〘閑話〙 『異世界』
「ただいま」
「あら、おかえりなさい。随分早かったのね。あら? 隼人君は? 旦那様。直夏達と帰って来るの?」
華月 陽藍は言った。「隼人なら自力で帰って来れるだろ。」と。
妻、友美はそうなの?と聞いたのだった。
此処は、華月家で在る。家主は華月 陽藍。妻、友美、末っ子、海の他に、居候が暮らしている。それと、義理の娘、友理奈と、その夫で隣の一家の三男坊、佐木 直夏が暮らす家でも在る。それから……
「お父さん? あれ? どうしたの、こんなに早く………その子達は?」
彼の名は、華月 陸。此の家の三男だ。歳は丁度、三十に成るのだが、そうは見えない見た目だった。若く見える上に、近寄り難くも在る、そんな風貌の美形の青年だった。余り表情を変える事の無い彼は、クール・ブレーンと前の職場では評されていた、元大学数学学者、教授だった。辞めて一年程経つ。新しく出来た義妹に『付き添い』が必要だったので、殆ど付きっ切りで『診て』いた為だ。義妹は半年程前迄、良く『睡って』いた。その為だった。
彼の家族も共に此の彼の『実家』で今は暮らしていた。妻、美樹と、娘の真琴、息子の理桜である。美樹は現在、二十一歳の幼妻。理桜は一歳、真琴は二歳に成った。
「ただいま陸。此の子達、『暫く』宜しくな?」
父、陽藍はにやりと笑った。息子陸は表情も変えずに頷いた。『わかった』と。
一方、
「……………すみません『此処』…………『何処』???」
一度も見た事も無い建物の造りに、反応も対応も出来ずに、一同を代表して言ったのは……年長者のオレガノだった。一緒にいたのは、他には、カルセオラリアとジニアと、そしてカルミアだった。皆、仲良くも茫然とし、どうして良いかわからないのだろう………陸はそれを見て、『可哀想……』と苦笑いしたので在った。『夏休み』終わる頃の、そんな出来事で在った。
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「大丈夫?落ち着いた?」
陸は『彼等』に、問い掛けた。『彼等』と言えば、『取り敢えず』からの、入浴。勿論陸が一緒に入り、入り方を教えながら。そして着替えーー今日は取り敢えず家に在った物を着せた。華月家には息子が『10人』居たので、無駄に服が在るーー在ったのだ。その中から陸が適当に選んで着せた。中々似合うーーと内心笑いながら。
さっぱりした彼等を連れた陸は、再びリビングへ向かった。が、父が居なかった。母は居た。
「お母さん、お父さん何処?」母に伺う。答える母。
「ふふ、お仕事中〜『送信』するの忘れてたのを思い出して帰って来たんだって。ふふっ」と、
何やら母は、嬉しそうだった。現在四十代最後の筈の母親だが、全くそうは見えないのだ。父の『手入れ』が良いのも有るのだろうが、理由の大半は、『人ではない』事で在ろうと、陸は思った。母は女神だ。好きで生った訳では無かった。『生きる』為の『手段』だった。
母は、消滅してしまう筈だった。原因は父だった。母を失いたくも、手放したくもないーー父『陽藍』は、『諦め』て、母を『女神』だと『認め』た。女神の『力』を『本当の』女神から、『受け』取り、彼女ーー『友美』の『器』へと、『移し』た。自分が媒体に成ったのだ。当然父にも影響が出る。父の負担が増えた。父の、『力』も。負担も力も爆発的に増えた。お陰で父は、短命だった。元々は母が短命だった。母が死に、哀しんだ子供達の為に、父は母と自分の『寿命』を『入れ替え』た。
『………無茶な人だよな……』陸は思った。
父が死んでしまえば母は悲しさで生きれないのに。
そして、色々『在っ』て、彼と彼女は、『今は』幸せだったーーと、言う訳だ。陽藍が試行錯誤し何とか寿命が延びて来た。無茶をすれば又縮まるだろうが、今は、『普通より』少し短命な位に成った。
