十二『陽藍君と王子様の再会の話。』
その頃。と或る国境ーー嫌、『テラピー皇国』と言う国と、『ハナ王国』の、『国境』なのだが、雰囲気的に今は『と或る』ーーと表記しておくとしよう。
と或る国境にて、三人の人影が在った。もう夜も更けて来た頃合いにで在る。しかもひとりは未だ若い乙女で在った。
「ーー急げ『レザード』」
そのうちのひとり、男が言った。彼等は『膨れ上がった』気配を『辿り』急ぎ此処までやって来ていた。レザードと言われた男は、慌てた様子で、連れの女の手を引くーー名を『レザード・ガイサース』と言う。連れの女は、此の男の妻で在った。もうひとりは、先程声を発した男で在る。
「すまない、『シャーリン』。『ラミル』、大丈夫か?やはり『私』が、抱えるか?ーーその方がいいーー」
そうしようと言おうとした時だった。
「やあ『王子様』、何を急いでるんだい? こんばんは。久し振りだね。俺の事、『憶えて』るかな? 『レザード』君ーーだったよね。こんな『時間』にどうした? 『女の子』に無理をさせるのは、感心しないな。『手』を『貸そう』か? 王子様?」
突然其の『声』が聴こえたのは。そして『レザード』は、其の声の『主』を、知っていた。
「なっ! 『フェアリーヴァース様』?! なんでこんな場所に!!」
驚愕の声をあげたレザード・ガイサースに、華月 陽藍は言った。
「『王子様』、声がでかいから『静かに』驚けよ。お兄さん、アレフゥロード君は元気か? まあ『君』は『元気』そうだな?」と。
横で要が、『ま、流石に僕の事は覚えてないだろうね。あの時話もしなかったしね。』と、言っていた。レザード・ガイサースは驚愕した。目の前に『最高の存在』と彼の『友人』が、居た事に。そして更に驚いたのだ。
「『フェアリー・ヴァース』さま……? え、まさか…………『陽藍』様ですか?」
友人、『シャーリン』の言葉が、彼を一番驚かせた。
『シャーリン……?』と言った陽藍は少し考えてからこう言った。
「『シャーリン』て真逆………『シャリンバイ』か? 息子の『イチゴ』君か。君は。」と。
友人は、どうやらフェアリーヴァース様と、知り合いらしいーーレザード・ガイサースはそう思った。
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レザードははっとした。挨拶は後だ。そう思った。
「フェアリー・ヴァース………いえ、『陽藍』様、急で申し訳ないのですが『事態』が……」そう言い掛けた。然し、
「『気配』だろ? 悪かったね。落ち着かせたし、もう大丈夫だよ。」
華月 陽藍は、そう言った。レザードは面食らう。シャーリンもだ。
「え……つまり……」
「うん。ごめんね。『僕』が『もう少し』早く『動けば』良かったんだけどね。申し訳無い。」
フェアリーヴァース、いいや、華月 陽藍の『友人』が、そう言った。
つまり、フェアリーヴァース事『陽藍』と、その連れの『神様』の様子を見る限り、彼等が急ぐ理由は『解決』したらしいーーと、彼等は思った。
フェアリー・ヴァース様が『解決』してくださったのですかと問うと、『嫌?』と言われた。
『今回』も、『原因』はーー「此方なんだよねーー」と。フェアリーヴァースは、謝った。
レザードは一瞬考えてから、彼に『可能性』を聞いて居たーー
「それでは『まさか!』ーー『友理奈』がーーまた?それとも『直夏』ですか?!」と。
彼にとっては『なつかしい』名前を呼んだ。願いも込めたーーと、当人も思った。然し、否定された。自然と項垂れると、陽藍にこうーー言われた。
「『直夏』は、来てるんだけどね?」と。
驚愕したレザードは『詳細』を聞いたーー
今からーー『一年』程前の事なのだが、レザード・ガイサースは『冒険者』だった。今でもそうなのだが、彼は一応『王子』でも在る。兄『アレフゥロード』は、『ガイサース』国の、主だ。国王で在る。兄の即位式に出席する為に、冒険者稼業を休息し、国に帰国した。それは実に10年振りの事で在った。次兄『カビダード』には泣かれるし、初めて会う『甥』には、離してもらえないしで……レザードは照れくさくも嬉しい悲鳴をあげたのだった。そして、『10年』の『答え』が、今横に居る『妻』『ラミラルル』との『再会』と『結婚』だった。その事は此のお話には、余り関係無いのでーー割愛したい。
レザード・ガイサースは、『世間的』には、10年間『行方不明』扱いだった。『世間的』にはーーだが。勿論実際は『旅』をしていただけだ。『冒険者』として。と或る『目的』を持って。
その時、出会ったのが、陽藍で在り、その『きっかけ』だったのが、『友理奈』と言う女性と、『直夏』と言う名の青年だった。そう、『佐木 直夏』で在る。
つまりレザード達の住む此の『星』で、『前回』『異変』を起こしたのが、『友理奈』と『直夏』達で、今回は其の『息子』、『夏文』が原因と言えるーーのだった。
陽藍は『その事』をレザード達に話した。
「ではーー『直夏』には会えるのですか?」
直夏は、レザードとの『約束』を果たしに来たらしい。ーーレザード・ガイサースは嬉しくなり、思わず口元が、綻んだ。
「『王子様』はどうして『こんな場所』に、居るか聞いても? しかも、女性連れで。こんな時間に『危ない』ぞ?」
陽藍はそう言った。
答えは意外にも意外だった。
顔を見合わせたレザードとラミラルル。そしてレザードが、又向き直り、答えた。
『新婚旅行』だったんです……と。『国境場所で?』と流石に陽藍は思った。
もう少し色気有る場所はーーなかったのかーーと。
正確に答えるならば、彼等は、友人『シャーリン』事『イチゴ・シャリンバイ』の生まれた国へ、『旅行』へ行く『途中』だったのだが。その途中、とった宿屋で休息中に、『気配』を感じ、取るもーー取り敢えず急ぎ『気配』へと駆けたーー途中だったので在った。
国境を越えると直ぐ『見える』、『森』から『溢れた』『気配』が『被害』に変わる前にと。
確かにラミルが居ない方が速くは来られたが、置いて来る訳にはいかなかった。
ラミラルルは、『テラピー皇国』皇女なのだからーー元では在るが。
護衛も『要らない』レベルのレザードとは違うのだ。ラミラルルは言うならば『深窓の』『お姫様』とでも言えば『分かり易い』存在だろうか。
冒険者だった、嫌『で、在る』レザード・ガイサースの様には、戦えないのだ。回復も攻撃もひとりで熟すーーレザード・ガイサース、『冒険者・ガイ』の様にはいかないのだ。
レザード・ガイサースは、見せたかったのだ。ラミラルルを『旅行』に『連れ出した』理由だ。彼のせいで、今迄の『人生』を殆ど『部屋の中』で過ごす事に『なってしまった』彼女を、外に連れ出して、『美しい』世界が『在るのだ』とーーただ、見せたかった。
ハナ王国ーー『大国』とも呼ばれる此の『国』は、安全で平和な事で有名だった。そして『美し』かった。子供の頃にレザードはラミルに『約束』した事が在るーー『大人になったら』と。
一緒にいこうと。あの頃は子供だった。『夢』は叶いそうだが。
そうして『再会』した彼等は、次の目的を『果たす』事と成ったのだ。




