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二十三『王子と影武者の山越。』

 「意味が分からないんだけど。」


 ウィアはシランにそう答えた。『何言ってんの?』と。


 シランはしかめ面をする。溜息を吐く。又顔をしかめる。そして言った。


 「子供ん時の記憶が無いんだよ……それで、一番古い記憶の中の『親』が、俺に言うんだよ……『俺』は『王子』なんだって…………それで……、」


 シランは其処で、一度言葉を切った。


 ウィアは面倒臭い話始まったなと、そう思った。確かにシランは綺麗な顔はしているけどもーーと。


 「……親は長く……帰らないんだよ……大分待ったんだ……けど、本当の事を知りたくなって………聞きたくてな。それで俺は旅に出たんだ……。」


 シランと言う男は、両親以外いない場所で育ったらしい。家が一軒。ただそれだけの場所で。



 シランは数年前に、親の帰りを待ち切れなく為り、旅に出た。それ迄はどうしてたのかと思えば、親に教わり狩りも出来たし、家の側で薬草も育てていたらしい。後は森から必要な分だけ野草なり、キノコなり、木の実や、時折果実を手に入れ生きて来たらしい。


 「………野草……………もしかして……『薬』に詳しい……の?」


 ウィアはそう聞いていた。シランは『おそらく』と答えた。ウィアが首を傾げると、返された。


 『自分の知識が、他とどう違うか知らないーー』と。シランは今までなるべく人との不必要な接触を避けて来たらしい。『ひとの印象に残らない』ようにと。


 「でも変じゃない。」


 ウィアは答えた。シランが『王族』ならば、『どうして』


 「そんな『小屋』みたいなとこで生活してたのよ?」と。シランの顔が引き吊った。


 「だからだな………、」


 シランは顔をしかめながらも、説明を続けたのだった。例えば、国が『滅亡』し、『逃げた』のかーー此れは当てはまる国が無かった。色々『考え』、『探す』為に、自分の足で『歩い』た。


 それで結局は『出発』地点付近まで、舞い戻る事となった。


 彼は、『ガイサース』国の、地図上の『左』斜め上辺りに位置する、『コナ』国から出発していた。コナ国とは、その狭い領土の大半を、山岳地帯が占める、小さな国だ。『領土』に近い。


 王室に近いものは存在するが、実際には『領主』の役割を果たして居た。山が多い国の為に、農村が少なく食料事情が芳しくない。又、『戦力』もない。乏しかった。


 軍事に関しては『ガイサース』国に委ね、食料に関してもだが、その他にもテラピー皇国や、主に『ハナ』大国に頼っていた。そもそもがコナ国の始まりが、とても小さな『集落』だったと言われており、王室のようなその一族の祖は、集落の長だったと言われている。形式上独立した『国』と言う名称は有るが、コナ国は、殆どの人々が、『ガイサース国』の『一部』だと認識している程だ。住んでいる民衆すら、最早そう思っている。未だに形式上『国』なのは、食料事情ではないかと言われていた。ハナ国に頼る食料事情。自国では、領土の大半を占める山が険し過ぎて、狩猟すら儘ならないのだからだ。


 ハナ国の『殆ど』は、『農地』で在る。街も数カ所在るが、農村からの『食料』を『交換』する為に栄えた『交換、交流』地点であった。土地により食物にも向き不向きが在る。食料事情の『偏り』を防ぐ為に、都市が発達して行った。ハナ大国は、農業と商業の国で在った。主軸は『農業』である。山は殆ど無かった。森は数カ所点在する。獣の住まう森で在る。然し不思議な事に、先にも少し述べたが、『魔獣』と呼ばれる『魔物』の類はいなかった。



 魔獣と魔物はほぼ『同一』で在る。


 正確に言うならば、誕生当初は違ったので在ろう。だが、近しく、大差なき其れ等は、長い年月の中で『混ざった』のだ。『交ざった』が、正解だが。魔獣達には、知能が在った。それは人並み又は、『人以上』で在った。