『やれやれだよ』と息子は思う。
『当人、正義のつもりでやってない所が、又厄介なんだよね。』
華月 陽藍に『正義感』は欠片も無かった。
『寧ろお父さんって正義感は、嫌いかもな。イレギュラー好きだし。』
「あの〜」
「あ、ごめん。うん、喉かわいたよね。とりあえず何か飲もうか。適当に作るからさ。」
座りなよと言った陸は、彼等を座らせた。フルーツ適当に絞って………そうだな、炭酸で割るか。此の子達、炭酸なんて飲んだ事無いだろうしね。陸はそう思い、母の許可を取り、適当にフルーツの炭酸割りを作り出した。
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「いいね、陸君。『お父さん』にも『其れ』欲しいですね。頼めるか、陸?」
父、陽藍がリビングにやって来た。陸は頷く。もとよりそのつもりだった。
「……………『友』は何飲んでる訳………おまえは…………子供達と一緒になって…………」
母は先程作った『濃厚苺ミルク』を味わっていた。勿論陸が母好みに作ったのだった。
「はい、お父さん。レモン・スカッシュ。甘くないからね。」
「流石、陸君、手際良いね。………………うん、美味い。陸、『帰っておいで』?『期間限定』じゃ、なくさ。ん?」
父、陽藍が悪戯っぽく微笑った。陸は溜息を吐く。
「僕の『甘える』時間は、『終わって』るよ、お父さん。親離れしなくちゃ。弟から『お父さん』は、『奪え』ないよ。残念だけどね。」
そうクールに言った陸を、『………俺に似てんだろうな……』と、父は思った。友美は、『昔の陽藍さんだ』と思っていた。
華月 陸は、立ち振る舞いから、思考回路迄も、父、陽藍に『そっくり』だった。ふたりが言わないので、知られていない事実で在る。
余り似ていないのは、容姿位で在るが、父と母の『容姿』の『イイトコ』獲りな陸の其の容姿は、寧ろ『羨望の眼差し』とも言えようーーわかり易くは、今彼等の目の前の『少年』達の、眼差しで在ろうーー。
陸の瞳は、母親似、輪郭や唇や鼻筋は何方かと言うと陽藍だった。なので陽藍より常に『若く』見える。詰まる処は、只の『非の打ち所無き』美青年像ーーそのものだった。兄、卓は、母に似ており、何方かと言うと美少女、美女寄りの顔立ちで、弟、『友』と『青』は、何方かと言うと父『そっくり』の、凛々しいーーつまり男性的顔立ちだった。
故に陸は良く『お父さんと似てない』わねーー等と言われるが、両親からすれば不本意だった。
互いに『そうか?』と、思ったのだった。『似てるのにね。』と。
「…………すみません『これ』おかわり……」
遠慮なきカルミアがそう言った。陸は『味変えなくていいの?』と聞いたのだった。
オレガノ、カルセオラリア、カルミア、そしてジニアは、生まれた星とは『異なる』此の『名の無き星』へとやって来ていたので在ったーーペルウィアナの、心配を他所に。
『初めての炭酸(割り)』を堪能していたので在ったーー可愛い妹分の事は、勿論一時忘れている。仕方無いと言って良いのかどうかは分からないが。
「カルミア、飲み過ぎるな、で、『約束の』ーー」
「明日からね。頼むな、陸『先生』。」
オレガノの言葉に陽藍は答えた。陸は、
「ん? 僕が何?」
もしかして『数学』教えるの?ーーと、言ったのだった。陽藍が『それもいいな。』と言ったのだが。
閑話です。オレ君達は、予想通り、陽藍さんに『誘拐』(笑)されておりましたね☆嫌、当人達に『確認』してから連れて来ましたけどね。理由は友美さんが言ってます。『あ、やば。原稿送信すんの忘れて来たーー』です。要君が、『ーーっ、えっ!』じゃあ早く『帰ろう』ーーとの事で、オレガノ『達』に、『魔法』、その他を教えようとーー閑話に至ります。さて、どうなるのでしょうか? 閲覧、ご来場、ブクマありがとう御座います///m(_ _)m




