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二十『遅くなった理由ならある。』

 一方。『シラン』と名乗る男の事は、覚えておいでだろうか。旅人の少年で在るーー


 陽藍が『国境』近くまで『飛ばした』男の事だ。彼は『相部屋』で一夜を明かした翌日、直ぐ『スプス村』ーーへ向かうつもりだった。が、上手く行かなかった。


 『相部屋』の男に引き止められて。彼は『借りた物を』返すと言うのだった。然し男は『無一文』の筈だった。金を持っている筈は無い。返しようがないではないかーーと思い断ると、こう言い出した。


 『情報収集した』と。



 だからなんだとシランは思った。



 「『近く』に『冒険者』ギルドがあるらしいじゃないか。『登録』して『金』を稼ぐ。一緒に来てくれ。」と。



 男は言ったのだったーーシランは更に断る。行くか馬鹿かと思った。だが、


 「いや?お前だって今、『着の身着のまま』で金要るだろ?」と。確かに。そうなのだがーー



 「よしいこう」男は強引だったーー




 ❅ ❅ ❅



 「よっ、隼君。久しぶりだな。」


 若い男にそう声を掛けられた。シランは『誰だこいつはーー』と思ったのだが、


 「はあっ?! ショウっ! なんでおまえがこんな『場所トコ』に?!」


 連れの男、『ハヤト』と名乗った男は、そう言ったのだった。今『ハヤテ』と相手は言ったが、偽名なのか?と、シランは訝しんだ。


 「『なんで』じゃねーよ。『迎え』だよ。全く。いい歳して『迷子』?はあ。」


 そう言った『男』の名前だが、『瀬野尾せのおしょうーーと言う。


 勿論華月 陽藍の『甥っ子』で在る。『迷子』の隼ーー『佐木さき隼人はやととは、『義理の』兄弟でも在る。


 姉『ひろ』が、隼人はやとの兄『大和やまと』の妻なのだ。因みに絋は姉さん女房と言う奴で在る。『ハヤト』は偽名等では無く只の『愛称』で在る。お気付きの通り、『大和やまと』の弟で『隼人はやと』と成っただけなので、『と』はおまけの様な扱いで在った。父、夏央は、『はやて』と名付けたく、母、夏美が『隼人はやと』と付けたかったらしいが、成長するとどっちでも良くなってしまったが故に、母も今ではその時の気分でころころと変えるーーそんな呼ばれ方だった。佐木家エリアでは何方でも此の『隼人』の事で在る。最早誰も突っ込まない案件だった。


 どうでも良いが、佐木家は三兄弟、瀬野尾家は四兄弟姉妹だ。長女、絋、長男、太一、次男が紹で在る。下に『おと』と言う妹が居る。余談だが、母の『名』が『いと』と言う。


 勿論絋も紹も母の字からいただいている。


 さて。





 佐木 隼人は此の義弟『瀬野尾 紹』が苦手だった。と、言うお話である。



 年下の紹にたっぷり皮肉られた隼人は、シランに借りた金銭を返し、冒険者登録はする事無くーー連れ去られた。茫然とするシランだがーー受け取った『袋』の『様子』が『変』だった。



 不審に思い、袋の中を見た。……………………『宝石』だった。しかも、複数……………………本物ならば、『可怪しな』事と成る位の。『大粒』の『原石』が、五、六個無造作に入っていた。シランはすぐに『信用置ける』レベルの『査定士』の居る場所へと踵を返した。それが、『った』理由でる。





 ❅ ❅ ❅



 「はやてはさ〜ふざけてんの?」


 紹が言った。隼人は黙っている。寡黙な訳では無い。


 「なんで『こんな場所』まで来たの?阿呆あほなの?」


 義弟は容赦なかった。



 「紹君、お疲れ様。ありがとね。」


 その声に隼人は目を剥いた。紹が『何驚いてんの?』と呆れた。


 悠太がいた。紹には優しい笑顔だった。不意に隼に向き直る。隼人はぎくりとする。何故だか悠太が恐い様な気がした。



 「………………………、悠太? なんで……………『いる』んだ?」隼人はそう言った。



 空気がひやりとした。多分悠太は怒っているーーと、隼人は思った。


 「隼君さ、大和兄ちゃんに心配掛けて『無い』とでも?」


 悠太が静かな声を出した。やはり『空気』は、冷たかった様だーーーー



 佐木 隼人が、何故『此の星』に『在る』のかーーいたのかは、実は『夏文』に関係する。


 佐木 隼人は『料理人』だった。然し『迷い』が、在った。『菓子職人』に『転職』を考えていた。迷いを吹っ切れない彼は、修行に出た。『海外エリア』にだ。其れは実は特に『意味の無い』事なのだったが、実家暮らしの彼は、其処から『出る』理由が要った。兄が結婚を機に家を出た。『芸能人』のせいも在ったのかもしれない。その内に『弟』まで家を出た。仕事の為にだ。隼人は『巣立つ』タイミングを、見失ってしまった。