 一方『魔物』達だが、属性が『闇』だった。故に区別の為に、誕生当初そう呼ばれていた。



 未だ神と獣達しか『いなかった』時の話で在る。神は『獣』を創った。


 『獣』の為に、『食料』の『主流』に生る、『森』を創り、『川』を創り、川が流れ『海』が表れた。水分から塵と混ざった其れ等が上手い具合に『雲』に為り、『雨』が降り、繰り返し繰り返しいつしか『人』が生まれた。神が創設した、『此の世界』に。



 そんな事は、このウィア達は、知らないのだが。


 然し、人は『弱かった』。神が『獣』の後に『創った』のが、『知能有る』『獣』ーーつまり『魔獣』で、『獣』達が上手く『生きれる』様に、『神の使い』として生きていた。


 だが、『魔獣』を創った傍らで、神はミスをした。『試作体』に付けた『属性』『闇』が、『魔物』ーーつまり、『知能』高き『暗黒』の『思考』と『思想・・』の『獣』をーー誕生させてしまった。


 そう。『魔物』とは、失敗作、『魔獣』に『成れなかった』属性・・の生き物達だった。


 然し、後に『交ざる』事と為った『彼等』は、『魔物』が、『魔獣』の『知能・・』を、げてしまったのだった。


 火性、水性、風性、土性、の属性の魔獣達は、『闇』属性と『まじり』劣化した。原因は闇は強過ぎたのだ。同一の割合ならば、闇が有利だった。浸食された混ざりし属性達は、力が半減『以下』と為った。詰まるところ『弱く』成ってしまった訳だった。


 ハナ王国に『魔獣』が『居ない』のも、理由が『無い』訳ではない。だが、今は必要無い事なので割愛する。


 因みにだが、神は『光』の魔物は創らなかった。原因は単純である。闇に失敗したからである。同格の光での失敗は、目に見えていた。


 『獣』達は、要は『闇』の『属性』魔法・・を使いこなせなかった訳だ。ならば、光魔法も使いこなせない筈である。



 そこで神は何をしたか。それは、試しに『人』に『光魔法』を、授けた。


 光魔法は、『回復』及び『生活』魔法だった。又、獣達が使えなかった『闇』の属性についてだが、『解毒』及び『空間』関与魔法が此れに当たる。



 例えば。




 『毒』をくらう。『解毒』する。だが、『解かれた』『毒』は、『何処』に行くのだろうか?



 『闇』に葬るーーと言う言葉が『ある』様に、文字通り『毒』を『闇』空間・・に『廃棄』するので在る。溜まった『異物』はどうなるのかーー大丈夫で在る。『闇』とは『全て』を『覆い隠す』存在モノーー『闇』に『融合とける』するーーとでも言っておこう。



 此の世界はこういった仕組みで出来ていた。



 神の話に戻れば『人』とは『弱かった』話なのだが、人は『器用さ』を持った存在だった。


 気付いた神は、人の生きる術として、『光』を与えてみた。『回復』と『生活』魔法だ。使いこなした。


 歓んだ神は『闇』も与える。『解毒』及び『空間』関与魔法だが、殆どの者が、『解毒』しか会得しなかった。故に人は、『解毒』も『回復』の一部だと理解した。過ちで在った。


 そして『空間』魔法を使う者が、途絶えた。当然の理屈だった。


 魔獣、魔物達も然りだった。時折『毒』に強い魔物(及び魔獣)が居るが、強い訳では無く、『先祖返り』で、『闇』の属性の効果で、『解毒』しているだけなのであった。



 既に当人(当獣)すら知らぬ事実で在った。知るのは現『神』のみで在る。今此の星の『神』は、『彼等』を『創りし』ものでは無いーー先にも述べたが。


 現神は、『創生』神から、此の星を託されしものだった。創生神が、偶然『見付けた』赤子で在る。果てしない力を秘めた。


 人にしておけば、己が創りし『世界』を、破壊する程の。故に先代は赤子を拾い、『次の』神としたーー自分が『封印』と生る事で。



 現神とはーー『此の世界』を壊しかけたーー歴史に残る『災害』で在る。ーー『破壊』を免れた『災害』で在った。先代の封印だけでは足りず、溢れ出た力を『閉じ込め』たのはフェアリー・ヴァースで在った。其処に駆け付けたのは、『見張り』を怠った『幻獣』と、その『飼い主』ーーと仲間達。



