二十九『やらかしやがった。』
此処は『ガイサース国』、『王都』ーー等と、優雅に語っている場合ではなかった。
盗賊もどきが、収集ついた頃に、それは起きた。『空』にだ。
「ーーやりやがった『彼奴等』ーー」
普段丁寧な言葉使いの華月 陸は、呆れてそう言った。慣れていなかった者達は、ぎくりとしたのだった。陸の表情が、恐かったのだ。
陸の足元で理桜が言った。真琴も一緒にだ。
「りゅ~ちゃ!」 「たつきちゃ、ぱぱ~たつきちゃ、だめ~りゅ~きちゃも。」
陸が笑顔で『そうだね』と言ったのだった。空に『竜葵』と、『龍輝』が、『在た』。
「あれは『お仕置き』が『要る』よね。」と、華月 陸は、空へと言った。
喧嘩をする、『葵色のドラゴン』と、『深翠色の龍』に向かってーー
雷鳴。
二匹の『ドラゴン』は、『落ちた』ーーのだった。
理桜と真琴が、其々、陸の両足の片方ずつに、しがみつきながら、口をあけて、驚いていた。
父に『大丈夫だよ。』ーーと、やさしく、言われながら。フリーズしていた。
太一が寄って来て、一応陸に、聞いたのだった。『あれ、彼奴等ーー』
「『生きてる』よね?」ーーと。陸は平然としていた。
ふっと、笑ってから、子供達に言った。『迎えにいこうか? 一緒に。』と。然し。
「あ、でも、大丈夫そう。『友』と『青』が、行ったみたいだ。親馬鹿だよね。」
陸が再び言うと、涙目だった理桜が聞いた。父を見上げて。「ぱぁ~ぱあ。」と。陸は優しく『うん?』と、言って、ほほ笑んだ。
「大丈夫だよ、理桜。理桜は優しいね。龍輝達に、会いに行く?」
理桜は涙をぐっと堪えて、うっ!っと力強く頷いたのだった。可愛過ぎた。
「お父さん、じゃあ『友理奈』任せた。理桜、おいで。真琴もね。」
子供をふたり、抱えた陸は、父の了承を得て、『飛んだ』のだった。
『あ、ついでに「あれ」等も「回収」して来るー』
陸の声は、『関係者』だけの『中』に、『響いた』のだった。
佐木 大和が、華月 陽藍へと言った。『……おじさん……』と。
「なんかーー『ごめん』ね。疲れてるでしょ。帰ろっか。」
陽藍はほほ笑んで答えた。
「嫌々、『大和』君。残念ながら、『未だ』だよ。」と。
『仕事』残ってんだよーーと、彼は言ったのだった。穏和な大和の顔が、やや引き攣ったのだった。
− − −
「おっ、『いた』」 「お~『流石~』」 「はは、ださっ」
順に『友』、『紺』、『青』ーーで在る。
「「うわ~~ん、いたい~~お父さん~~」」
雷に『落とされた』息子『達』は、流石に泣いて居た。友は流石に可哀想に成って、叱れなかった。やはり駄目父で在る。因みにだが、友も紺も青も、『傷を治す』力はーー無い。
誰しも『向き』『不向き』ーーが、在る。友等は、完全『力押し』性質だ。器用な癖に不器用と言うーー『天才』の言葉しか当て嵌まらない様な、『凄い』事は出来ても、『繊細な』事は出来ないタイプだ。つまり出来ないものは出来ないのだ。
青は又違う。『やらない』のだ。『やりたくない』事は、やらないーー質だった。或る意味、『神経質』な『繊細』性質ーーで在ろう。
「そりゃ、いいけどね。で、『お前等』だけで『来て』、後どうする訳?」
その声の主は、彼等の兄だった。華月 龍が、立っていた。人の姿で。
「良かったな、御前等。龍兄なら『優しく』治してくれるぞ。な、悠太。」
横に居たのは、子供を抱いた姿の、三男 陸だった。そしてその横に、六男 悠太が居た。
竜葵と龍輝は増々泣き出したので在った。青と友が、苦笑いした。紺は呆れていた。『何か手伝う?』ーーと言いながら。
陸はふと思って、紺に聞いてみた。『じゃ、狐姿に成れるか?』と。そして言った。
「まあ、………………『狸』の方でも……………別に『良い』けどな。」と。
なあ?真琴、理桜? と、聞くと、友や青が堪え切れずに吹き出し笑い出した。顔を背けて。肩を震わせて。『狐なのにーー狸のコンちゃん。ぶはっ』と。
陸に『吹くな』と、注意されながら。
「勿論成れるけどさ? 何やるの?」
紺は、友青は無視して陸に聞いた。治療して貰ったドラゴン兄弟は、懲りずに『手伝う~?』と聞いて、陸に、
「『半人前』は、もう大人しくしとけ。邪魔だから。理桜、『遊んで』あげなさい。真琴も『面倒』見てあげて。」
と、陸は言ったのだった。流石に友が、『酷っ。』と、言ったのだが、陸に睨まれて終わった。無言で息子達の頭を撫でて誤魔化していた。
恐かった様だ。自分と拮抗する実力の『青』を、軽く平気で『ぼこぼこ』に、するーー実力の陸が、恐く無い訳はーー無いのだ。陸の強さは、『力』より寧ろ、その『計算高さ』ーーなのだから。彼には無駄が無い。
力が『ある』のではーー無い。『力』の『使い方』を、理解り過ぎているのだ。
無駄な力は、一切使わない。『必要な』事ーー『だけ』をする。
クール・ブレーン、冷静沈着な、斬れ味抜群の頭脳ーー明晰過ぎて最早理解不能ーーなのは、多分『友』だけでは無いーー筈だ。と、弟、友は、思ったのだった。
陸は相手を見据える『時』に、『冷めた』熱量ーーを、出すのだ。それが友には、怖かった。
兄が『兄』で、『ない』様で。
「…………友は何……………ぼけっと、してんの? 大丈夫か?おまえ…………仕事大丈夫なのか?」
何故か呆れて陸は言ったのだった。『なんで陸兄、………………呆れてんだよ……………』友は不満に思った。
「ねえ〜陸〜、おれ、一緒に『行く』として、『理桜』達は? どうするの?」
紺が聞いた。友は『ん?』と思う。呆けた間に作戦会議は終わったらしいーー聞いていなかった。
「大丈夫。『紺』は、『ひとりで』行くんだから。」
陸は言った。友は『んん?!』と思った。又陸兄が、『やばい事』言い出したと。
紺が困惑している。龍が言った。
「ん〜俺も行くか。な、紺。」
紺が安心した。が、陸は言った。駄目だよと。
「龍兄『目立つ』から、駄目。あっち『精霊』いるんだってば。気付かれるよ。紺、行けるだろ? おまえ『気配』消すの『上手い』し。後『見た目』『獣』だし。な?」
青が言った。
「…………………『食われ』ちゃわないか? 『狩り』してたぞ………………あの子。でかい『豚』、魔法で『ずどんっ』だぞ? 紺じゃやばくない? な? 紺? 自信無いだろ? やめとけよ。 因果応報で『食われ』ちゃうぞ。嫌、本気でさ。な?」
「……………………、嫌。そっか。いけるかも。」
考え込んでいた次兄 龍が、言ったのだった。陸がにやっと笑い、『ね?』ーーと、言ったのだった。
悠太は陸のその顔を、『………本当…………お父さんそっくりだな………』と、思ったのだった。陸は父と同じ笑顔で笑ったのだ。
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