 海外エリアで『独り』で過ごす。色々と『落ち着いて』考える『時間』が出来た。


 兄、大和が『出来過ぎ』な人物だった。将来、自分が何をしたいのかーーが、子供の頃から決まっていた兄。才能も有った。それに胡座もかかなかった。隼人も『ベース』を触ってみた事は、勿論あった。が、儚く散った。兄程上手くも為れず、兄程純粋でも無かったのだ。自分で気付いた。


 将来の目標が分からないまま、『弟』に先を越される。弟は早くから、『建築をやりたい』と言い出した。お隣『華月家』の影響も強かったので在ろう。


 華月 陽藍が、タウン・タウンを『造った』事が。隼人も散々遊んだ『街』だ。言う迄も無かった。弟が羨ましかった訳では無かった。隼人は『弟』の『可愛がり方』が、分からなかったのだ。


 お隣が、『異常』なせいで。隣の兄弟『達』は、全員・・『ファザコン』も『ブラコン』も公言している。ついでに言えば、『重度』の『マザコン』でもある。気持ち悪い位の。



 理解らなくもないのだ。お隣の『母』は、若過ぎる。可愛くもある。恐くもあるが、それは又別の話だ。母親を大事に『する』のは悪い事では無い。だが、隣宅は『べったり』なのだ。


 『友美』が『ひとり』で『居る』所を、隼人は『見た事』が『無い』とーー思った。



 常に、最低でも『誰かしら』張り付いて『居た』ーー昔から。今でも。それを隼人は『奇妙だ』と感じていた。そう『気色悪さ』を拭い切れなかったのだ。



 彼が未だに恋人も居ない事と此の感情は些か『関係』しているのだろうと。



 二十歳の御祝いの代わりに衝撃の言葉を貰った。父と母と兄と、何故か隣の家主ーー『陽藍』も居た。佐木家での『出来事』だった。自分は『人』の『子』では『無い』と『知った』。




 『とんだバースデー・プレゼントだ』ーー佐木 隼人はそう思ったのだった。



 其れから現在迄で約八年程の『時』が流れていたーー隼人は、海外修行に『見切り』をつけて、帰国して来た。やはり『無駄』だったのだ。舌に残るのは残酷にも、『となり宅』にて幼き頃から夢中で食した『あの』味だったーー理解ってはいた。『陽藍』は『自分』にも『憧れ』でも在るのだと。とっくに気が付いて彼は逃げ出したのだーー『あこがれ』から。眩し過ぎて。



 「まあ、…………いいけど。あのね?『はや』君。『夏文』がね?『はや』君に『謝り』たいんだって。来てくれる?」


 二つ下の『幼なじみ』は、そう、隼人に『意外』な事を言ったのだった。懐かしい『呼び方』で、彼の事を、呼びながら。



 「なんで? 『俺』が『悪かった』のに?」


 隼人はそう言った。紹は呆れて溜息を吐いた。顔を逸した。悠太が優しく言った。『相変わらず』な物言いで。



 「でも『飛ばした』のは『夏文』だ」からーーと。





 * * *


 「『あ〜だ』。」


 佐木 夏文が『言っ』た。母、友理奈が応える。『何?』と。


 紺が『通訳』した。


 「『はやて』が、『近く』に『居る』よって。後悠太もいるね。」


 紹ちゃんて仕事早いんだねーーと、紺が言った。



 ×  ×  ×



 その『瀬野尾 紹』は思った。『ハヤテはさ、……………………、』



 何で『危険極まりない幼児なづちゃん』の『横』で、『盛大』な『くしゃみ』してーー







 驚かすかなーーと。陽藍オジさん達の『注意事項』く、聞いて『おけ』よ。とーー。そういう事だった。



 近くで『聴いた』事『無い』音量の『くしゃみ』をされた夏文なづちゃんは、びっくりした『拍子』に『エネルギー』が『発動』してしまったーーそれが『今回』の『騒動』の『発端・・』だった。然し、『自力』で『戻れる』の『隼人』が、帰らないーー


 皆の手が『隼人』回らないので、今回『紹』が『借り出された』訳だ。実は紹は未だ『高校生』、海の二つ上なので在る。『夏休み』で『良かったな』と紹は思ったのだった。



 勿論此の後、彼は帰った。自分達の『星』に。『スグも』苦労・・するねと思いながら、『春斗さんーーお疲れ様。』とだけ言ったのだった。

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