 此の星に今も名の残る『四人の勇者』で在った。現在フェアリー・ヴァースの依頼のもと、現神『白神』の『手足』として動く『神の補佐』達だ。が、


 ガイサースの祖と、『幻獣』の主以外は、現在『行方不明・・・・』で在った。幻獣は当初の『役割』通り今は『神』の『御目付』をしている。要は『代打』だった。ーー神は忙しい。『動く』事も在る。


 『代打』が『神の定位置』を護っているが故に、白神は行動出来た。



 さて、話を戻すが。



 『白神』と呼ばれし『神』の話だ。お気付きの通り、彼は『人』だった。と、『或る』王国で生まれた。多大な『エネルギー』を『保有』してだ。彼の『生まれし』国には、『魔物』が、多く『在た』。かつては。

 その領土の『長』は、狩猟が得意で在った。そうである。彼等は、食したのだ。

 『闇』の『属性』を。生きる為に。


 長くその風習は続いた。長はいつしか『国』を起こして『王』と呼ばれる。強靭な王で在る。


 何代目かの『子孫』として生を受けた『白神』は、神の想像を超える力を有し、自国を『破壊』してしまった。多くの怪我人を伴い。未だ赤子で在った。


 意を決した創世主の女神ーーは、赤子の記憶を『封じ』、『力』を『抑え』る、『結界』と生った。然しそれは長くは保たなかった。暴走は再び起きた。


 其処に駆け付けたのがフェアリー・ヴァース、つまり『陽藍』で在った。彼は赤子に『ある程度』の『封印』を施し、『一人前』に成る迄の『暴走』を防ぐ事にした。駆け付けた『勇者』四人に『代行』を依頼して、自らの星に戻った。



 と或る『地域』は、過去に『白神』が、吹き飛ばしたのだ。其処に『居た』魔物達は、『巻き込まれ』た訳だ。自分達より『格上』のエネルギーがぶつかって来たのだーーたまった物では無いーーそしてその『地』に魔物はいなくなった。つまりその地とは現在の『ハナ』王国ーーで在る。


 逃れた生き残り達も、『二度と』『あの地』に足を踏み入れる事は無いで在ろうーー獣達にはそこ迄の知能無き故、『復活』した森の『栄養』につられ、再び集結していたが。


 魔物や魔獣が住まぬ森は栄養多化に依り、獣が肥えた。故にハナ大国の『獣』は美味い訳だ。豊富な栄養と、程良い運動。美味く生る環境が揃い過ぎていた。余談であるが。


 さて、更に話を戻すが、『王子』と『影武者』の話とである。



 確かに王子は『在た』。ハナ王国『跡地』に。今は『白神』と名乗っている。


 白神所か、陽藍も知らぬ事だが。



 逃げ延びた人々のうち、『王家の再建』を願う者達が、どう話がねじ曲がったのか、シランと呼ばれる男に『お前は王子だ』ーーと言ったのだろうかーー



 それは多分もう知る術無き事だが、シランは『生き残り』の『子孫』で在った。ーーと、思われる。



 もうそれを『確証』する術も、無いのだが。



 兎に角、今此の現代に、現在彼等ーー嫌、『彼』と、『彼が連れ出した』彼女ーーは、峠と呼ばれる最早『山』を越えていた訳だ。己を『王子』と『実証』する為に。



 「『ガイサース』国の『第三』王子があやしいと思うんだよーー」シランが言った。


 ウィアは口止めを思い出し訂正も否定も出来なかった。こんな事ならば、来なければ良かったーーと思いながら。



 ウィアは怒っていたのだ。オレガノ達の事を。『置いて』った事を。


 兄が寄越したのは『宝石』だったと気付いたウィアナは、決心したのだ。『石』を『換金』する為に『ガイサース』国に行く事を。ガイサースは程良く在る『山』から、原石が採れる。又、『宝石』で有名なダンジョンが存在した。その事はウィアナでも知っていた。



 宝石を換金するならば、ガイサース国が一番なので在る。ガイサースが豊かなのは、勇者の祖のお陰等では無いのだ。小さな領地にたっぷり在る、その『資源』の方なのだ。国の管理のしっかりした此の国は、とても上手く回っていた。資源と『魔法』の国なので在る。ペルウィアナでも、知る程の。

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