽藍は、息子『陸』へとそう言った。息子は溜息で返した。今ペルウィアナは此の部屋には居なかった。散々に泣き、そして疲れ、眠りにつき、別の部屋へと運ばれた。



 華月 陽藍は『此処』に、事態『収束』の『報告』に来たのだ。ついでに『用事』は、在ったが。未だ『時期』では無かったーーらしい。少し早かった。



 陽藍は『花見』に来たのだ。意外と言うなかれ。此の『国』に『花』を『植えた』のが、陽藍なのだ。もう、大分前おおむかしの事なのだが。



 此処は、星神白神が『在た』土地だーー故に、酷い被害を受けた『土地』だった。陽藍が根気良く『再生』ーー回復させた場所でも在った。森が多いのもその為で、花や、果実の樹を植えたのも、野菜や果物を実験的・・・に植えたのも陽藍だ。『過去』ので在るが。



 ハナ王国の『先祖』は、故に陽藍フェアリーヴァースと縁深いのだが、白神が『此の土地』を壊して『直ぐ』に、陽藍が再生した訳では無い。大分時が経ち、白神を『忘れた』頃に又ーー彼は、此の『土地』にんでてーーしまった事は、只の偶然だった。



 荒れた岩だらけの土地が広大だったので、単に『勿体無い……』と言って、土地に手を加えたのだ。その後定期的に『来て』、時間を『掛け』再生・・させた。ーーもう随分昔の話で在るーー彼は最近ーー『一年いちねん程前』迄、大昔『白神』に出遇った星と、定期的に通う『此処』とが、同一どういつの星だと気付いていなかったというーー



 たまに『放置』星ーー為るものがーー存在する。神が出掛けたまま永く帰らない星だ。『不在』『留守中』という事だ。



 ハナ国に、『初めて』来たーー陽藍は、星の『神』に、アクセスを試みたが、応答がなかった。故に『其れ』だと彼は思ったのだった。



 白神は留守では無く、彼の強さに恐れを為し、応答出来なかったのだが。



 情けないとは言ってやらないで欲しい。気付いている故にだ。




 シャーリンは陸の様子を見るでもなくーー己の手をただ見つめていた。ペルウィアナという少女にーーつい、構ってしまうーーその手を。




 泣いたのを見て思わず動いたーーその手を。関わらない方が、良いーー此の手を。





 見ても何も変わらないのに。




 ❅   ❅   ❅

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