二十七『濡れ衣だ』
「ーー?! 『ペルウィアナ』!? え?いない?!」
シランは叫んだのだったーー
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「陸さんっ」
佐木 友理奈は、取り敢えず『義兄』を呼んだ。困った時の、兄だより。華月 陸は『何でも』解決するーー華月一家の『名探偵』で在る。内輪しか知らないーーが。
ひと息ついた陸が、疲れたのか、髪を左手で、掻き上げた。その何でも無い仕草にーー、一同釘付けに為っていた。
友理奈は呆れたが。シランもいつの間にか『見惚れて』しまっていた。
『ーーなんだーーあのひとは??』と。言葉が出て来なかった。
「陸さん?」
友理奈がもう一度『聞く』と、陸は『答え』た。『大丈夫じゃない?』と。
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「陸さんーー『大丈夫』とは?」
聞いたのはレザードだった。陸は簡潔に説明した。『心配要らない』って意味だよーーと。
華月 陸には、『見えて』いた様だ。
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「『陸』、こいつ等『何処』に突き出せばいいの?」
何故か太一は陸に聞いた。聞けば良いと言うものでも無い。陸がレザードに促して、レザードがハンス以下『騎士の面々』を、呼んでこさせた。シランは混乱の中で、もう一度ペルウィアナの姿を探すがーー居ない。居る訳が無かったーー
その時又、『その騒ぎ』は、『起きた』。
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「退いてくれ!」
男が駆けて来たーー嫌、正確には『男達』だ。見覚えが『在った』。村の『子供達』だった。
「!!」
『シラン』を『見付けた』『オレガノ』ーー以下『幼馴染ズ』がーー『牙を剥いた』ーー『シラン』へとーー。
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「!!?ーっ、!」
カルセオラリアが、力任せに、シランの『胸倉』を、掴んだ。当然シランは拒む。「離せ!」
何だーーと、騒いだ。一触即発と言った風のところに、声が聴こえて『制止』した。
「やめろ、カルセオ。そいつじゃあ無いよ。」
場違いな声だった。リズミカルで唄う様で、静かに響くーー『印象的』な、その声。
シランは主を知っていた。『魔法使い』だったーー
『陸』と呼ばれた美しい青年が、『彼』を呼んだ。『お父さん』ーーと。
「ーー何してるの? 皆を連れて。帰ったんじゃなかったの?」
陸の声は呆れていた。陽藍はほほ笑んだ。
「カルセオ達、一度『帰らそう』と思ってさ。今後の事も『決める』のに。」
村に戻っていなかった『ペルウィアナ』を、『修行』に出る前に、『捜して』置きたいーーと、『弟子』に、懇願された陽藍は、今『此処』にいた。
『ペルウィアナ』を『追跡』したのだがーー
「拐われた訳ね。『またか』ってとこか。なあ?『友理奈』。」と、彼は言ったのだった。
「おいっ、『離せっ』」
シランは再び言った。カルセオに掴まれたままだったのでだ。一瞬『むっ』としたカルセオラリアだったが、そこは抑えて、従ったのだったーー。
事情を聞いたシランは吐き捨てた。『濡れ衣かよっ』ーーと。苛立った。
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「………………あの…………………」
ペルウィアナは『彼』に聞いてみた。
シャーリンは『ん?』と、返した。
「……………………………『此処』って、『何処』ですかね?」
シラー・ペルウィアナは『見た事』の無い場所に在たのだった。どうやら『此処』は『森』ーーの中な様な事は、『何とか』理解った。
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シャーリンは答えなかった。先ず何から話すかーーと思ったのだった。思案する。『ふ〜む。』と……………………ウィアの不安は増えた。先ず『状況』だが、足下には、『先程』の、『賊』かぶれーーがいた。
寝ている。気絶と言う名で。やったのはウィアだが、当人は『わかって』いない。
溢れ出た『光』に気付いた『シャーリン』は、駆け付け、止めた。『浄化』ーー男を『消して』しまう所だったのだ。一歩遅ければ。
『流石ーー精霊「付き」だよ』ーーシャーリンは苦笑した。必死で『抑えた』ら、正気に『戻って』くれて、ーーたすかった。色々とだ。
「うあの〜………………」
『ペルウィアナ』が、『又』、『可笑しな』声を出した。シャーリンは又笑いそうだった。
『面白い子だなーーシラー・ペルウィアナ。』やはりシャーリンは、くすりとは笑ってしまったのだった。新鮮な気分だった。ウィアナは困った。やはり『勇気』を出して『言う』。
「いつまで『この体制』なの?」と。
シャーリンは『あっ』と思った。
そう。『ウィア』を『抱えた』ままだった。ウィアが照れて真っ赤だった。なので今度は、彼は遠慮出来なかった。大笑いした。『ごめんっ』と。
ウィアは暫くの間、『ずっと』笑われて『待って』在た。
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「はあ?! ウィアは『なんだって』そんな『場所』に?!」
カルセオラリアは、師匠『陽藍』に、そう言った。
「『飛んだ』んだろ。」
答えたのは、師匠『陽藍』の息子『陸』先生だった。
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シャーリンは笑いながら、『ごめん』と何回か言った。幸いなのは、ようやく『離して』くれた事か。ウィアは思った。
『ラタ兄』以外の人に、『抱っこ』されてしまったーーと。
「あ〜もう。久々に笑ったよ。はは」
シャーリンはやっと『落ち着いた』らしく、笑いを収めた。ちょっと涙目だった。
「う、う〜〜ん、……………ん?」
足下の賊が動いたのは、この時だった。覚醒したのか、がばっ!と、起きた。状況を『見渡す』。理解する。ばっ!と、ふたりから、離れた。間合いを取る。シャーリンは『成る程』と、思った。
『ど素人では無いなーー』と。緊迫感が生まれる。が、相手は気付いた。そして呟く。『ここ、どこだーー』と。
「何処だろうね?『気付くと』『僕』も、『此処』に『居た』からね。『分からない』ーーかな?」
シャーリンは答えたのだった。青く為ったのは、ペルウィアナの方だった。
「あ〜『取り引き』しようぜ?悪かったよ。もう『悪さ』にゃ『加担』しないから、『許して』くれ。『小遣い稼ぎ』の『暇潰し』程度だったんだ。な?」
『賊』は言った。シャーリンは応えた。『ーー何が?』と。
「嫌々、『お嬢チャン』に『悪戯』する気なんか『無かった』からな?まあーー側に『在た』『ちょっと色っぽい笑顔可愛い』あの『オネエサン』ーーなら、いざ知らず。あれは『残念』だったーーどうせなら『あっち』攫いたかったーーのは、本音だよ。たく。だろ?………………お嬢ちゃんじゃなあ…………………『盾』代わりにつれて来たが…………………『追手』来ないし、嬢ちゃんは『うるせー』しで……………あんたは『彼氏』か?悪かったな……………………本当。な?見逃してくれ。」
ウィアナは呆気に取られた『後』に、怒りで身体が震え出した。『怖かったのにっ』と。
村から出てしまった軽率さを、もう、十分に後悔していた。泣きそうになりながら。握り締めた手が、痛かった。
「それは『軽率』だったな。『軽い』気持ちで『死ぬとこ』だったんだから。」
シャーリンが言った。男は怪訝な顔をした。
「『此の子』、『君より』『強い』よ。ーー」
シャーリンは確かに『そう』言った。『身に覚え』の無いウィアは、面食らうばかりだった。




