二十一『王子様とは、沢山居ます。』
「ユシ、どうだい? 準備は出来たかい?」
金の髪の男が聞いた。問われた子供が答えた。はいーーと。
「はいっ、お父様。大丈夫です。うれしいです。叔父上にも会えます。」
やはり金の髪の、良く似た可愛らしい男の子供だった。微笑んだ父親は、子の頭に優しく手を置き、その柔らかい髪をその優しい笑顔のままで、誇らしげに撫でた。
「そうか。ーーではいこう。」
金な髪の穏やかな風貌の美青年は、そう言った。
× × ×
「皆準備出来た? 忘れ物無い? お弁当は要らないからね。じゃ、そろそろ行くよ。」
「陸さんーー誰も弁当なんてーー持って行く奴いないですよーーさすがに。」
「悪いーー悠緋、俺、おやつ持参だわ。」
「安定のーー原。………裏切らねーな、コイツ…………」
「いや、広陽、俺も一応『おやつ』は、持った。あと、飲みもん。水筒に『スポドリ』入れて来たわ、念の為に。あと、『塩』『胡椒』かな。」
「「「いや、なんでだよ!塩、胡椒!料理か!」」」
「ーー落ち着け、お前等。はしゃぐなよ。深織は………あれだろ、塩、胡椒は『定番』ネタだろ………。『売る』んだろ?『向こう』でな………念の為だろ?」
「流石、加野っち。分かってる〜」
「…………………着いたよ君達。」
「「「「「もう?!」」」」」
+ − + − +
「お、異世界『到着』っと。」
「皆『居る』よね?」 「こわい事言うな。居ないと困るわ。」 「本当だよ。」
× × ×
〘『悠太』〙 〘巧、海、来たの?〙 〘悠太兄さん、直兄ちゃん達は?〙
〘うん、大丈夫だよ。『確保』したから。〙 〘流石悠太。〙 〘…………あのさ〜……………〙
〘海? 何?〙 〘?〙 〘や、あのさ、何で巧は悠太『兄さん』を、呼び捨てるの?〙
『『(…………………………………、海君。今、『其れ』かな?)………………なんとなく、………かな。』』
『ね?』 『な?』
『……………………………………。(なんとなくだったのか。)…………。 わかった。』
✻ ✻ ✻
「あ、『おじいちゃん』」 「あ、ちゃう」
「ふたりとも『お待たせ』。」
「真妃瑠ちゃんお待たせ。」
「いえ、いえ『暇』だったしね。」
「さてと。『揃った』な。」
と或る教会の庭にて、華月 陽藍はそう言った。『役者』が揃ったらしい。
* * *
『じゃ、皆「準備」良いよね? 「配置」についてね。特に「白神」。』
「ちょっ!陸さん! なんで俺だけ『名指し』なのよ!」
「『陸』、白神俺と一緒だから、安心しろ。」
『了解お父さんーー』
華月 陸の声が、皆の頭の中へ、響いたのだった。
今此の星は、『暴走』寸前なので在る。
❅ ❅ ❅
その少し『前』の刻に、『シラー・ペルウィアナ』は、『村』を出てしまった。
『精霊』を、つれて。
✻ ✻ ✻
「ーーまいったな。」
華月 陽藍がそう言った。
「先生? 『ペルウィアナ』ーーいないんですか?」
問うたのはオレガノだった。ああーーと陽藍は答えた。『代わり』が、要るなーーと。
カルセオラリアが、不安気に、宛は有るのかと問うた。陽藍は考えもせずに、『まあね』と応えたのだった。側のカルミアもジニアも不安気だ。ペルウィアナの隣宅、リキダおじさんが答える。
『引き止めたんだけどね……』と。陽藍は気にしないでくれと言ったのだった。ーー
❅ ❅ ❅
それは、『今朝』の事だった。オレガノ達『失踪』から、二日目の、朝だ。
『旅人』が、訪ねて来た。『シラン』と名乗ったあの男だ。シランは勿論『荷物』を、取りに来たのだ。そして言った。
「お嬢さん、ちょっと『つきあって』くれ。『旅』に出ようぜ?『報酬』なら『有る』んだ。ーーほら」と。
隼人からの『報酬』を、『ウィア』に『見せ』た。ウィアは思った。『ラタ』兄から『貰った』石の事を。シランの話を『聞き』、気付く。ウィアの持っていた、ラタ兄からの『石』は、宝石の『原石』ーーしかも『貴重な』品だった事を。
「なあ? マジで『旅』に出ようぜ? こんな村の『こんな』場所に、若い女の子が『独り』で引き篭ってたってさ。……良い事無いぜ? 世間知らずになっちまうよ、お前さ。現にお前だけ、あの『魔法使い』は、連れて行かなかったんだろ? それって『そういう』事だろ? 」
「『世界』は『広い』ぞ? お前の『想像』『以上』にさ。」
「別にそんなの知ってるし。ーーでも『わかった』ーー行くよ。」
「私にも『目的』が『ある』から。それでいい?」
交渉成立と言った二人は、旅立った。それが『今朝』の事だった。
✻ ✻ ✻
「ーーと、言う事だな。」
陽藍が言った。『過去』を『視た』のだ。『空間』に残された『記憶』を、手繰り寄せたのだ。神故に出来るのかーー彼が器用なのか。兎に角陽藍は事態のあらましを知り得たのだった。
『あらあら。困りましたね? 旦那様?』と、横の『女神』が言ったが、困った風では無かった。『マセガキめ』と陽藍は言ってから、妻に其の『場』を『頼ん』で、飛んだ。
「いってらっしゃい。」忙しいわねーーと、妻、友美は空に向ってそう言った。夫に、手を振りながら。
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「はい。じゃ、皆『お疲れ様』でした。各自適当に帰っていいよ。あ、『観光』したい人は、『白神』に申請してね。」
『事態』を終焉した『57』名は、或る者は疲れ果て、又と或る者は『日常茶飯事』として、受け流し、又と或る者達は疲れより『好奇心』を、優先させていた。
そんな『穏やか』な光景は、『午後一』には終焉したので、住まう『星の住民達』にはーー知られる事はなかったーー彼等が、言わなければ。
きっと彼等は言わないだろう。『日常茶飯事』なのだから。
「いや、陸。流石に『解散〜』は、ちょっと味気無いって。どっかに一度集まろぜ?顔合わせ的にさ?な?」
提案は、『瀬野尾 太一』からだった。『ガイサース』国王の希望により、その『願い』は、叶う事に成る。果たして『場所』だがーー
『じゃあ「あの」教会だなーー』と、華月 陽藍に提案されたーー
かくて、彼等は『集結』した様だ。と或る『教会』へと。ーー
❅ ❅ ❅
「はあ〜」
シラー・ペルウィアナは溜息を吐いた。横には『シラン』がいた。国境の、『ふもと』までは、辿り着いたのだが。
横を向いて聞いた。一応だ。
「ねえ〜『これ』、登んの?………………止めない?」
峠は遥かーー『高』かった。
* * *
「マリーサ。」
友理奈は知り合いの顔の名を呼んだ。女性が振り返った。彼女は『洗濯物』を、はためかせていたーー
「ユリナさんっおかえり〜ちびちゃん達もかな?」
うん。『後から来ると思う』と、友理奈は答えた。
此処は、かつて此の星に『飛ばされ』た友理奈が、直夏と再会した場所で在った。そして『洗濯屋』を『始め』た場所でも在る。マリーサとはその時知り合った、此の近くで宿屋を営む女主人の娘であり、かなりな『ミーハー』でもある。『ミーハー』って何とは聞くなかれ。友理奈も正確には、答えられない。
ともあれ『此処』が、指定された『集合場所』だ。友理奈は『鎮圧』に参加していなかったので、ひと足先に、やって来たのだった。
「ユリナ、早かったね。」
懐かしい声に振り向くと、アレフゥロードだった。アレフゥロード・ガイサース。此処、『テラピー』皇国隣国『ガイサース』国の、王で在る。最も友理奈が初めて彼に出会った時は未だ王太子だったが。
『きゃ〜王子さまっ〜〜』と、マリーサのテンションがあがった。『結界』張って、良かったわと友理奈は思ったのだった。友理奈さんは、要さんを『師』に、日々『結界』修行中〜で在った。
可愛い息子の『安全』の為にだ。勿論『夏文』本人も、ちゃんと『修行』中〜で在る。今回はーー『少し』、『暴走』したがーー。可愛いので勿論お咎め、無しで在る。
アレフゥロードは、『一族』で来ていた。『レザード』、次兄『カビダード』、そして『現』王太子『ユシ』も居た。
更に、『王子』の異名を持つ『華月家』長男を筆頭に、続々とやって来た。
教会の建物の中から、前回は『留守』だった『神父』が顔を出し、『………凄いですねえ』と、感嘆の溜息を洩らした。
『隣国の「王子様」が、……続々と。』と。友理奈は呑気に『あら大変。』と思っただけだったが。
* * *
『峠』の中程までだろうか。登った頃に、唐突にシランが、ウィアを呼び止めた。ウィアは止まると進めなく生りそうで嫌で在ったが。シランは真剣だった。『本当の事を』言っておくーーと、彼は言い出した。ウィアは立ち止まった。シランが語り出す。躊躇いがちだった。
「…………、王子なんだ。」多分俺はと、確かに彼はそう言った。
「俺の『身代わり』を探している」と。
『影武者』にされた奴を、『助け』たいんだーーと。
こんにちは。ご来場閲覧ブクマ有難う御座ます。///やっと『影武者』な言葉が出て来ましたね。さてどうなるんだろう。ではでは///m(_ _)m




